容疑者は不良主
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
結局、その男達の処理は他の奴等に任せた。悪魔のような顔してたから多分そこらの交番ら辺に裸にひん剥いて縛り付けてきたに違いない。その間、私達はABCを連れて妹を運んだ病院までレンタカーで急いでいた。
「アイツは!!!アイツは無事なのか?!!」
『落ち着けとは言わねえ、少しだけ抑えてくれ。今から行く病院はちょっと特殊でね、うちのクラスメートが副院長してる個人病院なんだがよ、あんまり騒がれても困る』
「個人病院で治療を?」
『下手な病院よか融通が聞くし何より腕はいいからね。……A、着く前に、アンタに酷なことを言う』
そう言えばAはぎゃあぎゃあと騒ぐ口を閉じてこちらを見た。助っ席に座る春がじっ、とこちらを見て、後ろのBとCは少しだけ青い顔をしている。私とAの間に座る山田はAの一挙一動を逃さないようにと意識を研ぎ澄ましていた。
『……アンタの妹さん、精神的に危ねぇと思うんだ。同じ女として。そして、もしかしたら後遺症が残るかもしれない、そんな怪我を負っている』
「─────」
『もう1度言うが、私のクラスメートは腕がいい。どこぞの有名な病院の院長に誘われてもそれを蹴って外国で修行して向こうで絶賛されて更に誘われたけど蹴って帰ってきたような奴だからな。だな、安心しろとは言えねえ。……だから、Aさんよ』
Aの顔色は青くなったり明るくなったりと忙しい。だが、安心はさせられない。言わなきゃいけない。
『ただ、聞いてやるな。向こうが話すまで、傷が癒えるまで。……ただ傍に居てやれよ。他人の私はそこまでしか言えねえ』
「……、」
「……なぁ、もっと前から言うべきだったんだが」
山田が声を出したCに顔を向ける。Cは心底不思議そうな、困惑した顔で私を見ている。
「なんでアンタはコイツの為にここまでしてくれるんだよ、確かに助かった。あのままなら俺達は助けるどころか捕まってたと思う。でも、自分のコネをフル活用して、そんなすげー医者まで使って、Aを、妹を気遣ってくれさえする。なんで、ここまでしてくれるんだよ」
チラリと安室はバックミラーを覗く。苗字名前はその言葉には、と何かに気付いたように息を吸って、ぎちっ、と嫌な音がする。隣の佐々木春が名前さん、と気遣うような声を上げる。
「名前、血が出てる」
『……。Cさんよ、私、別にこれはアンタ等の為にやった事じゃないよ』
「え?」
『……言ったでしょ。アイツ等が騙ってた名は、私が今背負ってる髑髏。厳密には、私も山田もそうじゃない。でも、縁は深いんだよ。……最初は面白がって助けようかなって思ったけど、途中からは自分勝手な事にアンタ等巻き込んだだけだ。別に、アンタ等助けた訳じゃねえ、アンタ等を利用しただけだ』
ぽつりぽつりと、呟くような、水滴が落ちるような音だった。一言一言考えたような拙い言葉は誰が聞いても嘘だと理解するような。山田はAがでも、だけど、と何か言いたげにはくはくと口を開いては閉じるのを見て、困ったように笑う。
「そういう事にしておいて。うちら、ヒーローなんかじゃないんだ。でもね、身内を馬鹿にされたら怒るし、知らない子でも非道な事をされてたら辛くなる、俺等はそんな普通な人間なんだよ。ちょっとだけ、ちょっとだけ、意地っ張りなんだよ俺等はね」
助っ席の春が「アンタは意地っ張りじゃなくてプライド高過ぎヤローじゃねえか……」とごく小さい声で言ったのを山田は聞き逃さずすぐさまスマホを弄り、通知が来た春はうわっ……と悲鳴を上げていた。
「アイツは!!!アイツは無事なのか?!!」
『落ち着けとは言わねえ、少しだけ抑えてくれ。今から行く病院はちょっと特殊でね、うちのクラスメートが副院長してる個人病院なんだがよ、あんまり騒がれても困る』
「個人病院で治療を?」
『下手な病院よか融通が聞くし何より腕はいいからね。……A、着く前に、アンタに酷なことを言う』
そう言えばAはぎゃあぎゃあと騒ぐ口を閉じてこちらを見た。助っ席に座る春がじっ、とこちらを見て、後ろのBとCは少しだけ青い顔をしている。私とAの間に座る山田はAの一挙一動を逃さないようにと意識を研ぎ澄ましていた。
『……アンタの妹さん、精神的に危ねぇと思うんだ。同じ女として。そして、もしかしたら後遺症が残るかもしれない、そんな怪我を負っている』
「─────」
『もう1度言うが、私のクラスメートは腕がいい。どこぞの有名な病院の院長に誘われてもそれを蹴って外国で修行して向こうで絶賛されて更に誘われたけど蹴って帰ってきたような奴だからな。だな、安心しろとは言えねえ。……だから、Aさんよ』
Aの顔色は青くなったり明るくなったりと忙しい。だが、安心はさせられない。言わなきゃいけない。
『ただ、聞いてやるな。向こうが話すまで、傷が癒えるまで。……ただ傍に居てやれよ。他人の私はそこまでしか言えねえ』
「……、」
「……なぁ、もっと前から言うべきだったんだが」
山田が声を出したCに顔を向ける。Cは心底不思議そうな、困惑した顔で私を見ている。
「なんでアンタはコイツの為にここまでしてくれるんだよ、確かに助かった。あのままなら俺達は助けるどころか捕まってたと思う。でも、自分のコネをフル活用して、そんなすげー医者まで使って、Aを、妹を気遣ってくれさえする。なんで、ここまでしてくれるんだよ」
チラリと安室はバックミラーを覗く。苗字名前はその言葉には、と何かに気付いたように息を吸って、ぎちっ、と嫌な音がする。隣の佐々木春が名前さん、と気遣うような声を上げる。
「名前、血が出てる」
『……。Cさんよ、私、別にこれはアンタ等の為にやった事じゃないよ』
「え?」
『……言ったでしょ。アイツ等が騙ってた名は、私が今背負ってる髑髏。厳密には、私も山田もそうじゃない。でも、縁は深いんだよ。……最初は面白がって助けようかなって思ったけど、途中からは自分勝手な事にアンタ等巻き込んだだけだ。別に、アンタ等助けた訳じゃねえ、アンタ等を利用しただけだ』
ぽつりぽつりと、呟くような、水滴が落ちるような音だった。一言一言考えたような拙い言葉は誰が聞いても嘘だと理解するような。山田はAがでも、だけど、と何か言いたげにはくはくと口を開いては閉じるのを見て、困ったように笑う。
「そういう事にしておいて。うちら、ヒーローなんかじゃないんだ。でもね、身内を馬鹿にされたら怒るし、知らない子でも非道な事をされてたら辛くなる、俺等はそんな普通な人間なんだよ。ちょっとだけ、ちょっとだけ、意地っ張りなんだよ俺等はね」
助っ席の春が「アンタは意地っ張りじゃなくてプライド高過ぎヤローじゃねえか……」とごく小さい声で言ったのを山田は聞き逃さずすぐさまスマホを弄り、通知が来た春はうわっ……と悲鳴を上げていた。