不良はヤクザと交われない
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夜になって数人の舎弟を連れ歩き、もうそろそろ解散という我妻涼は向こう側から見覚えのありすぎる女が向かってくるのが見えた。流石に今話しかけられたらマズい、と思ったけれど女はチラリと舎弟を見て、涼と目を合わせてそのまま視線を外した。随分と察しの良い妹に育ったものである。
だがそんな空気を打ち破る男があった。男の名を梶間。涼の舎弟の一人であった。
「え!?名前さん!!?」
「は?」
『あ?……は?嘘梶間?』
梶間は涼達にすみません、ちょっとと言って名前に走っていった。待て。なんでだ。お前名前とどういう関係だ。言いたくても言えないのが辛いところ。梶間は名前の前で膝に手を当てて頭を下げる。その名前はとんでもねえ顔をしているけれど。
「お久しぶりです、名前さん」
『……嘘だろ、なんで居るんだよ』
「今、こちらで世話になってます。何でこちらに?」
『色々あってな。そっかぁ、なに?明らかカタギじゃねーじゃん。ま、元気そうだから良いけど』
「名前さんも息災で」
『お前いい加減頭上げてくれる?見るからにヤクザ屋さんに頭下げられるの嫌なんだけど』
「しかし、」
『は?』
「……失礼します」
梶間は下げていた頭を上げる。涼の舎弟の一人が声をかけようとしたけれど涼が止める。言わないけれどうちの妹に近付くなお前等、という無言の圧である。
「しばらくはこちらに?」
『あぁ、まぁね。まさかお前に会うとは思わなかったけど。蛇渕とは縁切ったの?』
「ええ。事件以来少しして解散になりまして。やる事もなくフラフラとしてる所を……あちらの兄貴に拾って頂きまして」
『うわ……ちょっと』
「え?」
名前は梶間の首に腕を回す。遠目から見てる涼はなに?なんて?どういう事?と言う心境。顔には絶対出さないけれど、ちょっと梶間後で呼び出そうかなと思っている。十三とは違うベクトルでお兄ちゃんしてるのだこいつは。
『梶間、お前、涼をどう思う?』
「えっ?」
『いやね、実はあれ兄貴なのよ。私の』
「は?」
『言うなよ、涼も言わねーだろうし。……お前が涼の助けになれるよーな男なのかを確かめてーの』
「……自分は兄貴に命ァ預けてますよ」
『そう、ならいいけど』
そう言って名前は梶間の胸ポケットに紙を入れる。これは?と目で言うのでク、と喉で笑う。
『ね、恩に着せて良いかい?』
「う゛ッ、いや確かに名前さんにゃ恩がありますけど」
名前は梶間を救ったことがある。名前達が学生時代蛇目連合というクソ野郎共と街対抗で戦った時敵だったこの男は名前に撃破されたが、蛇目連合が戸亜留市勢力に敗北後戸亜留市に復讐を試みるのを見て愛想を尽かし、脱退を決めたのだ。
だが蛇目連合の幹部であった梶間はそう簡単に抜けさせて貰えず、リンチにあい家族を盾に取られ、抜けられなくなった所をばったり名前と出くわしたのだ。
まだお前蛇目に居んの?勿体ねー、お前根性あるし、気概も良い。他に行った方が絶対良いよと言った名前に梶間はそう簡単にいったら苦労しねーと噛み付いたのだ。そうして事情を話すと、お前馬鹿だね!と名前は笑って手を差し伸べたのである。
“『助けてくれって言ってみ!私、案外お前を気に入ってんだぜ!』”
敵であった男に手を差し伸べるなんて何を考えているんだだとか、諸々言ったけれど……最終的に梶間は名前の手を取ったのである。梶間は元来義理堅く、ずっと名前の事を姐さんと呼んで辞めろやと怒られたのだけど。
『涼を助けてやってくれ』
「え?」
『お前が涼を裏切らねーでずっと居てくれるなら……私は、常磐連合はお前の危機にいつでも駆けつけるぜ』
「姐さん、」
『姐さんって言うなっっったろこの馬鹿!』
「あでっ」
『良いかよ、これ以上お前とコソコソ話してるとな!ワンチャンお前涼に殺されるかも知れねーからよ』
「え?」
『ごめんな……アイツ隠れシスコンなんだ……ほら見てみ?顔怖いでしょ』
「いつもと変わってないですよ……」
『解ってねーな、涼はイライラしてる時は右目の下がピクピクして来るんだ。覚えときな』
「めちゃくちゃ覚えときます」
『何かありそうならすぐ連絡しろ、解ったな』
「えっもしかして黒澤さん達も……?」
『呼べばすぐ来るわ。な。頼むよ梶間。……良いよね?』
「い、言い方がズルい……。解りましたよ、姐さん。涼の兄貴は絶対護ります」
『おー。あ、涼は周りに私が妹って事知られたくねーだろうから他のには言うなよ』
「承知しました」
