《急げ黒澤！！！！名前の番だ！！！！》


Ａから電話がかかってきていた。暴徒を蹴散らし、アクセルを全開にする。もってくれ、頼む、あともうちょいで着くから、頼む。


あと４分


「名前ちゃん！！！！名前ッ！！！！！やめてくれ、やめろ！！！！！！」


森山の声が響く。山田の命令で黒子達のスレを見ている灰崎はスレで悲鳴を上げる木吉、花宮、今吉を、高尾を見た。そして実況を森山と見ている黄瀬と笠松は、その惨さに震える。

名前の顔にかかった布の上から、ペットボトルの水を少しずつかけているのだ。所謂、水責めである。あれをやられたら息が出来ない。身動き取れない彼女がガクガクと揺れているのが見える。何も出来ない。動かなくなっていく。何も出来ない。動かなく、なにも、


あと３分１３秒


そこで布が取られる。死を覚悟したのだろう、彼女はぐちゃぐちゃに濡れた顔に水だか涙だか解らないものを流しまくっていた。口をガムテープで塞がれているが、中にガーゼかタオルかを詰め込まれている。尚のこと息が出来ない。鼻息を荒くしている彼女の顔にいつもの余裕はなかった。山田にその様子を伝えることは出来なかった、音だけ聞こえる彼は唇を噛み締めていたから。


ふと、コメントで悲鳴が聞きたい、なんて悪趣味なものが流れ、ガムテープとタオルが外された。そして、男が問う。

“「次はどれがいい？」“


あと２分３９秒



“『……は、いてーのは嫌だなぁおにーさん？』”


どくり、と、彼女の声を聞いて胃の底が燃える気がした


あと１分４６秒


ならこれねー、ともう一度ペットボトルを取り出し、彼女の前髪を鷲掴んだ。そのまま口にペットボトルの水を流し込む。ひたすら、ひたすら流し込む。飲みきれなくて吐き出しても、新しいペットボトルが出てくる。


“『……ッ！ぁ゛、が、ごっぼ、ぇ、』”



あと、56秒



“「ねえ、苦しい？苦しい？ｗｗｗ次は？何がいい？」”
“『…………』”
“「答えられねーじゃん、じゃあこれにしよーぜ」”


あと３５秒


手に取られるのは針だった。ピアスでも開けてみる～？と笑いながら、##NAME1##の耳朶にゆっくりと、突き刺した。


“『ッぁあぁぁぁ゛あああ゛！！！！！！やめ、ぐぁ、いだ、いたいいやぁぁあ゛あぁああぁ゛！！！！』”



あと、２０秒



“「はーいもう片方も開けるよー」”
“『っ、は、ぁ゛、ぐ、そ、くそ、………………？、は、はは、ははは！！！』”
“「……何コイツ急に笑い出したんだけど」”
“「ちょっと狂うのは早くない？」”


あと６秒


“「ちょ、なんだこの音！？」”
“『バァカ！！！もうおせえよ！！』”


不可解に笑う彼女に男達は、画面の向こうの連中は、従兄弟達は首を傾げる。そして、幼馴染み連中は、これからの事を全て山田に任せる事と、それをフォローする事を固く誓う。










“『私が許す！！！！！殺れ！！！！山田ァ！！！！！！』”



倉庫の硬い扉が、吹っ飛ばされた