ジラゼロ

蜘蛛と蝶パロ

 その夜は雨が降っていました。夜が明けるまでずうっと、長い雨でした。夜空の雲が月を隠します。クモのジララさまは大きなクモの巣で眠ります。雨粒のついたクモの巣の上で、そっと目を閉じました。
 よく雨が降ったからでしょうか、夜が明けるとぴかぴかのお日さまが輝いています。しかし雨が降ったなごりはもちろんあります。ジララさまのクモの巣にはきのうの雨粒がたくさんついていました。ジララさまはクモの巣の上を歩きながら雨粒を見つめました。クモの巣は雨粒をはじくため、雨が落ちるとまるい粒ができるのです。ジララさまは長い足を振り、雨粒を蹴り落とします。
「わぁーっ!」
 そのとき、遠くから可愛らしい声がしました。ジララさまが振り返るとモンシロチョウのゼロロくんがぱたぱたとジララさまの近くへ飛んできました。
「宝石みたい! すっごくきれい!」
 ゼロロくんは目を輝かせてジララさまのクモの巣に見とれます。雨粒はお日さまの光を受けてきらきらと宝石のように輝いていたのです。しかしジララさまにはよく分かりません。なぜなら、雨粒はいつものことだからです。雨が降ればクモの巣に雨粒がつく。それを特別きれいだとは思えなかったのです。
「ジララさまのおうち、とってもきれいですね!」
「……そうか」
 にこにこと笑うゼロロくんを見てジララさまは思いました。このクモの巣を切り取ってネックレスにしてあげよう、と。ゼロロくんは朝のおさんぽをするのだと飛んでいくと、ジララさまはさっそくネックレス作りに取りかかります。クモの巣のはじっこを少しだけ、雨粒がきれいについているところを。ゼロロくんの喜ぶ顔が見たい、ジララさまはそう思ったのです。えい、と足を下ろしてクモの巣を切り、ふたつの切り口を結び合わせます。長い足を器用に使って結ぶと、あっというまにネックレスは完成しました。
「喜んでくれるだろうか」
 ジララさまはネックレスをながめながらつぶやきました。
 しばらくして再びゼロロくんがやってきました。何やら手には黄色い花粉があります。
「おいしいミツを見つけたんです!」
 ゼロロくんは花粉をクモの巣の上に置きました。ジララさまは足の先で花粉をつつくとミツを舐めました。
「うまい」
「えへへ。ジララさまのお口にあうかなと思って持ってきました」
 ゼロロくんはうれしそうに笑います。ジララさまは用意していたネックレスを差し出しました。
「うしろを向け」
 ゼロロくんは言われたとおりにうしろを向きます。ジララさまは足先でゼロロくんの首にネックレスをかけました。
「これ、ジララさまがつくったんですか?」
 ゼロロくんは首にかけられたネックレスを見ながら言いました。ジララさまは黙ってうなずきます。
「うれしい!」
 ゼロロくんはにこにこと笑みを浮かべます。何度もネックレスを見ては雨粒にうっとりするのです。
「ありがとうございます、ジララさま」
 ゼロロくんはジララさまの長い足に抱きつきました。そしてふたりはお日さまの下で甘いミツを舐めながらゆっくりとすごすのでした。


相互さんのネタです
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