阿賀島くん外伝!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
阿賀島尊、加地屋の気狂いと呼ばれる男が居る。殆どの人間は彼がそう呼ばれるのはアクセサリーバッチバチな姿と、不思議な言動、そして喧嘩の際の容赦のなさにあると呼ばれるのだが、発端は違う。
阿賀島尊を初めに気狂い野郎と呼んだのは三代目の武装の人間だった。そして、彼を本当に化け物じみた実力に押し上げた人間がいる。
彼女との出会いは小学校五年。違うクラスどころか同じクラスでも興味のない人間の顔を覚えられなかった阿賀島は、違うクラスの……##NAME2####NAME1##を知っていた。なにせいつも喧しい。あの女の周りにはいつも幼馴染である村田、藤代、そして転校生である天地が引っ付いているので。同じクラスになって、幼馴染と離れた彼女を初めて見て阿賀島は話しかけた。
「ンね、いつも一緒に居てだるくね~の?」
『アイツ等は好きだよ。周りがウザイだけで』
この頃には既にマセた二人だった。##NAME1##は兄貴分の死をなんとか乗り越えたりだとか色々あったけど、何より最高の男共が上にいたから。
阿賀島は家庭環境の複雑さ。DV夫に痛め付けられた母親を護る為にクソ野郎をバットでボコ殴りにし、なんとか逃げた先で新しい父親と結婚したかと思えば母親はクソ野郎を痛め付けた阿賀島に怯え、気を病んでしまった。新しい父親は無口な人で、病んだ母親を気にかけるし、阿賀島にも気にかけてる様子は……多分あるのだけど、なんと話しかけていいか解らない。そんな状態を一年程前から続けているので。
元来、阿賀島という男は性根が優しいのだ。自分よりちいちゃい子は好きだし(クソガキは除く)、動物はめちゃくちゃ好きだ。ただ、優しすぎるが故に加減が効かない。ブレーキが壊れているのだ。
一度、一度だけ##NAME1##がクラスの女子に虐められた事がある。理由は言わずもがな村田や藤代。女の友人も居たみたいだが基本幼馴染に引っ付かれるので調子に乗るなと、首から下げてたブッサイクな猫の財布を窓から……二階からぶん投げられた。
##NAME1##は必死の形相でそれを追いかけた。二階だってのに、飛び降りてまでそれを探したのだ。少ししか話した事の無い女だけれど、流石に心配になって阿賀島は後を追った。校舎裏のボウボウに伸びきった草むらで、ぼたぼたと汗と涙を流しながら、『兄ちゃん、』と零す女を見て、阿賀島は無言で草苅り鎌を持ってきて片っ端から草を刈った。気付いた##NAME1##がなに、と言うと、お前俺が刈ったとこから探せ、と言った。阿賀島と##NAME1##の手は草で切れてぼろぼろだった。
そうしてようやく見付けて、##NAME1##はありがとう、と涙を拭きながら言った。でも、阿賀島はなんでやり返さないと吐き捨てた。
「お前がやり返さないからこんな事になるんだよ、それかアイツ等と離れなよ」
『……アイツ等は、アイツ等とは、離れたくない、し、……女は、殴ったら駄目でしょ』
「なんで?大事なモンなんでしょ。手出されて、怒らない程腑抜けなワケ?」
##NAME1##はフ、と笑ってありがとうとだけ言ってその場を去った。##NAME1##には解っていた。どうせやり返しても変わらない事を。そして、やり返した所で「これだから、」と言われることを知っている。上の世代、ヤンチャな十三兄ちゃんや鮫島くん達、好誠さん達と仲良くしてたから余計に。
阿賀島は頭が良かった。学力だけでなく、回転まで早かった。彼女がやり返さないのは、正しく“全て彼女のせいになる”からであると、解った。
気に食わない。あの女は悪い事はしていないのに、悪い事された側なのに、周りのせいで何かやらかせばすぐ全てあの女のせいになるなんて。気に食わない、気に食わない。
阿賀島は##NAME1##が良い奴である事を知っている。色々やらかして敬遠されてる自分にも普通に話しかけるし、どんなに嫌われてる奴でも、好かれてる奴でも、敵意さえ見せなきゃ普通に話しかけてくれる稀有な存在。
脳裏に理不尽に殴られる母親が映し出される。殴られ、吹っ飛ばされて、腹を蹴られ。阿賀島がご飯を強請ると教育がなってないと殴られる母親、小さい頃におねしょをしてしまった時に灰皿をぶつけられる母親、学校の成績が悪いと風呂に沈められかけた母親。
は、は、と阿賀島の息が浅くなる。瞳孔がきゅ、と開いていく。もう既に、阿賀島の中で……##NAME2####NAME1##は“弱き者”だった。
