ジラドロ

 花は自然の芸術作品だ。その美しさは人々の心を惹きつける。春の訪れと共に桜が空を彩り新たな生命の息吹を感じさせる。夏には向日葵が、秋にはコスモスが咲き一年中人々を魅了してきた。
 ドロロがやけに花にこだわるのは花には弔いの意味があるからだろうか。地球に来てゼロロからドロロと名を変えて彼は変わった。元々持っていた優しい心が強さを増し、地球の自然を愛する男に変貌した。そして何より一番目立った変化は花を植えるようになったことだった。まるで何かに取り憑かれたからのようにドロロは花にこだわり続けた。その姿からは今まで自分が犯してきた罪を償うかのように必死さが感じられた。花を植えるという行為が弔いの意味であるとジララが気づいた時、花は気高く香り立った。生と共に死は隣り合わせにある。花の命の短さに自分を重ねるかのようにドロロは花に対して執着を見せた。
 地球では墓前に菊の花を供える風習がある。ドロロの植える花には制限はなくどんな花でも好んだ。休暇にホームセンターに行っては種や苗を買い、街中に植えた。芽が出て蕾が開くとドロロは顔を綻ばせ優しい目で花を見るのだった。
「花は、誰もが好きでござろう」
 その言葉の裏に隠された意味を感じ取ってジララの胸が痛んだ。ジララはドロロを真似てホームセンターへ行くと花の種を買った。そして水車小屋の近くに埋めた。それがドロロへできる精一杯のことだった。
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