バッと名前は梶間を離してぽんぽん肩を叩いて歩いていった。戻った梶間は他の奴等に誰?と言われて世話になった人、とだけ答えた。
「……梶間」
「あ、はい兄貴」
「後で話がある」
「(あっ目の下本当にピクピクしてる……)」
だがそんな空気を打ち破る男があった。男の名を梶間。涼の舎弟の一人であった。
「え!?名前さん!!?」
「は?」
『あ?……は?嘘梶間?』
梶間は涼達にすみません、ちょっとと言って名前に走っていった。待て。なんでだ。お前名前とどういう関係だ。言いたくても言えないのが辛いところ。梶間は名前の前で膝に手を当てて頭を下げる。その名前はとんでもねえ顔をしているけれど。
「お久しぶりです、名前さん」
『……嘘だろ、なんで居るんだよ』
「今、こちらで世話になってます。何でこちらに?」
『色々あってな。そっかぁ、なに?明らかカタギじゃねーじゃん。ま、元気そうだから良いけど』
「名前さんも息災で」
『お前いい加減頭上げてくれる?見るからにヤクザ屋さんに頭下げられるの嫌なんだけど』
「しかし、」
『は?』
「……失礼します」
梶間は下げていた頭を上げる。涼の舎弟の一人が声をかけようとしたけれど涼が止める。言わないけれどうちの妹に近付くなお前等、という無言の圧である。
「しばらくはこちらに?」
『あぁ、まぁね。まさかお前に会うとは思わなかったけど。蛇渕とは縁切ったの?』
「ええ。事件以来少しして解散になりまして。やる事もなくフラフラとしてる所を……あちらの兄貴に拾って頂きまして」
『うわ……ちょっと』
「え?」
名前は梶間の首に腕を回す。遠目から見てる涼はなに?なんて?どういう事?と言う心境。顔には絶対出さないけれど、ちょっと梶間後で呼び出そうかなと思っている。十三とは違うベクトルでお兄ちゃんしてるのだこいつは。
『梶間、お前、涼をどう思う?』
「えっ?」
『いやね、実はあれ兄貴なのよ。私の』
「は?」
『言うなよ、涼も言わねーだろうし。……お前が涼の助けになれるよーな男なのかを確かめてーの』
「……自分は兄貴に命ァ預けてますよ」
『そう、ならいいけど』
そう言って名前は梶間の胸ポケットに紙を入れる。これは?と目で言うのでク、と喉で笑う。
『ね、恩に着せて良いかい?』
「う゛ッ、いや確かに名前さんにゃ恩がありますけど」
名前は梶間を救ったことがある。名前達が学生時代蛇目連合というクソ野郎共と街対抗で戦った時敵だったこの男は名前に撃破されたが、蛇目連合が戸亜留市勢力に敗北後戸亜留市に復讐を試みるのを見て愛想を尽かし、脱退を決めたのだ。
だが蛇目連合の幹部であった梶間はそう簡単に抜けさせて貰えず、リンチにあい家族を盾に取られ、抜けられなくなった所をばったり名前と出くわしたのだ。
まだお前蛇目に居んの?勿体ねー、お前根性あるし、気概も良い。他に行った方が絶対良いよと言った名前に梶間はそう簡単にいったら苦労しねーと噛み付いたのだ。そうして事情を話すと、お前馬鹿だね!と名前は笑って手を差し伸べたのである。
“『助けてくれって言ってみ!私、案外お前を気に入ってんだぜ!』”
敵であった男に手を差し伸べるなんて何を考えているんだだとか、諸々言ったけれど……最終的に梶間は名前の手を取ったのである。梶間は元来義理堅く、ずっと名前の事を姐さんと呼んで辞めろやと怒られたのだけど。
『涼を助けてやってくれ』
「え?」
『お前が涼を裏切らねーでずっと居てくれるなら……私は、常磐連合はお前の危機にいつでも駆けつけるぜ』
「姐さん、」
『姐さんって言うなっっったろこの馬鹿!』
「あでっ」
『良いかよ、これ以上お前とコソコソ話してるとな!ワンチャンお前涼に殺されるかも知れねーからよ』
「え?」
『ごめんな……アイツ隠れシスコンなんだ……ほら見てみ?顔怖いでしょ』
「いつもと変わってないですよ……」
『解ってねーな、涼はイライラしてる時は右目の下がピクピクして来るんだ。覚えときな』
「めちゃくちゃ覚えときます」
『何かありそうならすぐ連絡しろ、解ったな』
「えっもしかして黒澤さん達も……?」
『呼べばすぐ来るわ。な。頼むよ梶間。……良いよね?』
「い、言い方がズルい……。解りましたよ、姐さん。涼の兄貴は絶対護ります」
『おー。あ、涼は周りに私が妹って事知られたくねーだろうから他のには言うなよ』
「承知しました」
バッと名前は梶間を離してぽんぽん肩を叩いて歩いていった。戻った梶間は他の奴等に誰?と言われて世話になった人、とだけ答えた。
「……梶間」
「あ、はい兄貴」
「後で話がある」
「(あっ目の下本当にピクピクしてる……)」