反抗期パニック!
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どうして、と呟いた##NAME1##に、春道はなんにも返せやしなかった。
家出していた##NAME1##を確保した春道は飯も食わずに窶れていたので珍しい事に飯まで作ってやって放っておいた。誰にだってそういう時期はあるし、自分が何か言うこともない。美藤達のように心配していない訳ではない。心底心配だし、どうにかならねえかとも思う。それでもただ、この妹分を静かになれる場所に置いて安心させてやりたかったのだ。
そこに、県南のテルから連絡が来た。春道は##NAME1##とテルが従兄弟なのは知っていたのでテルからだわ、とその場で電話に出ると、##NAME1##はぴくりと反応して顔を上げた。
おうテルどーした!とわざとらしく明るく声を出してみれば、##NAME1##もいそいそ近付いてきた。なるべく構わないようにしていたのが幸をそうしたらしい。隣に座った##NAME1##の頭をくしゃりと撫でてテルに話を促すと、まず先日の県南の件の礼を言われた。そうして、公平の事なんだがよと呟く。耳を寄せた##NAME1##の目が光る。
《俺達と別れた後に、殺されたんだ》
「、は?」
《##NAME1##にゃ言わないでやってくれ、アイツ、可愛がってたからよ》
心臓が跳ねる。息をする事すら困難だってのに、電話の向こうのテルは話し続けている。本当に、自分達と別れた直後だったのだと。ナイフで刺された陣内は、一人静かに倒れていたのだと。なんとか電話を切りてえってのに、隣の女がそれを邪魔する。
『どう、して』
《……##NAME1##?》
『どうして、どうして?どうして!こう、こうへいくん、ど、どうして、』
「、##NAME1##」
『どうし、どうして、どうしてよ』
表情が追い付かない。##NAME1##の喉から掠れた音が込み上げて、春道の服に縋る手は震えている。電話の向こうのテルが聞かれちまったと息を飲む。
陣内が好きだった。自分の腹違いの兄のように、身内には甘かったあの男は、テルの従姉妹である##NAME1##を本当に可愛がっていた。会う機会は少なかったけれど、正直テルよりも連絡は取っていたかもしれない。
ついこの間、電話したばかりだった。少しばかり落ち込んだような声で、「しばらくしたら、会いに行く」と。言っていたというのに。
公平くんまで、私を置いていくの。
それは、##NAME1##を壊すのには十分過ぎた。ギリギリの所で踏みとどまっていた理性を失わせるのには余りに大きすぎた。飛び出して行っちまった##NAME1##を春道は必死に追いかけたけれど、追い付く事はなかった。
加地屋の女、という名称が街中に轟いた。自分を傷付けるような戦いをずっとして、それでも##NAME1##は止まらなかった。ジッとしていたら、何かが壊れっちまいそうだった。
「テメー、何してやがる」
傷だらけで歩いていた##NAME1##をスクラップ置き場まで引きずった好誠は大声で怒鳴り散らした。家にも帰らねえ、何をしてるか解らねえ。気付けばこんなに傷だらけ、引退した十三は朝から晩まで##NAME1##を探し回っていた。そしてそれは五代目を襲名した好誠や稲田、玄場も同じ。三人から発足し周りが敵だらけで大変な時期だので遅れちまったけれど、三人は必死こいて##NAME1##を探していたのだ。
「なぁ、##NAME1##。お前、そんな怪我だらけで。家にも帰らねえで、何してんだよ」
『……』
「##NAME1##!」
「好誠、デケー声出すな、」
『……う』
「あ?なんつった?」
心配が故に好誠はガッチガチにキレていた。大事な妹分がこんなになってまで意味もなく暴れていたらそりゃ怒るだろう。
だが##NAME1##には意味なんて要らなかった。元はと言えば、と表に出さぬように、思わないようにしていた思いが腹を渦巻いていく。言うな、##NAME1##。それは別にこの人達のせいじゃない。やらかした人間が悪いんだ、この人達は悪くない。そう、思ってはいるのに、理解はしているのに。
