出られない部屋に入りました
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“大声で合唱しないと出られない部屋”
『行くわよ春ちゃん』
「待ってください」
『なに』
「なに歌うんすか」
『旅立ちの日に』
「覚えてねっすよ」
『は?したらなに覚えてるわけ』
「なにって……なにかな……」
『解った、かえるの歌にしよ』
「正気か?」
『かーえーるーのーうーたーがー!!!!』
「聞いちゃいねえ」
『きーこーえーてーくーるーよー!!!!!』
「かーえーるーのーうーたーがー」
『かえるの歌舐めてんの?』
「なんで怒られてんだ……?」
『ドレミの歌にする?』
「ドーはドーナツーのードーレーは」
『ドーはドーナツーのードー』
「完璧な輪唱辞めてください」
『そうだこれ輪唱だったわ』
十五分で出られた。春は疲れきった顔をしていたとだけ記しておく。
“歳上の者が歳下の者の首を五分間絞めなければ出られない部屋”
「……」
『……は?』
「誰の許可得て命令してんだこの部屋」
『部屋にキレるんじゃないよいやキレていいドア吹っ飛ばして』
十三がとんでもねえ勢いでドアを蹴る。現役の時から全然衰えてねえ威力にビビるけれど、それでも開きやしなかった。マジ?
ご丁寧にドアの上にはタイマーらしきもの。ちょっと試しに絞めてみてと言えば十三は不快な顔をした。そりゃそう。好き好んで妹の首なんぞ絞めたくねえわ。
でも仕方ねえと軽く、本当に軽く首を握る。タイマーは動かない。
『十三、大丈夫だからもうちょい強く』
「##NAME1##」
『出れない方が困るでしょ。……大丈夫だから』
チ、とドデカい舌打ちを零して十三が座れと言った。まぁ楽な体勢のがいいよね。座ると徐々に十三の手に力を入る。痛い、よりも苦しいが強くなってきた頃タイマーがピ!と元気に音を立てた。
「大丈夫か」
『……ッ、』
「ヤバくなったら二回叩け」
っつったって、途中で止めたらタイマーが止まるかなにかするだろうに。十三もそう思ったのか一度首から力を抜くとタイマーはリセット。どうしようもねえなと鈍い顔をする。
十三の太くカサついた手が、指がゆっくりと##NAME1##の首を絞めていく。呼吸が出来るか出来ないか、顔に血液が上る感覚に喘ぐと首を絞める方とは別の手で十三が頭を撫でた。
三分程経った時だった。##NAME1##はもう既に顔を赤くしてかひゅ、かひゅ、と息に音を混じらせていた。すると十三が思わずと言った風に手を離しちまった。咳き込む##NAME1##がきろりと睨むと大丈夫かと心配そうに覗き込む。バカヤロ苦痛が長引くだけだろが。
「##NAME1##、横になれよ」
『え?』
「その方が楽だろ」
チリチリと脳裏で火花が燃え始める。十三はいつもと変わらない。……変わらない?そう、変わっていない。目は心配を浮かべているし、手は##NAME1##の頬を撫でている。なのに、何故こんなに“ヤバい時の感じがする”?
