阿賀島くん外伝!
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怪我が治って、中一の半ば。三代目は崩壊し、九能龍信が四代目を継いだ。阿賀島はあの事件から武装を嫌悪し、四代目に入った十三達にも少し……大分複雑な思いを抱いていた。
あの時、母親が胃炎になったと父親に言われていたけれど、違った。母親は癌だった。気を遣われていたのだ。だって、母親は昔からクソみてーな目にあい続けて、阿賀島のせいで何度も何度も痛い目にあって、ようやく、ようやく今の父親と幸せになれると思ったのに。中学を卒業したらあのクソ野郎と似ている自分が離れれば、今度こそ笑えると思ったのに。
元から身体が弱かった母親はいつもの体調不良だと病院に行くのが遅れて、もう末期だった。もう、助からないと言われた。余命は半年。阿賀島は大いに荒れた。母親はもう入院してるので見舞いの時は大人しくして、大した会話も無いけど凄く気にかけた。でも、家では父親に当たっちまったり、学校や外では気に入らない奴を片っ端から半殺しにした。毎日母親の見舞いに行く##NAME1##が頑張って阿賀島を止めるけれど、阿賀島は止まらなかった。##NAME1##には一切手を上げないけど、それでも話を聞く気も無かった。この頃には、辛い現実から逃げるように母親の見舞いも避けていた。
ある日の夕方、阿賀島は母さんの見舞いに行こうと言った父親に気付かなかった癖にと吐き捨てて外に飛び出した。その先には煙草を咥えた##NAME1##が立ちはだかっていた。
「……ンだよ」
『ちょっと、ツラ貸せ』
阿賀島を追いかけてきた父親が##NAME1##ちゃん、と声をかける。##NAME1##は阿賀島を底冷えするような目で見ながら、ごめん、ちょっとだけ、借りる。そう言って歩いて行った。
これはたまたま通りがかった坊屋春道達が言っていたのだけれど、二人は河川敷で殺し合いになった。体格や力、全てにおいて勝る阿賀島と、全てにおいて劣る##NAME1##。壮絶を極めた喧嘩に思わず杉原や本城が止めようとしたけど、坊屋と桐島が止めた。だって、本当に殺し合いだったけど、二人共泣いてるみてーに拳を振るうから。
最後に立っていたのは、##NAME1##だった。何回か二人が言葉を交わして、阿賀島は泣いていた。どうしたらいいんだよと、胸を締め付けられるような叫びを上げていた。
『テメーがそんなツラしてたら!!!母ちゃんが安心出来ねーだろうが!!!!』
阿賀島と母親の間がとんでもねえ深い溝で隔たれている事を##NAME1##は知っていた。阿賀島が自分が実の父親に似ているから母親は今でも怯えていると、だから離れていることを母親も父親も知っていた。
でも、毎日見舞いに通う##NAME1##に母親は困ったように、懺悔するように言うのだ。尊のせいじゃないのに、尊は、私の子なのに、尊に怯えてしまうと。大事な子なのに、あの子に気を遣わせてしまっていると、このまま死んでしまったら尊はずっと気にしてしまうと、泣いていたのだ。この親子には、話し合う機会が無かった。もっとちゃんと話すべきだったのだ。
『いいか!!!!お前、今すぐそのクソみてーなツラ引き下げて病院に行け!!!母ちゃんと話し合え!!!死んじまったらなにも言えねーんだ、和志兄ちゃんの時でお前も解ってんだろうが!!!』
##NAME1##は阿賀島の胸ぐらを引っ掴んで叫んだ。大事な人が二度死んだ女は、大事な人と話せる貴重な時間を無駄にする男が許せなかった。もうすぐ死ぬと解って、息子の為に泣く母親を、放っては置けなかった。
数分して、阿賀島は項垂れた顔を上げた。ぐちゃぐちゃの顔して、一緒に、行こ、と呟いた。##NAME1##は一つ頷くと河川敷の上を見た。父親が車で迎えに来ていた。