『自分達の馬鹿のせいで私がこうなって、どう思う?』
三人はその言葉を飲み込むのに随分と時間がかかった。目の前の妹分はそれを嘲笑し、つらつらと言葉を吐いていく。
『何度武装の縁者として拐われかけたと思う?何度武田好誠の後輩として八つ当たりされたと思う』
違う、そんな事言いたいんじゃない。そんな気持ちと裏腹に言葉は止まらない、嘲るような笑いが止まらない。
『いつまでこんな事してるつもりだ、だっけ。逆に聞くけど、いつまで私を苦しめたら気が済むの?』
「、##NAME1##」
『いつまで私は、私の事じゃなくてお前等の事で責められなきゃならないの?答えろ武田好誠!!』
酷い八つ当たりもあったもんだ、と自分の言葉に笑っちまった。全部が全部この人のせいじゃねーって解ってるってのに。全部が全部、その事で暴れてる訳じゃねーってのに。好誠が顔を歪める。風の音が耳を貫く程の静寂が四人を襲って、少しして。
「……##NAME1##、帰るぞ」
『帰らない。私はまだ、やる事がある』
ここまで来ちまったら、ここまで言っちまったのならば。襲われる事が止まないのなら、いっそ自分のせいにしちまおう。自分の自業自得で、武装とも幼馴染とも関わりを薄くしちまえば。いずれこの人達もまたか、と諦めてくれるかもしれない。そうしたら私を襲っても武装は来ないし、人質としての価値もなく、ただただ私が目障りなだけ。そうしたらきっと、十三も呆れて放っておいて、自分だけの人生を。
ばち、と頬に痛みが走る。あぁ、兄貴分に叩かれるのこれで二度目。叩いた本人が一番苦しい顔してるのも、二度目。稲田と玄場が好誠!と怒鳴り声をあげ、
コンッ!と好誠の顎に衝撃。そんな反撃が来ると思っていなかった好誠の動きは数秒止まって、その間に##NAME1##の身体はぐるりと回っていた。踵が勢いよく振り抜かれ、好誠の身体が崩れ落ちる。稲田と玄場が驚愕に言葉も出せずに居ると、##NAME1##は酷く苦しそうな面で『さよなら』と吐いたのだった。
どうして、と呟いた##NAME1##に、春道はなんにも返せやしなかった。
家出していた##NAME1##を確保した春道は飯も食わずに窶れていたので珍しい事に飯まで作ってやって放っておいた。誰にだってそういう時期はあるし、自分が何か言うこともない。美藤達のように心配していない訳ではない。心底心配だし、どうにかならねえかとも思う。それでもただ、この妹分を静かになれる場所に置いて安心させてやりたかったのだ。
そこに、県南のテルから連絡が来た。春道は##NAME1##とテルが従兄弟なのは知っていたのでテルからだわ、とその場で電話に出ると、##NAME1##はぴくりと反応して顔を上げた。
おうテルどーした!とわざとらしく明るく声を出してみれば、##NAME1##もいそいそ近付いてきた。なるべく構わないようにしていたのが幸をそうしたらしい。隣に座った##NAME1##の頭をくしゃりと撫でてテルに話を促すと、まず先日の県南の件の礼を言われた。そうして、公平の事なんだがよと呟く。耳を寄せた##NAME1##の目が光る。
《俺達と別れた後に、殺されたんだ》
「、は?」
《##NAME1##にゃ言わないでやってくれ、アイツ、可愛がってたからよ》
心臓が跳ねる。息をする事すら困難だってのに、電話の向こうのテルは話し続けている。本当に、自分達と別れた直後だったのだと。ナイフで刺された陣内は、一人静かに倒れていたのだと。なんとか電話を切りてえってのに、隣の女がそれを邪魔する。
『どう、して』
《……##NAME1##?》
『どうして、どうして?どうして!こう、こうへいくん、ど、どうして、』
「、##NAME1##」
『どうし、どうして、どうしてよ』
表情が追い付かない。##NAME1##の喉から掠れた音が込み上げて、春道の服に縋る手は震えている。電話の向こうのテルが聞かれちまったと息を飲む。
