阿賀島くん外伝!
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阿賀島が投げ付けた机にぶち当たったのは、当たりに行ったのは##NAME1##だった。完全に頭に血が上りきっていた阿賀島は退けと怒鳴った。邪魔をするなと、“弱いもの虐め”するようなクズ殺してやると。
それに対して、##NAME1##とかいう女は机が当たった所から血を流しながら、言ったのだ。『お前がやってるのも、弱いもの虐めじゃないの』と。
スン、と頭が冷える。確かにそれはそう。コイツ等は自分より弱い。確かにこれじゃ弱いもの虐めだなと。そして、言外に##NAME1##も女達の事を“弱き者”と認識している事を悟った。ほぉん、と阿賀島は気の抜ける声を出して、笑った。
「そ~ね!じゃ、や~めた!」
『うん。あぁ、そう、さっきはありがとうね阿賀島くん。助かったよ』
「ねえ~##NAME1##ちゃ、苗字長いからタケちゃんって呼んで~?」
『厚かましいなコイツ』
二人は今まであった事を全て無かったかのように話し始めた。女達は泣き喚いて、やってきた教師に二人は怒られたけれど周りで見ていた奴が説明してくれた。でもやり過ぎだよと保護者は呼ばれたけど。
相手の、女三人の親は怒り狂った。こちらは父親が来て、いつもの難しい顔。どうせ何も言わないんだろうな、と思いながら十三……兄貴が来てる##NAME1##は親が来ないんだなとも思っていた。
「##NAME1##ちゃは悪くね~し。俺が腹立ったからやった」
『大事なモン投げられて、阿賀島くんは一緒に探してくれた』
そうすると向こうの親は物を投げられただけでこんな事するなんて、だの、そもそもそんな物を持ち歩くのが悪いだのと娘達の罪を棚に上げる。これで##NAME1##の不注意で無くしてしまったりだとかなら、解るけれど、そもそも投げる方が悪いんじゃねーのかと##NAME1##の兄は言う。すると、子供は黙ってろと言われて十三は唸った。まだ中学三年生。子供なのは間違いない。阿賀島の父は、何も言わない。それからもどう責任を取るだの、なんだの言って、何故か結局巡り巡って##NAME1##が悪いことになる。不良やヤンチャな子と一緒に居るから性格が歪むだの、
「これだから親の居ない子は」
親の、居ない?阿賀島は勢いよく##NAME1##を見ちまった。##NAME1##は、諦めたような目でその言葉を受け入れる。
だがその言葉に十三は本気で相手の親を殺そうと手をテーブルに伸ばしたのだけど、バン!!!!!!とテーブルが割れるんじゃねーかという勢いで手が叩き付けられた。阿賀島の父だった。
「私の息子は、やり過ぎたのは間違いないでしょう。でも、間違った事はしていない。子供に対して、親がどうこう言うのは間違ってると思わないのか」
「な、間違った事はしていない!?何を言ってるの!!?」
「この子とうちの子の手が見えないのか!!!」
阿賀島の父親が二人の手を掴む。財布を捜索した時に草で切れてぼろぼろの手を。
「こんなになるまで探した大切な物なんだ、それをそもそも窓から投げるなんて暴挙に出たのはそちらのお子さん達だろう。故意的に投げられた事は先生が事情を聞いて皆の口から出てる事なんだ、そちらから謝罪が出るまでこちらが謝る事なんて一切ない!!!!」
父親から大きな声が上がるのを初めて聞いて、阿賀島は目をぱちくりと大きく開けた。父が自分も、##NAME1##の事も庇ってくれるなんて思わなかったのだ。苛立ってた十三もそれを聞いてスッ……とテーブルから手を離した。親達は命拾い。そうして教師が間に入り、一旦解散となった。
「すみません、大変な事になっちまって」
「いや、君の……妹さんかな?彼女は何も悪くない。謝らなくていい、慰めてやって欲しい」
『あの、タケちゃんは、悪くないんです。なにも、』
「解ってるよ。これから話はするけど、決して怒ったりはしないから君も安心してくれ」