「どうした」
『……』
「怖いよな。苦しいよな。……さっさと終わらせよう、終わったら何食いたい?」
『、ぱ、パフェ』
「ハハ。デカいの作ってやるよ、将五にアイス買って来させような」
『……』
「ほら」
十三の手が##NAME1##の頭を支えながらゆっくりと身体を倒す。導火線が燃える、十三の指が首に触れる、燃える、力が込められて、
『か、カウント、始まらな、』
「ん?」
『も、うちょい、“絞めて”』
火薬に到達した火種は治まることを知らない。バチッと弾けて止まらない。十三は心配そうに浮かべていた色を蕩けたものに変えた。?───────やらかした、そう思った時には遅かった。先程よりも強く込められた力に##NAME1##は十三の腕に縋り付いた。
『あ゛……ッが、ゅ、ぞ』
「ん?」
『ッぐ、あ!つよ、あ゛、』
「苦しいなァ」
『ーーッ、~ぅ゛、な、して』
「まだ一分にもなってねえよ」
『ぅあ゛!ーー!!!』
「なんだ?死ぬようなヘマしねえよ」
先程までの気遣いは何処へ行ったのか、なんとも思ってないような表情で、寧ろ軽く笑みすら浮かべている。振り上げた足は十三が胴に乗り上げた事で阻まれる。その圧迫感で余計に酸素が足りなくなって呻く事すら困難になった。
「そりゃ、“お願い”されたら叶えてやらなきゃな?」
明確に言葉に出したことで何かのスイッチを踏んでしまったらしい。はく、はくと魚みてーに口を開閉し、頭に血が上った状態の##NAME1##は口端から唾液が溢れるのも気にせずに十三の肩をぺち、ぺちと力無く叩く。
「ほら、あと一分だとよ」
意識が朦朧とする。早く終わってくれと痛み始めた頭の中で叫ぶ。すると先程より更に力を込められ、命の危機を感じ足をバタバタと暴れさせる。獣みてえに喘いで、十三の腕に爪を立て、
ふ、と急激に肺に酸素が入り込む。それに噎せこんでいると空いていた十三の片手が涙を拭った。終わった、やっと終わった、
「辞めてほしそうだから、離しちまった」
非道く愉しげに言う十三に、信じられないものを見る目で見て、急いでタイマーを見れば元の五分に戻っている。##NAME1##はサッと顔を蒼褪めさせた。
『ひ、ッや、やだ、』
「さ、もう一回頑張ろうな」
『やだ、やだ……ッ』
「今度はちゃんと、おねだりしてくれるよな?」
な、##NAME1##。泣き喚いて逃げようとしても逃げられない妹分の首に、十三は普段なら見せる事の無い酷薄な笑みを浮かべて指を伸ばしたのだった。
“大声で合唱しないと出られない部屋”
『行くわよ春ちゃん』
「待ってください」
『なに』
「なに歌うんすか」
『旅立ちの日に』
「覚えてねっすよ」
『は?したらなに覚えてるわけ』
「なにって……なにかな……」
『解った、かえるの歌にしよ』
「正気か?」
『かーえーるーのーうーたーがー!!!!』
「聞いちゃいねえ」
『きーこーえーてーくーるーよー!!!!!』
「かーえーるーのーうーたーがー」
『かえるの歌舐めてんの?』
「なんで怒られてんだ……?」
『ドレミの歌にする?』
「ドーはドーナツーのードーレーは」
『ドーはドーナツーのードー』
「完璧な輪唱辞めてください」
『そうだこれ輪唱だったわ』
十五分で出られた。春は疲れきった顔をしていたとだけ記しておく。
“歳上の者が歳下の者の首を五分間絞めなければ出られない部屋”
「……」
『……は?』
「誰の許可得て命令してんだこの部屋」
『部屋にキレるんじゃないよいやキレていいドア吹っ飛ばして』
十三がとんでもねえ勢いでドアを蹴る。現役の時から全然衰えてねえ威力にビビるけれど、それでも開きやしなかった。マジ?
