山田くん外伝!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
高校で会ったとき、黒澤友哉の外見は中学時代とまるで変わっていた。彼女は気付いていなかった。そりゃそうだ、喧嘩に飽き飽きしてこんな格好をしているのだ、簡単に気付かれても困る。名前も伝えなかったしあれ一度きりしか会ってない。
だけど、あの時。彼女が上の奴等に呼び出された時。
『山田くん君美術部だよね!』
一瞬は?と、誰に話しかけてるとも思ったが自然にそちらを向いてしまった。かち合う視線。ニヤリと彼女が笑う。あの時には考えられない笑いだった。
まさか。彼女は覚えているのかもしれない、同じ中学や周辺しか知らない自分の過去を知っているのかもしれない。それでも、それでも。
彼女の話に乗った。楽しそうに笑うから。
初めて悪友と呼べる人物に会えた瞬間である。
ここからはそんな彼女と悪友になるお話。
彼女とは色んな話をした。あの頃の顔じゃなかった。全部に絶望したような、救いを求めるような顔じゃなかった。うっかり汚い言葉を返してもそれ以上の汚い言葉を返してきて、2人で笑いあった。
『山田くんさぁ、山田って名前じゃないよね』
何を今更、と笑えばそのまま呼んでた方が都合いいんじゃないの、と笑った。あぁその通りさ、俺はもう厄介事はごめんだ。
あの兄貴の弟と言うだけで周りから不良認定された。当然グレた。中学時代を知らない奴等は見たら驚いて心筋梗塞で死ぬレベルでグレた。考えても見ろ、兄貴がバリバリなヤンキーだからと言って弟もそうと限るか?
最初に“黒澤の弟”を狙ってきた奴等を本能的に。そこらの少し太い木の枝でタコ殴りにしてしまったところから不良認定は待ったナシだったのだが。
『兄貴と仲悪いの』
「向こうが避けてる」
『はぁ?』
兄の黒澤和光の頬には傷がある。他校の真島にやられた傷だ。そして黒澤友哉の腕には大きな傷跡がある。和光が中1、友哉が小6の時、まだ普通に話せていた時。2人で町を歩いていた時に他校の男が当時目立っていた和光を襲おうとしたのだ。
友哉はまだ暴力とは……無縁とは言えないが少々甘かった。和光は弟を庇おうとしたが友哉はそれよりも早く兄を庇った。兄の代わりに吹き飛ばされた友哉は商店街のガラスに突っ込み、大怪我を負った。騒ぐ住人達に、痛みに?く弟と、逃げる男。そして当の兄は呆然と立ち尽くしていた。
和光も、甘かった。弟が、黒澤和光が馬鹿をした分弟に行くとは思わなかった。自分の弟であるが為に、優しい弟は傷付いた。
何針か縫って家で横になり、「おれはだいじょうぶ」と眠気に襲われながら言った弟を見て、彼は、黒澤和光は弟と関わるのをやめたのだ。
弟がグレても、自分の敵が弟に絡んでも関わらないのをやめなかった。関わったら、大事なものだと知られ人質になる可能性が高いからだ。もう弟を酷い目に合わせない、そんな覚悟と共に、彼は怖かった。世間一般の不良である彼は孤独で、優しい弟から嫌われるのがとてつもなく怖かった。
兄のそんな気持ちを賢しい弟は察していた。だから兄とはしばらく話せていない。それでも兄が、自分が決めたことだから、どちらからも関わらないでいた。
そんな長々とした話を名前はふぅん、とただ聞いた。そして一言
『めんどくせぇ、泣くくらいならやりたいようにやれや』
泣く?誰が。
言葉は震え頬は濡れていた。チッ、と舌打ちした名前は乱雑に黒澤友哉にタオルを投げつけ、立ち上がった。
「どこいくの」
『関係ねーよ』
酷く苛立った顔だったけど、もっと悲しい顔をしていた。
だけど、あの時。彼女が上の奴等に呼び出された時。
『山田くん君美術部だよね!』
一瞬は?と、誰に話しかけてるとも思ったが自然にそちらを向いてしまった。かち合う視線。ニヤリと彼女が笑う。あの時には考えられない笑いだった。
まさか。彼女は覚えているのかもしれない、同じ中学や周辺しか知らない自分の過去を知っているのかもしれない。それでも、それでも。
彼女の話に乗った。楽しそうに笑うから。
初めて悪友と呼べる人物に会えた瞬間である。
ここからはそんな彼女と悪友になるお話。
彼女とは色んな話をした。あの頃の顔じゃなかった。全部に絶望したような、救いを求めるような顔じゃなかった。うっかり汚い言葉を返してもそれ以上の汚い言葉を返してきて、2人で笑いあった。
『山田くんさぁ、山田って名前じゃないよね』
何を今更、と笑えばそのまま呼んでた方が都合いいんじゃないの、と笑った。あぁその通りさ、俺はもう厄介事はごめんだ。
あの兄貴の弟と言うだけで周りから不良認定された。当然グレた。中学時代を知らない奴等は見たら驚いて心筋梗塞で死ぬレベルでグレた。考えても見ろ、兄貴がバリバリなヤンキーだからと言って弟もそうと限るか?
最初に“黒澤の弟”を狙ってきた奴等を本能的に。そこらの少し太い木の枝でタコ殴りにしてしまったところから不良認定は待ったナシだったのだが。
『兄貴と仲悪いの』
「向こうが避けてる」
『はぁ?』
兄の黒澤和光の頬には傷がある。他校の真島にやられた傷だ。そして黒澤友哉の腕には大きな傷跡がある。和光が中1、友哉が小6の時、まだ普通に話せていた時。2人で町を歩いていた時に他校の男が当時目立っていた和光を襲おうとしたのだ。
友哉はまだ暴力とは……無縁とは言えないが少々甘かった。和光は弟を庇おうとしたが友哉はそれよりも早く兄を庇った。兄の代わりに吹き飛ばされた友哉は商店街のガラスに突っ込み、大怪我を負った。騒ぐ住人達に、痛みに?く弟と、逃げる男。そして当の兄は呆然と立ち尽くしていた。
和光も、甘かった。弟が、黒澤和光が馬鹿をした分弟に行くとは思わなかった。自分の弟であるが為に、優しい弟は傷付いた。
何針か縫って家で横になり、「おれはだいじょうぶ」と眠気に襲われながら言った弟を見て、彼は、黒澤和光は弟と関わるのをやめたのだ。
弟がグレても、自分の敵が弟に絡んでも関わらないのをやめなかった。関わったら、大事なものだと知られ人質になる可能性が高いからだ。もう弟を酷い目に合わせない、そんな覚悟と共に、彼は怖かった。世間一般の不良である彼は孤独で、優しい弟から嫌われるのがとてつもなく怖かった。
兄のそんな気持ちを賢しい弟は察していた。だから兄とはしばらく話せていない。それでも兄が、自分が決めたことだから、どちらからも関わらないでいた。
そんな長々とした話を名前はふぅん、とただ聞いた。そして一言
『めんどくせぇ、泣くくらいならやりたいようにやれや』
泣く?誰が。
言葉は震え頬は濡れていた。チッ、と舌打ちした名前は乱雑に黒澤友哉にタオルを投げつけ、立ち上がった。
「どこいくの」
『関係ねーよ』
酷く苛立った顔だったけど、もっと悲しい顔をしていた。