##NAME1##と手を振って、父親と静かな車内で二人きり。しばらく無言だったけれど、急に、「良くやったな」と声をかけられた。怒らないとは言っていたけど、そんな言葉をかけられるとは思っていなかったのでえ、なんて声を出す。
「……やり過ぎなのは、まぁ、良くないが。……あの子を護る為だったんだろ。それは、決して間違った事じゃない」
「やり過ぎて母さんにもまた怯えられるのに?」
「俺が上手く言うさ。……あの子は良い子だな、あの場で尊の事、悪くないなんて言える子はそうは居ない。あぁいう友達は、大切にしなさい」
家に帰ると相変わらず母親に怯えられたけど、初めて父親が悪くない、と庇ってくれた。褒めてやれとは言わないけれど、本当に悪くないんだよ、と。母親はそれを聞いて、怯えは取れないけれど、そっか……と呟いて、少し間を置いてから、……ご飯、何にする、と言った。一年少しぶりくらいにかけられた言葉だった。
次の日、##NAME1##は阿賀島の家まで迎えに来た。少し泣きそうな顔で、ごめんね、と、それだけ言いに来たと。
怒られなかったよと言えば、それでも。と頑固に言うもんだからうぜー、しょげた顔やめてとちょっと冷たく言っちまった。そうすると後ろから母親が出てきて、朝ご飯、食べる?と##NAME1##に言った。##NAME1##はすっごく青い顔で首を振ろうとしたけれど、阿賀島は手首を引っ掴んで上がらせた。
中に入っちまえば##NAME1##はすぐ順応した。歪な家庭、昨日と違って全然喋らん父に何処と無く阿賀島にビクつく母親、普段通りの阿賀島。##NAME1##はリュックを置いてダイニングのめちゃくちゃ不安定な家族団欒の中に入った。
阿賀島もこの雰囲気で、もう##NAME1##も話してくれなくなるかな、と頭の隅で考えていた。だってめちゃくちゃ気まずい。自分でも気まずいってのに、ちょっと話すだけの子が耐えられるとは思ってない。
けど、##NAME1##はスルッと出された朝飯を綺麗に食いながら、通る声で言った。
『タケちゃんは、優しい人です』
「ん?」
『財布、一緒に探してくれただけじゃないの、めちゃくちゃボウボウに生えた草、わざわざ片っ端から刈ってくれたの』
「##NAME1##ちゃ、やめて」
『凄い量だった、私一人じゃ兄ちゃんの形見、探しきれなかった』
「……」
『タケちゃんは優しい人です。親無しの私に普通に話しかけてくれる、優しい人です。タケちゃんは悪くないんです。私のせいなんです』
カン!と頭を殴られたような感覚に襲われた。そうして、そんなん関係ねーだろと叫んだ。ぶっちゃけ知らなかったし、そんなんどうでもいいので。
「##NAME1##は##NAME1##だろ、だから俺は話してるのに!」
「尊、座りなさい」
「でも、」
「良いから」
父親に言われて渋々座る。怒鳴っちまったから母親が怯えたのだ。小五の割に発育が良くて背が高くなってきた阿賀島は、あのクソ野郎に少し似てきているらしい。
「あのね、##NAME1##ちゃん。尊は、君の親がどうこうで助けた訳じゃないし、多分君の為でもないんだよ」
『え、』
「尊はね、尊が許せないから怒ったんだ。だから、自分の事を卑下……えっと、……なんて言えばいいんだ?」
「自分の事悪いように言うなってこと」
「母さん、この子頭良いな……?」
「そう、でしょう。頭、良いのよ、この子」
「だから、この子にはごめんじゃない方が嬉しいと思うよ」
##NAME1##は人一倍自責の念に駆られやすい性格だった。だって、まぁ家では正しく良いことは良い、悪い事は悪いと言われるけど学校では大抵全て##NAME1##が悪いと言われ続けたから。
阿賀島は##NAME1##にそんな事思って欲しく無かった。だから、父の言ってることは当たっていた。阿賀島は、阿賀島が腹立つからやっただけで、##NAME1##の為にやった訳じゃない。そうしたら、##NAME1##が悪い事にはならないと。
そんな事を言われて、##NAME1##はびっくりしたような顔をして俯いた。少しして、阿賀島に小さく、ありがとうと呟いた。その言葉はすっと阿賀島の中に入り込んで、ちょっと涙が出ちまって、「こ゛ち゛ら゛こ゛そ゛」なんてダミ声で言った。すると##NAME1##まで泣いちまって朝っぱらから馬鹿みたいに抱き合って泣いて、父親も母親も、困った風に少し笑ったのだった。