病室に阿賀島が入る。びくりと震える母親に、ごめん、と呟いて阿賀島は崩れ落ちた。母親は最後に見た時よりどんどん細くなっていて、その命が尽きるのもそう遠い話でない事を実感したのだ。
父親と##NAME1##は外に出ていた。煙草を吸おうとした##NAME1##に父親が病院の敷地内は辞めなさいなんて抜けた事を言って、買った冷たいココアを手渡した。
『父ちゃん、行かなくていいの』
「良いんだよ。今日は、二人にさせてやるよ」
『ごめんね、タケちゃんめちゃくちゃボコッたわ』
「##NAME1##ちゃんも大怪我だけどね。後で手当てしよう」
『……母ちゃん、あと、どんくらい?』
「そう、だなぁ。……三ヶ月、持つかなぁ」
『そっか』
##NAME1##は阿賀島の母親が大好きだった。だから胃炎と言われた時からずっと通って、くだらない話で笑わせたりしていた。色んな話をしてくれた。阿賀島の小さい頃の話。嫌な思い出だろうに、本当に色んな話を。そして、色んな話を聞いてくれた。親に置いていかれた話も、なにも。
大好きだった。死んで欲しく無かった。突然の死が辛い事は重々知ってるけれど、知らされている死がこんなに辛いなんて思わなかった。
「ありがとうね」
『……息子殴った奴にありがとうは無いんじゃない?』
「俺はね、尊が可愛いよ。本当の息子だと思ってる。……でも、引け目も感じてた。だから、……辛い事、させてごめんね」
『良いよ。だって、タケちゃん、友達だもん』
阿賀島は母親と色んな話をした。母親も阿賀島と少しずつ話した。小さい頃さ、行った駄菓子屋。好きだったなぁ。尊、あの頃から頭が良かったから、ちゃんと計算して買っていたわよね。クソ野郎居ない時にさ、行った水族館、綺麗だったよね。そうね、大きな……鮫が居たわよね。
ずっとそれから父親が仕事でない限り皆揃って見舞いに行った。馬鹿みたいに笑って、写真を撮って、
そうして冬休みに入った頃、阿賀島と##NAME1##が手を握る中、母親は静かに息を引き取った。
あの時、母親が胃炎になったと父親に言われていたけれど、違った。母親は癌だった。気を遣われていたのだ。だって、母親は昔からクソみてーな目にあい続けて、阿賀島のせいで何度も何度も痛い目にあって、ようやく、ようやく今の父親と幸せになれると思ったのに。中学を卒業したらあのクソ野郎と似ている自分が離れれば、今度こそ笑えると思ったのに。
元から身体が弱かった母親はいつもの体調不良だと病院に行くのが遅れて、もう末期だった。もう、助からないと言われた。余命は半年。阿賀島は大いに荒れた。母親はもう入院してるので見舞いの時は大人しくして、大した会話も無いけど凄く気にかけた。でも、家では父親に当たっちまったり、学校や外では気に入らない奴を片っ端から半殺しにした。毎日母親の見舞いに行く##NAME1##が頑張って阿賀島を止めるけれど、阿賀島は止まらなかった。##NAME1##には一切手を上げないけど、それでも話を聞く気も無かった。この頃には、辛い現実から逃げるように母親の見舞いも避けていた。
ある日の夕方、阿賀島は母さんの見舞いに行こうと言った父親に気付かなかった癖にと吐き捨てて外に飛び出した。その先には煙草を咥えた##NAME1##が立ちはだかっていた。
「……ンだよ」
『ちょっと、ツラ貸せ』
阿賀島を追いかけてきた父親が##NAME1##ちゃん、と声をかける。##NAME1##は阿賀島を底冷えするような目で見ながら、ごめん、ちょっとだけ、借りる。そう言って歩いて行った。
これはたまたま通りがかった坊屋春道達が言っていたのだけれど、二人は河川敷で殺し合いになった。体格や力、全てにおいて勝る阿賀島と、全てにおいて劣る##NAME1##。壮絶を極めた喧嘩に思わず杉原や本城が止めようとしたけど、坊屋と桐島が止めた。だって、本当に殺し合いだったけど、二人共泣いてるみてーに拳を振るうから。