窓が割れる。クラスメイト達が怯える。頭から血を流し、泣き喚きながら許しを乞う、##NAME1##が二階から飛び降りた時に手を叩いて笑ってた女達に阿賀島は容赦なく机を投げ付けた。
阿賀島尊を初めに気狂い野郎と呼んだのは三代目の武装の人間だった。そして、彼を本当に化け物じみた実力に押し上げた人間がいる。
彼女との出会いは小学校五年。違うクラスどころか同じクラスでも興味のない人間の顔を覚えられなかった阿賀島は、違うクラスの……##NAME2####NAME1##を知っていた。なにせいつも喧しい。あの女の周りにはいつも幼馴染である村田、藤代、そして転校生である天地が引っ付いているので。同じクラスになって、幼馴染と離れた彼女を初めて見て阿賀島は話しかけた。
「ンね、いつも一緒に居てだるくね~の?」
『アイツ等は好きだよ。周りがウザイだけで』
この頃には既にマセた二人だった。##NAME1##は兄貴分の死をなんとか乗り越えたりだとか色々あったけど、何より最高の男共が上にいたから。
阿賀島は家庭環境の複雑さ。DV夫に痛め付けられた母親を護る為にクソ野郎をバットでボコ殴りにし、なんとか逃げた先で新しい父親と結婚したかと思えば母親はクソ野郎を痛め付けた阿賀島に怯え、気を病んでしまった。新しい父親は無口な人で、病んだ母親を気にかけるし、阿賀島にも気にかけてる様子は……多分あるのだけど、なんと話しかけていいか解らない。そんな状態を一年程前から続けているので。
元来、阿賀島という男は性根が優しいのだ。自分よりちいちゃい子は好きだし(クソガキは除く)、動物はめちゃくちゃ好きだ。ただ、優しすぎるが故に加減が効かない。ブレーキが壊れているのだ。
一度、一度だけ##NAME1##がクラスの女子に虐められた事がある。理由は言わずもがな村田や藤代。女の友人も居たみたいだが基本幼馴染に引っ付かれるので調子に乗るなと、首から下げてたブッサイクな猫の財布を窓から……二階からぶん投げられた。
##NAME1##は必死の形相でそれを追いかけた。二階だってのに、飛び降りてまでそれを探したのだ。少ししか話した事の無い女だけれど、流石に心配になって阿賀島は後を追った。校舎裏のボウボウに伸びきった草むらで、ぼたぼたと汗と涙を流しながら、『兄ちゃん、』と零す女を見て、阿賀島は無言で草苅り鎌を持ってきて片っ端から草を刈った。気付いた##NAME1##がなに、と言うと、お前俺が刈ったとこから探せ、と言った。阿賀島と##NAME1##の手は草で切れてぼろぼろだった。
そうしてようやく見付けて、##NAME1##はありがとう、と涙を拭きながら言った。でも、阿賀島はなんでやり返さないと吐き捨てた。
「お前がやり返さないからこんな事になるんだよ、それかアイツ等と離れなよ」
『……アイツ等は、アイツ等とは、離れたくない、し、……女は、殴ったら駄目でしょ』
「なんで?大事なモンなんでしょ。手出されて、怒らない程腑抜けなワケ?」
##NAME1##はフ、と笑ってありがとうとだけ言ってその場を去った。##NAME1##には解っていた。どうせやり返しても変わらない事を。そして、やり返した所で「これだから、」と言われることを知っている。上の世代、ヤンチャな十三兄ちゃんや鮫島くん達、好誠さん達と仲良くしてたから余計に。
阿賀島は頭が良かった。学力だけでなく、回転まで早かった。彼女がやり返さないのは、正しく“全て彼女のせいになる”からであると、解った。
気に食わない。あの女は悪い事はしていないのに、悪い事された側なのに、周りのせいで何かやらかせばすぐ全てあの女のせいになるなんて。気に食わない、気に食わない。
阿賀島は##NAME1##が良い奴である事を知っている。色々やらかして敬遠されてる自分にも普通に話しかけるし、どんなに嫌われてる奴でも、好かれてる奴でも、敵意さえ見せなきゃ普通に話しかけてくれる稀有な存在。
脳裏に理不尽に殴られる母親が映し出される。殴られ、吹っ飛ばされて、腹を蹴られ。阿賀島がご飯を強請ると教育がなってないと殴られる母親、小さい頃におねしょをしてしまった時に灰皿をぶつけられる母親、学校の成績が悪いと風呂に沈められかけた母親。
は、は、と阿賀島の息が浅くなる。瞳孔がきゅ、と開いていく。もう既に、阿賀島の中で……##NAME2####NAME1##は“弱き者”だった。
窓が割れる。クラスメイト達が怯える。頭から血を流し、泣き喚きながら許しを乞う、##NAME1##が二階から飛び降りた時に手を叩いて笑ってた女達に阿賀島は容赦なく机を投げ付けた。