それに対して、##NAME1##とかいう女は机が当たった所から血を流しながら、言ったのだ。『お前がやってるのも、弱いもの虐めじゃないの』と。
スン、と頭が冷える。確かにそれはそう。コイツ等は自分より弱い。確かにこれじゃ弱いもの虐めだなと。そして、言外に##NAME1##も女達の事を“弱き者”と認識している事を悟った。ほぉん、と阿賀島は気の抜ける声を出して、笑った。
「そ~ね!じゃ、や~めた!」
『うん。あぁ、そう、さっきはありがとうね阿賀島くん。助かったよ』
「ねえ~##NAME1##ちゃ、苗字長いからタケちゃんって呼んで~?」
『厚かましいなコイツ』
二人は今まであった事を全て無かったかのように話し始めた。女達は泣き喚いて、やってきた教師に二人は怒られたけれど周りで見ていた奴が説明してくれた。でもやり過ぎだよと保護者は呼ばれたけど。
相手の、女三人の親は怒り狂った。こちらは父親が来て、いつもの難しい顔。どうせ何も言わないんだろうな、と思いながら十三……兄貴が来てる##NAME1##は親が来ないんだなとも思っていた。
「##NAME1##ちゃは悪くね~し。俺が腹立ったからやった」
『大事なモン投げられて、阿賀島くんは一緒に探してくれた』
そうすると向こうの親は物を投げられただけでこんな事するなんて、だの、そもそもそんな物を持ち歩くのが悪いだのと娘達の罪を棚に上げる。これで##NAME1##の不注意で無くしてしまったりだとかなら、解るけれど、そもそも投げる方が悪いんじゃねーのかと##NAME1##の兄は言う。すると、子供は黙ってろと言われて十三は唸った。まだ中学三年生。子供なのは間違いない。阿賀島の父は、何も言わない。それからもどう責任を取るだの、なんだの言って、何故か結局巡り巡って##NAME1##が悪いことになる。不良やヤンチャな子と一緒に居るから性格が歪むだの、
「これだから親の居ない子は」
親の、居ない?阿賀島は勢いよく##NAME1##を見ちまった。##NAME1##は、諦めたような目でその言葉を受け入れる。
だがその言葉に十三は本気で相手の親を殺そうと手をテーブルに伸ばしたのだけど、バン!!!!!!とテーブルが割れるんじゃねーかという勢いで手が叩き付けられた。阿賀島の父だった。
「私の息子は、やり過ぎたのは間違いないでしょう。でも、間違った事はしていない。子供に対して、親がどうこう言うのは間違ってると思わないのか」
「な、間違った事はしていない!?何を言ってるの!!?」
「この子とうちの子の手が見えないのか!!!」
阿賀島の父親が二人の手を掴む。財布を捜索した時に草で切れてぼろぼろの手を。
「こんなになるまで探した大切な物なんだ、それをそもそも窓から投げるなんて暴挙に出たのはそちらのお子さん達だろう。故意的に投げられた事は先生が事情を聞いて皆の口から出てる事なんだ、そちらから謝罪が出るまでこちらが謝る事なんて一切ない!!!!」
父親から大きな声が上がるのを初めて聞いて、阿賀島は目をぱちくりと大きく開けた。父が自分も、##NAME1##の事も庇ってくれるなんて思わなかったのだ。苛立ってた十三もそれを聞いてスッ……とテーブルから手を離した。親達は命拾い。そうして教師が間に入り、一旦解散となった。
「すみません、大変な事になっちまって」
「いや、君の……妹さんかな?彼女は何も悪くない。謝らなくていい、慰めてやって欲しい」
『あの、タケちゃんは、悪くないんです。なにも、』
「解ってるよ。これから話はするけど、決して怒ったりはしないから君も安心してくれ」
##NAME1##と手を振って、父親と静かな車内で二人きり。しばらく無言だったけれど、急に、「良くやったな」と声をかけられた。怒らないとは言っていたけど、そんな言葉をかけられるとは思っていなかったのでえ、なんて声を出す。
