「……名前の救出、確認しました」


ここは戸亜留市の公民館。戸亜留市の市長は鈴蘭出身であり、お国からのこの抹殺命令にとても反抗し、戸亜留市を城塞にする手助けをしてくれたのだ。公民館にはクラスメートＡとＢ、そして鈴蘭の原田、黒澤、神戸、月島が、鳳仙の月本光義、真島、光政、小野が、天地軍団からは天地が、武装に限っては龍信、十三、好誠、柳、鉄生、清広、将五がいる。ついでに拓海。
誰も彼も実力者だ。ＡとＢは名前と山田の友人で、諸々援助出来るからここにいる。


公民館で安堵と憤怒の声が出た。幼馴染み３人はすぐに殺してしまえと声を上げた。すぐに鉄生に黙らされた。鉄生だって本当は同じ意見だ、いや、ここにいる奴等は皆。

だって名前だ、自分達の可愛い妹、後輩、友人なのだ。悲鳴を、あんな悲鳴をあげる彼女を初めて見たのだ。

どんな手でも使って殺してやりたいと思うのは、必然ではないだろうか。


「……何も言わないんすね、十三兄貴」
「あぁ。俺は山田の意見に賛成だからな」


俺の妹泣かせておいてただ死ねると思うなよ


まるで無表情。そのまま言い切った。その表情からは滲み出る怒りが見て取れた。あぁそうだ、この人はあの馬鹿の兄貴であって親でもあるんだよな。


画面の向こうから男達のくぐもった悲鳴が聞こえる。その横ではＡがカタカタとパソコン２台を忙しなく動かし、Ｂは次々に誰かと電話していた。どうやらＡはあの男共の“処理”が終わった後どうにでも出来るようにネットにガセネタを拡散し、警察庁をハッキングしてデータを捏造……などと恐ろしいことをしているらしい。Ｂがケラケラ笑いながら話すのはその男共をどうするかだ。とりあえず家と家族は消したよーとにこやかに笑っている。


「……アイツの友達ってあぶねー奴しかいねーのかよ」
「好誠兄、それブーメラン」
「あ゛ぁん！？」


とりあえず将五は殴っとくか、と好誠は将五の首に腕を回した。