ジラドロ
ジララ様は桜をご存知ですか。
遥か昔にした何気ない会話が伏線のように目の前を覆い尽くす。淡いピンク色の花が辺り一面を彩っていた。
桜、それは地球人なら誰もが好きな花だった。
「これが桜でござるよ」
ジララが地球に来て初めての春。あれから気温は上がり花々が芽吹く季節となった。鳥や虫も活動を始める始まりの季節だ。ドロロはジララと春を迎えられたことを喜ばしく思う。
奥東京の公園は桜が満開で、桜を見に来た地球人で混雑していた。ドロロたちはアンチバリアを張った姿で公園へ臨んだが予想以上の混みように尻込みする。ふとジララは金属製の手をドロロへ伸ばした。ドロロは一瞬戸惑い、その手を取った。いくら人に見られていないとはいえ堂々と手を繋ぐことには抵抗があった。
「嫌か」
ドロロは首を振る。そんなわけがないとジララの手を強く握った。
公園には数多くの屋台が出店していた。地球人は酒を団子を飲み食いしてどんちゃん騒ぎしている。ジララにはその様子が桜を見るというよりも雰囲気を楽しんでいるように見えた。だがジララは美しい花に感心するように桜を見つめた。今日は晴天で青い空にピンクの桜がよく映えた。
異世界のようにピンク色に染まった世界は実に美しい。だがやはり人があまりにも賑やかで落ち着かないことだけを残念に思った。
公園からの帰り道、ぽつんと咲いた桜の木を見つけた。二人にはこの桜のほうが似合っていた。大木を見上げ風に揺れる桜を眺める。
「拙者、ジララ様と桜を見るのが夢だったのでござる」
ドロロの目がジララを捕える。目が合ったのを合図のように二人はマスク越しにキスを交わした。
ドロロはずっとこうしていたいと思った。夢のように嬉しく、本当に夢なのではないかとすら思った。握ったままの手が温かい。春の温度とともに二人の体温も上昇していった。
「お前に教わった花だ」
ジララは舞い落ちる桜を掴む。手を開くと手のひらに一枚の花びらが乗っていた。ジララはその花びらをしみじみと見つめる。
「美しい、そう感じる」
ジララは手を振ると花びらを風に乗せて飛ばした。ドロロはその様子を見つめていた。
「礼を言うぞ、ドロロ」
ジララの目が柔らかくドロロを見た。ドロロは笑って頷いた。まるでその場に花が咲いたかのように華やかに空気が暖まる。二人は季節にとらわれることなく繋がっている。暑い夏が来て秋が来て、厳しい冬が来る。雪が解けるとまた桜が咲く。その時隣にいるのが互いであるよう願うのだ。来年もまた桜を見たい。同じ思いで見上げた桜は美しく咲き、二人を優しく包み込むのだった。
遥か昔にした何気ない会話が伏線のように目の前を覆い尽くす。淡いピンク色の花が辺り一面を彩っていた。
桜、それは地球人なら誰もが好きな花だった。
「これが桜でござるよ」
ジララが地球に来て初めての春。あれから気温は上がり花々が芽吹く季節となった。鳥や虫も活動を始める始まりの季節だ。ドロロはジララと春を迎えられたことを喜ばしく思う。
奥東京の公園は桜が満開で、桜を見に来た地球人で混雑していた。ドロロたちはアンチバリアを張った姿で公園へ臨んだが予想以上の混みように尻込みする。ふとジララは金属製の手をドロロへ伸ばした。ドロロは一瞬戸惑い、その手を取った。いくら人に見られていないとはいえ堂々と手を繋ぐことには抵抗があった。
「嫌か」
ドロロは首を振る。そんなわけがないとジララの手を強く握った。
公園には数多くの屋台が出店していた。地球人は酒を団子を飲み食いしてどんちゃん騒ぎしている。ジララにはその様子が桜を見るというよりも雰囲気を楽しんでいるように見えた。だがジララは美しい花に感心するように桜を見つめた。今日は晴天で青い空にピンクの桜がよく映えた。
異世界のようにピンク色に染まった世界は実に美しい。だがやはり人があまりにも賑やかで落ち着かないことだけを残念に思った。
公園からの帰り道、ぽつんと咲いた桜の木を見つけた。二人にはこの桜のほうが似合っていた。大木を見上げ風に揺れる桜を眺める。
「拙者、ジララ様と桜を見るのが夢だったのでござる」
ドロロの目がジララを捕える。目が合ったのを合図のように二人はマスク越しにキスを交わした。
ドロロはずっとこうしていたいと思った。夢のように嬉しく、本当に夢なのではないかとすら思った。握ったままの手が温かい。春の温度とともに二人の体温も上昇していった。
「お前に教わった花だ」
ジララは舞い落ちる桜を掴む。手を開くと手のひらに一枚の花びらが乗っていた。ジララはその花びらをしみじみと見つめる。
「美しい、そう感じる」
ジララは手を振ると花びらを風に乗せて飛ばした。ドロロはその様子を見つめていた。
「礼を言うぞ、ドロロ」
ジララの目が柔らかくドロロを見た。ドロロは笑って頷いた。まるでその場に花が咲いたかのように華やかに空気が暖まる。二人は季節にとらわれることなく繋がっている。暑い夏が来て秋が来て、厳しい冬が来る。雪が解けるとまた桜が咲く。その時隣にいるのが互いであるよう願うのだ。来年もまた桜を見たい。同じ思いで見上げた桜は美しく咲き、二人を優しく包み込むのだった。