「……やり過ぎなのは、まぁ、良くないが。……あの子を護る為だったんだろ。それは、決して間違った事じゃない」
「やり過ぎて母さんにもまた怯えられるのに?」
「俺が上手く言うさ。……あの子は良い子だな、あの場で尊の事、悪くないなんて言える子はそうは居ない。あぁいう友達は、大切にしなさい」
家に帰ると相変わらず母親に怯えられたけど、初めて父親が悪くない、と庇ってくれた。褒めてやれとは言わないけれど、本当に悪くないんだよ、と。母親はそれを聞いて、怯えは取れないけれど、そっか……と呟いて、少し間を置いてから、……ご飯、何にする、と言った。一年少しぶりくらいにかけられた言葉だった。
次の日、##NAME1##は阿賀島の家まで迎えに来た。少し泣きそうな顔で、ごめんね、と、それだけ言いに来たと。
怒られなかったよと言えば、それでも。と頑固に言うもんだからうぜー、しょげた顔やめてとちょっと冷たく言っちまった。そうすると後ろから母親が出てきて、朝ご飯、食べる?と##NAME1##に言った。##NAME1##はすっごく青い顔で首を振ろうとしたけれど、阿賀島は手首を引っ掴んで上がらせた。
中に入っちまえば##NAME1##はすぐ順応した。歪な家庭、昨日と違って全然喋らん父に何処と無く阿賀島にビクつく母親、普段通りの阿賀島。##NAME1##はリュックを置いてダイニングのめちゃくちゃ不安定な家族団欒の中に入った。
阿賀島もこの雰囲気で、もう##NAME1##も話してくれなくなるかな、と頭の隅で考えていた。だってめちゃくちゃ気まずい。自分でも気まずいってのに、ちょっと話すだけの子が耐えられるとは思ってない。
けど、##NAME1##はスルッと出された朝飯を綺麗に食いながら、通る声で言った。
『タケちゃんは、優しい人です』
「ん?」
『財布、一緒に探してくれただけじゃないの、めちゃくちゃボウボウに生えた草、わざわざ片っ端から刈ってくれたの』
「##NAME1##ちゃ、やめて」
『凄い量だった、私一人じゃ兄ちゃんの形見、探しきれなかった』
「……」
『タケちゃんは優しい人です。親無しの私に普通に話しかけてくれる、優しい人です。タケちゃんは悪くないんです。私のせいなんです』
カン!と頭を殴られたような感覚に襲われた。そうして、そんなん関係ねーだろと叫んだ。ぶっちゃけ知らなかったし、そんなんどうでもいいので。
「##NAME1##は##NAME1##だろ、だから俺は話してるのに!」
「尊、座りなさい」
「でも、」
「良いから」
父親に言われて渋々座る。怒鳴っちまったから母親が怯えたのだ。小五の割に発育が良くて背が高くなってきた阿賀島は、あのクソ野郎に少し似てきているらしい。
「あのね、##NAME1##ちゃん。尊は、君の親がどうこうで助けた訳じゃないし、多分君の為でもないんだよ」
『え、』
「尊はね、尊が許せないから怒ったんだ。だから、自分の事を卑下……えっと、……なんて言えばいいんだ?」
「自分の事悪いように言うなってこと」
「母さん、この子頭良いな……?」
「そう、でしょう。頭、良いのよ、この子」
「だから、この子にはごめんじゃない方が嬉しいと思うよ」
##NAME1##は人一倍自責の念に駆られやすい性格だった。だって、まぁ家では正しく良いことは良い、悪い事は悪いと言われるけど学校では大抵全て##NAME1##が悪いと言われ続けたから。
阿賀島は##NAME1##にそんな事思って欲しく無かった。だから、父の言ってることは当たっていた。阿賀島は、阿賀島が腹立つからやっただけで、##NAME1##の為にやった訳じゃない。そうしたら、##NAME1##が悪い事にはならないと。
そんな事を言われて、##NAME1##はびっくりしたような顔をして俯いた。少しして、阿賀島に小さく、ありがとうと呟いた。その言葉はすっと阿賀島の中に入り込んで、ちょっと涙が出ちまって、「こ゛ち゛ら゛こ゛そ゛」なんてダミ声で言った。すると##NAME1##まで泣いちまって朝っぱらから馬鹿みたいに抱き合って泣いて、父親も母親も、困った風に少し笑ったのだった。