陣内が好きだった。自分の腹違いの兄のように、身内には甘かったあの男は、テルの従姉妹である##NAME1##を本当に可愛がっていた。会う機会は少なかったけれど、正直テルよりも連絡は取っていたかもしれない。
ついこの間、電話したばかりだった。少しばかり落ち込んだような声で、「しばらくしたら、会いに行く」と。言っていたというのに。
公平くんまで、私を置いていくの。
それは、##NAME1##を壊すのには十分過ぎた。ギリギリの所で踏みとどまっていた理性を失わせるのには余りに大きすぎた。飛び出して行っちまった##NAME1##を春道は必死に追いかけたけれど、追い付く事はなかった。
加地屋の女、という名称が街中に轟いた。自分を傷付けるような戦いをずっとして、それでも##NAME1##は止まらなかった。ジッとしていたら、何かが壊れっちまいそうだった。
「テメー、何してやがる」
傷だらけで歩いていた##NAME1##をスクラップ置き場まで引きずった好誠は大声で怒鳴り散らした。家にも帰らねえ、何をしてるか解らねえ。気付けばこんなに傷だらけ、引退した十三は朝から晩まで##NAME1##を探し回っていた。そしてそれは五代目を襲名した好誠や稲田、玄場も同じ。三人から発足し周りが敵だらけで大変な時期だので遅れちまったけれど、三人は必死こいて##NAME1##を探していたのだ。
「なぁ、##NAME1##。お前、そんな怪我だらけで。家にも帰らねえで、何してんだよ」
『……』
「##NAME1##!」
「好誠、デケー声出すな、」
『……う』
「あ?なんつった?」
心配が故に好誠はガッチガチにキレていた。大事な妹分がこんなになってまで意味もなく暴れていたらそりゃ怒るだろう。
だが##NAME1##には意味なんて要らなかった。元はと言えば、と表に出さぬように、思わないようにしていた思いが腹を渦巻いていく。言うな、##NAME1##。それは別にこの人達のせいじゃない。やらかした人間が悪いんだ、この人達は悪くない。そう、思ってはいるのに、理解はしているのに。
『自分達の馬鹿のせいで私がこうなって、どう思う?』
三人はその言葉を飲み込むのに随分と時間がかかった。目の前の妹分はそれを嘲笑し、つらつらと言葉を吐いていく。
『何度武装の縁者として拐われかけたと思う?何度武田好誠の後輩として八つ当たりされたと思う』
違う、そんな事言いたいんじゃない。そんな気持ちと裏腹に言葉は止まらない、嘲るような笑いが止まらない。
『いつまでこんな事してるつもりだ、だっけ。逆に聞くけど、いつまで私を苦しめたら気が済むの?』
「、##NAME1##」
『いつまで私は、私の事じゃなくてお前等の事で責められなきゃならないの?答えろ武田好誠!!』
酷い八つ当たりもあったもんだ、と自分の言葉に笑っちまった。全部が全部この人のせいじゃねーって解ってるってのに。全部が全部、その事で暴れてる訳じゃねーってのに。好誠が顔を歪める。風の音が耳を貫く程の静寂が四人を襲って、少しして。
「……##NAME1##、帰るぞ」
『帰らない。私はまだ、やる事がある』
ここまで来ちまったら、ここまで言っちまったのならば。襲われる事が止まないのなら、いっそ自分のせいにしちまおう。自分の自業自得で、武装とも幼馴染とも関わりを薄くしちまえば。いずれこの人達もまたか、と諦めてくれるかもしれない。そうしたら私を襲っても武装は来ないし、人質としての価値もなく、ただただ私が目障りなだけ。そうしたらきっと、十三も呆れて放っておいて、自分だけの人生を。
ばち、と頬に痛みが走る。あぁ、兄貴分に叩かれるのこれで二度目。叩いた本人が一番苦しい顔してるのも、二度目。稲田と玄場が好誠!と怒鳴り声をあげ、
コンッ!と好誠の顎に衝撃。そんな反撃が来ると思っていなかった好誠の動きは数秒止まって、その間に##NAME1##の身体はぐるりと回っていた。踵が勢いよく振り抜かれ、好誠の身体が崩れ落ちる。稲田と玄場が驚愕に言葉も出せずに居ると、##NAME1##は酷く苦しそうな面で『さよなら』と吐いたのだった。