ジラゼロ

 ケロン星にも年末が近付き各々が帰省する季節がやってきた。唯一自由になれる数日間として帰省する者は少なくない。ゼロロもその一人だろうと勝手に思っていたジララだったが、どうやらそうではないらしい。
「帰らないのか」
 ゼロロは頷く。そして少し寂しそうな顔をして言う。
「家族に会うと昔の自分に戻りそうな気がして。帰らないほうがいいような気がするんです」
 ジララは納得すると共に同情した。ゼロロほど心の優しい者なら無理もない。闇に生きるべきアサシンとしての覚悟があるからこその理由だった。あえて帰らないという選択をするのも賢明かと思われた。兵舎はいつも以上に静かになり、ゼロロの同室者は皆帰省するようだった。ジララはふと思い立ち口を開く。
「俺の部屋に来い」
 ゼロロは言われた通りジララの部屋に行くと促されソファに腰掛ける。ジララはコーヒーを淹れてゼロロをもてなした。そして向かい側に座ると言った。
「俺もどうせ暇だ。貴殿の話を聞かせてくれんか」
 ゼロロは沢山の話をした。裕福な家で育ったこと、弟がいること。友人からの年賀状を楽しみにしていたこと。そしてアサシンを志したきっかけについて。アサシンとして生きたいと思っているからこそ、ジララはゼロロを応援したいと思った。
「いつでも部屋に来て良いんだぞ」
 その言葉はジララなりの優しさだった。ゼロロはコーヒーの香る部屋を訪ねては知らなかったジララを知った。ジララもまたゼロロを知っていった。
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