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『別に社長ったって大した事はしてないよ。昔からの友達とかと集まっただけの会社だしね』
「母ちゃん、結構デカい雑貨屋の店長に社長って呼ばれといてその説明は無茶があると思うぞ」
『え～割とホントなのに。そうねえ、うん。いやでもお前の友達が銀次の息子とは思わなかったな』
「アイツの父ちゃん、鈴蘭だったって聞いたけど」
『そうよ。山田の直属の後輩でなんか知らんけど私にめちゃくちゃ懐いててね……十希夫くん、静かにぶすくれるの辞めてくれる？十希夫くんの後輩でもあるでしょ銀次は』
「それとこれとは別だお前もなんやかんや後輩に甘いし銀次は銀次でお前にストレートに懐きやがって」
『ウケる』
「話拗れるから親父黙っててくれるか？？？」
『学生時代ね、私にめちゃくちゃ懐いてきた銀次をこの人めちゃくちゃ追い回したのよ』
「何してんだよ」
「誤解を生むような事言うな、ちょっと呼び出してお話しただけだ」
「何してんだよ」
『てかどっから話せばいいの？』
「全部だろが、社長ってのも意味解らねえしアイツの母親の葬式出たってなに？」
『そのまんま。銀次が……うん。銀次の嫁、病気でね。友達くん産まれてすぐなったらしいけど、気付いた時にゃ酷くなっててな。色んな病院回って、デカい病院で手術、ってなった時金がねえ、もっと言えば助かる確率は20%。そんな時に、私に頭下げてきてね』
「母ちゃんに？」
『腕のいい医者が下に居るからね。それに、私だって……鈴蘭は嫌いだけど後輩に泣き付かれりゃ助けてもやりたくなる』


なんでもする、アンタの為になんでもするから、嫁が死んじまう、力を貸してくれと。そう叫んだ銀次に##NAME1##はうるせえと叫び返した。お前はいつまで経ってもウザったいが私の後輩なんだ、困ったら来いと何回言えば解るのかと。

すぐさま銀次の嫁を医療班の佐伯の病院で診てもらうも、成功率が少し上がるだけ。佐伯が提案したのは延命治療であった。リスクが高すぎる手術で生きるか死ぬかよりも、アンタ次第だが子供と少しでも一緒に居てやる方を選んでみないかと。
嫁は声を噛み殺して泣く銀次にしっかりしなさいと怒鳴って、延命治療を受けることにした。自分が生きていられる最期の時までも我が子と夫と時間を過ごす為である。

##NAME1##は最大限銀次のサポートをした。嫁の病院に付き添うばかりで職場から嫌味を言われ続ける銀次に将来うちで働け、という条件付きで仕事を辞めさせ、資金の援助もした。たまに中村夫妻と家族ぐるみでお茶をする事もあった。

今、アイツ、死にましたと震える声で電話が掛かってきた時とうとうか、という気持ちと悔しさを押し殺して##NAME1##は佐伯を引き連れ家へ向かい、手続きを手伝って、嫁の葬式を手伝った。穏やかな顔で、最期の瞬間まで銀次と子の手を握っていたという。
銀次は今、##NAME1##の会社で働いている。そんなんだから銀次は##NAME1##には学生時代よりも頭が上がらねえってわけ。


「##NAME1##」
『ん？』
「そろそろお前常磐の話してやっても良いんじゃないか」
「え」
『あ～……まぁそうよねえ。え？でもこれって私が話すより人に聞いた方が良くない？』
「まぁ##NAME1##が自分で話すとやらかした事を小さく語ろうとするからな」
『おいコラハラキヨ』
「懐かしい渾名で呼ぶな」
『どうする？##NAME4##。母ちゃんの話、聞きたい？長くなるよ』
「……。聞きたい」
『うん、じゃあまず明日休みだよね』
「おー」
『朝にまずここに行きなさい』
「……月本不動産？」
『うん。月本光政ってのが居るから、ソイツに会え。元鳳仙の頭で、私の親友だ』
「母ちゃん鳳仙の頭ともつるんでたのか？？？」
「##NAME4##、母ちゃんはなこの街の勢力とはホン…………トに関わりが深くてな。あと月本光政に会ったら親父からですっつって殴っとけ」
「なんで？？？？」
『十希夫くんもしかしてあんな昔のガチ喧嘩根に持ってるの？』
「何浮気？」
「この女な、光政と親友とか抜かしてるけど学生時代ちょこちょこ殴り合いの喧嘩してたからよ」
「母ちゃんはなんなの？？？？？」