ご丁寧にドアの上にはタイマーらしきもの。ちょっと試しに絞めてみてと言えば十三は不快な顔をした。そりゃそう。好き好んで妹の首なんぞ絞めたくねえわ。
でも仕方ねえと軽く、本当に軽く首を握る。タイマーは動かない。
『十三、大丈夫だからもうちょい強く』
「##NAME1##」
『出れない方が困るでしょ。……大丈夫だから』
チ、とドデカい舌打ちを零して十三が座れと言った。まぁ楽な体勢のがいいよね。座ると徐々に十三の手に力を入る。痛い、よりも苦しいが強くなってきた頃タイマーがピ!と元気に音を立てた。
「大丈夫か」
『……ッ、』
「ヤバくなったら二回叩け」
っつったって、途中で止めたらタイマーが止まるかなにかするだろうに。十三もそう思ったのか一度首から力を抜くとタイマーはリセット。どうしようもねえなと鈍い顔をする。
十三の太くカサついた手が、指がゆっくりと##NAME1##の首を絞めていく。呼吸が出来るか出来ないか、顔に血液が上る感覚に喘ぐと首を絞める方とは別の手で十三が頭を撫でた。
三分程経った時だった。##NAME1##はもう既に顔を赤くしてかひゅ、かひゅ、と息に音を混じらせていた。すると十三が思わずと言った風に手を離しちまった。咳き込む##NAME1##がきろりと睨むと大丈夫かと心配そうに覗き込む。バカヤロ苦痛が長引くだけだろが。
「##NAME1##、横になれよ」
『え?』
「その方が楽だろ」
チリチリと脳裏で火花が燃え始める。十三はいつもと変わらない。……変わらない?そう、変わっていない。目は心配を浮かべているし、手は##NAME1##の頬を撫でている。なのに、何故こんなに“ヤバい時の感じがする”?
「どうした」
『……』
「怖いよな。苦しいよな。……さっさと終わらせよう、終わったら何食いたい?」
『、ぱ、パフェ』
「ハハ。デカいの作ってやるよ、将五にアイス買って来させような」
『……』
「ほら」
十三の手が##NAME1##の頭を支えながらゆっくりと身体を倒す。導火線が燃える、十三の指が首に触れる、燃える、力が込められて、
『か、カウント、始まらな、』
「ん?」
『も、うちょい、“絞めて”』
火薬に到達した火種は治まることを知らない。バチッと弾けて止まらない。十三は心配そうに浮かべていた色を蕩けたものに変えた。?───────やらかした、そう思った時には遅かった。先程よりも強く込められた力に##NAME1##は十三の腕に縋り付いた。
『あ゛……ッが、ゅ、ぞ』
「ん?」
『ッぐ、あ!つよ、あ゛、』
「苦しいなァ」
『ーーッ、~ぅ゛、な、して』
「まだ一分にもなってねえよ」
『ぅあ゛!ーー!!!』
「なんだ?死ぬようなヘマしねえよ」
先程までの気遣いは何処へ行ったのか、なんとも思ってないような表情で、寧ろ軽く笑みすら浮かべている。振り上げた足は十三が胴に乗り上げた事で阻まれる。その圧迫感で余計に酸素が足りなくなって呻く事すら困難になった。
「そりゃ、“お願い”されたら叶えてやらなきゃな?」
明確に言葉に出したことで何かのスイッチを踏んでしまったらしい。はく、はくと魚みてーに口を開閉し、頭に血が上った状態の##NAME1##は口端から唾液が溢れるのも気にせずに十三の肩をぺち、ぺちと力無く叩く。
「ほら、あと一分だとよ」
意識が朦朧とする。早く終わってくれと痛み始めた頭の中で叫ぶ。すると先程より更に力を込められ、命の危機を感じ足をバタバタと暴れさせる。獣みてえに喘いで、十三の腕に爪を立て、
ふ、と急激に肺に酸素が入り込む。それに噎せこんでいると空いていた十三の片手が涙を拭った。終わった、やっと終わった、
「辞めてほしそうだから、離しちまった」
非道く愉しげに言う十三に、信じられないものを見る目で見て、急いでタイマーを見れば元の五分に戻っている。##NAME1##はサッと顔を蒼褪めさせた。
『ひ、ッや、やだ、』
「さ、もう一回頑張ろうな」
『やだ、やだ……ッ』
「今度はちゃんと、おねだりしてくれるよな?」
な、##NAME1##。泣き喚いて逃げようとしても逃げられない妹分の首に、十三は普段なら見せる事の無い酷薄な笑みを浮かべて指を伸ばしたのだった。