最後に立っていたのは、##NAME1##だった。何回か二人が言葉を交わして、阿賀島は泣いていた。どうしたらいいんだよと、胸を締め付けられるような叫びを上げていた。
『テメーがそんなツラしてたら!!!母ちゃんが安心出来ねーだろうが!!!!』
阿賀島と母親の間がとんでもねえ深い溝で隔たれている事を##NAME1##は知っていた。阿賀島が自分が実の父親に似ているから母親は今でも怯えていると、だから離れていることを母親も父親も知っていた。
でも、毎日見舞いに通う##NAME1##に母親は困ったように、懺悔するように言うのだ。尊のせいじゃないのに、尊は、私の子なのに、尊に怯えてしまうと。大事な子なのに、あの子に気を遣わせてしまっていると、このまま死んでしまったら尊はずっと気にしてしまうと、泣いていたのだ。この親子には、話し合う機会が無かった。もっとちゃんと話すべきだったのだ。
『いいか!!!!お前、今すぐそのクソみてーなツラ引き下げて病院に行け!!!母ちゃんと話し合え!!!死んじまったらなにも言えねーんだ、和志兄ちゃんの時でお前も解ってんだろうが!!!』
##NAME1##は阿賀島の胸ぐらを引っ掴んで叫んだ。大事な人が二度死んだ女は、大事な人と話せる貴重な時間を無駄にする男が許せなかった。もうすぐ死ぬと解って、息子の為に泣く母親を、放っては置けなかった。
数分して、阿賀島は項垂れた顔を上げた。ぐちゃぐちゃの顔して、一緒に、行こ、と呟いた。##NAME1##は一つ頷くと河川敷の上を見た。父親が車で迎えに来ていた。
病室に阿賀島が入る。びくりと震える母親に、ごめん、と呟いて阿賀島は崩れ落ちた。母親は最後に見た時よりどんどん細くなっていて、その命が尽きるのもそう遠い話でない事を実感したのだ。
父親と##NAME1##は外に出ていた。煙草を吸おうとした##NAME1##に父親が病院の敷地内は辞めなさいなんて抜けた事を言って、買った冷たいココアを手渡した。
『父ちゃん、行かなくていいの』
「良いんだよ。今日は、二人にさせてやるよ」
『ごめんね、タケちゃんめちゃくちゃボコッたわ』
「##NAME1##ちゃんも大怪我だけどね。後で手当てしよう」
『……母ちゃん、あと、どんくらい?』
「そう、だなぁ。……三ヶ月、持つかなぁ」
『そっか』
##NAME1##は阿賀島の母親が大好きだった。だから胃炎と言われた時からずっと通って、くだらない話で笑わせたりしていた。色んな話をしてくれた。阿賀島の小さい頃の話。嫌な思い出だろうに、本当に色んな話を。そして、色んな話を聞いてくれた。親に置いていかれた話も、なにも。
大好きだった。死んで欲しく無かった。突然の死が辛い事は重々知ってるけれど、知らされている死がこんなに辛いなんて思わなかった。
「ありがとうね」
『……息子殴った奴にありがとうは無いんじゃない?』
「俺はね、尊が可愛いよ。本当の息子だと思ってる。……でも、引け目も感じてた。だから、……辛い事、させてごめんね」
『良いよ。だって、タケちゃん、友達だもん』
阿賀島は母親と色んな話をした。母親も阿賀島と少しずつ話した。小さい頃さ、行った駄菓子屋。好きだったなぁ。尊、あの頃から頭が良かったから、ちゃんと計算して買っていたわよね。クソ野郎居ない時にさ、行った水族館、綺麗だったよね。そうね、大きな……鮫が居たわよね。
ずっとそれから父親が仕事でない限り皆揃って見舞いに行った。馬鹿みたいに笑って、写真を撮って、
そうして冬休みに入った頃、阿賀島と##NAME1##が手を握る中、母親は静かに息を引き取った。