不良はヤクザと交われない
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ケバケバしい光と声がうごめく街には濃い闇が隠しきれない。どう見てもカタギじゃねえ男が一人で闊歩している時であった。
『よ、兄ちゃん。随分柄が悪いじゃねーの』
後ろから誰かがつけてきているのは解っていた。だから人気のねートンネルまで歩いてきたってのに、この声は。
「……##NAME1##……?」
『ンはは、なに驚いてやがる間抜け。わざと解りやすくつけてやったんだ、気付いてた筈だろ?』
「……しばらく見ねえうちに、随分口が悪くなったな」
『しばらく私からの連絡をフルシカトしたと思ったら馬鹿やってる奴に言われたくねえなァ』
ンね、涼ちゃんと笑う女は男、我妻涼の少ない血縁であった。と、いうか。腹違いの妹である。母が死に、己を捨てた父を恨み幼いながらに協力してくれたとある男と探し当てた時には家には捨てられたこの女が居た。諸々あったけれど……その頃からの付き合いであった。
「……何の用だ」
『用が無きゃ会いに来ちゃいけねーって?固ぇ事言うなよ』
「##NAME1##」
少し強めに言えば引き下がってくれると思った。我妻は大事にしている己の祖父にすら顔を合わせないようにしている男だ、腹違いとは言え妹になぞ合わせる顔がある筈も無かった。
だが、この女は引かないどころか目を合わせてきた。ビクリともしない、その瞳は数多くの修羅場を潜った目であった。
『今日、宿無しなんだけど』
「……」
『良いよね?』
「…………無理、って言ったら?」
『そん時ゃそれまで。金もねえんだけど、いいとこある?』
「は?」
『野宿すっから』
「…………………………お前解って言ってるな?」
『んへへ、泊めてくれるよね?』
「……来い」
『涼ちゃん、お腹空いた。ンとね、ハンバーグ食べたい』
「お前今何時だか解ってんのか?」
『生憎アンタより四つも若いからね。深夜の飯ってのはめちゃくちゃ美味いのよ』
「……はぁ……行くぞ」
『ライター貸して』
「図々しいなお前。煙草なんぞ吸ってんじゃねー」
『固い事言うなって!ワンチャン図々しいのはあのクソ親父からの血筋でしょ』
「……そうな」
この女が小さい頃から付き合いはあったとは言え、己が19になって少しして忙しくなってから連絡を絶っていた筈だ。何年経ったと思っているのか、何故この女はこうも真っ直ぐ己に話しかけてくるのか。
『涼ちゃん』
「……」
『相変わらずだね』
「……なにが」
『いーや。それより、色々あったんだよ。今日は聞いてくれるよね?』
「お前な、」
押し掛けて、家に泊まらせろと言ってみたり、一体なんなんだと。そう、言おうとしたのに。
『可愛い妹の話だ、聞けねー事ァないよね?』
そんな、圧の篭った声を出す女を初めて見た。そんな……人の上に立つような目を、するなんて思いもしなかった。
「……お前、変わったな」
『ンはは!より可愛くなったって?褒めんなよ』
「鏡って知ってるか?」
『ん?可愛くないって事?そゆこと?あーあー!!こんな可愛い妹引っ捕まえて可愛くないんだってよー!!』
「解った、解った。声がデカいんだお前は」
『なにが解ったの』
「可愛いよ、お前はずっと昔からな」
『なに解りきった事言ってんの?早く歩いてくれる?』
「こんのクソ女め……」
ごめんごめん、と男の腕にしがみついた女の左耳に揺れるイヤリングがキラリと冷たく光っていた。
『よ、兄ちゃん。随分柄が悪いじゃねーの』
後ろから誰かがつけてきているのは解っていた。だから人気のねートンネルまで歩いてきたってのに、この声は。
「……##NAME1##……?」
『ンはは、なに驚いてやがる間抜け。わざと解りやすくつけてやったんだ、気付いてた筈だろ?』
「……しばらく見ねえうちに、随分口が悪くなったな」
『しばらく私からの連絡をフルシカトしたと思ったら馬鹿やってる奴に言われたくねえなァ』
ンね、涼ちゃんと笑う女は男、我妻涼の少ない血縁であった。と、いうか。腹違いの妹である。母が死に、己を捨てた父を恨み幼いながらに協力してくれたとある男と探し当てた時には家には捨てられたこの女が居た。諸々あったけれど……その頃からの付き合いであった。
「……何の用だ」
『用が無きゃ会いに来ちゃいけねーって?固ぇ事言うなよ』
「##NAME1##」
少し強めに言えば引き下がってくれると思った。我妻は大事にしている己の祖父にすら顔を合わせないようにしている男だ、腹違いとは言え妹になぞ合わせる顔がある筈も無かった。
だが、この女は引かないどころか目を合わせてきた。ビクリともしない、その瞳は数多くの修羅場を潜った目であった。
『今日、宿無しなんだけど』
「……」
『良いよね?』
「…………無理、って言ったら?」
『そん時ゃそれまで。金もねえんだけど、いいとこある?』
「は?」
『野宿すっから』
「…………………………お前解って言ってるな?」
『んへへ、泊めてくれるよね?』
「……来い」
『涼ちゃん、お腹空いた。ンとね、ハンバーグ食べたい』
「お前今何時だか解ってんのか?」
『生憎アンタより四つも若いからね。深夜の飯ってのはめちゃくちゃ美味いのよ』
「……はぁ……行くぞ」
『ライター貸して』
「図々しいなお前。煙草なんぞ吸ってんじゃねー」
『固い事言うなって!ワンチャン図々しいのはあのクソ親父からの血筋でしょ』
「……そうな」
この女が小さい頃から付き合いはあったとは言え、己が19になって少しして忙しくなってから連絡を絶っていた筈だ。何年経ったと思っているのか、何故この女はこうも真っ直ぐ己に話しかけてくるのか。
『涼ちゃん』
「……」
『相変わらずだね』
「……なにが」
『いーや。それより、色々あったんだよ。今日は聞いてくれるよね?』
「お前な、」
押し掛けて、家に泊まらせろと言ってみたり、一体なんなんだと。そう、言おうとしたのに。
『可愛い妹の話だ、聞けねー事ァないよね?』
そんな、圧の篭った声を出す女を初めて見た。そんな……人の上に立つような目を、するなんて思いもしなかった。
「……お前、変わったな」
『ンはは!より可愛くなったって?褒めんなよ』
「鏡って知ってるか?」
『ん?可愛くないって事?そゆこと?あーあー!!こんな可愛い妹引っ捕まえて可愛くないんだってよー!!』
「解った、解った。声がデカいんだお前は」
『なにが解ったの』
「可愛いよ、お前はずっと昔からな」
『なに解りきった事言ってんの?早く歩いてくれる?』
「こんのクソ女め……」
ごめんごめん、と男の腕にしがみついた女の左耳に揺れるイヤリングがキラリと冷たく光っていた。