容疑者は不良主
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『って訳らしーんだよね。コイツ妹人質に取られたからって幼馴染みが協力してんだと』
「なるほどね~」
強盗犯……面倒だからABCでいいや。Aの妹が攫われて、金を要求された。BとCはそんなAの様子がおかしい事に気付き、一緒に悩んだ結果がこうなってしまったらしい。なんだ、いい奴等だな。
「……警察には?」
「言ったら妹を殺すより酷い目に合わせるって……悲鳴も、聞かされてな」
『言いたかねーが、当たり前だわな。大体警察に任せてどーなるよ』
「それは、然るべき捜査を、」
『馬鹿だね安室サン顔に似合わず。……そりゃ、無実の女が攫われて可哀想だ、助けたいって思う奴もいるだろーよ、人間そんなもんだ。だがな、その誘拐犯……何人だっけ?』
「聞こえた声は4人だったよ」
『おう。人質の家族に強盗促すような奴等だ、もし特定出来て繰り返してたら、女1人の命より繰り返さねーように4人を捕まえるって奴だって出るだろーよ』
「そんな……!アイツは本当にただの女の子で、高校に上がったばっかで……!!」
『……例えだよ。警察に頼りっきりなんて私は良いとは言えねえ。いや、正しいんだろうがな』
安室は少しだけ苦い顔をする。……自分は確かに一般人のその妹とやらを助けたいと思う。だが、置き換えてみろ。彼女の言う通りにならないと言えるか。もしもこれが組織絡みだとして、その組織を潰す手掛かりになる為なら自分は、その妹とやらを、……見捨てるだろう。……彼女の言うことは、正しくはないけど、間違っていないものだった。
「……とりあえず?アンタ等がどーして強盗犯になろーとしたかは解った。次は妹さんのお話しよっか」
『それな。妹はいつ攫われた?』
「昨日、朝学校に行ったのを見送って、俺は仕事に出掛けた。夜9時ごろ帰ってもいなくて、おかしいと思った。妹は夜遊びするよーな奴じゃないし、……俺と妹だけの家族だから、飯を作るのもアイツだったから。だから、電話してみたら、」
“この女は預かってる。助けて欲しけりゃ明日の夜8時までに500万用意しろ”
「最初は、妹の友達のイタズラかとも思ったけど妹の必死な叫び声……違うな、呻き声が聞こえたんだ 」
「呻き声?どんな」
「くぐもった声だった。その後、……多分殴られたのか、どうしたのか、もっと呻いてた」
『猿轡かそこらか。……で?』
「せめて2日待ってくれって言ったんだ、500万なんて大金借りても借りても1日じゃ無理だって。なら、強盗でも入ればいいって。……警察に連絡したら、……」
「おい、」
「辛くても話せよ。今一番辛いのはテメェじゃなく妹だろ。シャッキリしろ、助けてえんだろ」
『情報は少しでも欲しい。……頼む』
「……、爪先から、潰してくって。夜中、……家の前に、箱、あっ、て、」
『……うん』
「あけたら、つめ、つめが、アイツにあげた指輪と一緒に、かみのけと、つめ、」
ぐ、と顔を顰める。……これは相当だぞ。パンピーに拷問紛いの事までしやがるたぁ、クソ野郎共だ。山田でさえも表情が剣呑である。安室?知らん。
『……箱に、手紙も何も無かったか。それを置いた目撃情報は?』
「それに関しては俺が見た」
「Bさん、何見たの」
「黒い革ジャンの男が二人で車でAの家の前に留まってたんだ。おかしいとは思ったけど、それでこの事件が解った」
『ナンバーなんかは』
「すまん、覚えてない。なにせ夜中だったしな」
「……手紙はなかったが、箱にこんなのが、」
Cが差し出した紙きれを山田がチラリと見ると表情を凍らせた。真っ青に、らしくもなく息を飲んでいる。どうした、と私も見ようとすれば山田が私に見せまいと立ちはだかる。安室が怪訝な顔をする。
『……友哉』
「だ、めだ。みるな」
『いつもなら私を思ってだと思うが……なぁ、友哉。見せてくれ』
「お前が傷付く!!!」
その言葉で確信して、身体を滑り込ませてCからその紙を奪った。やめろ、と山田が悲鳴をあげて、私も数瞬遅れて、凍り付いた。
そこにあったのは誇り高い髑髏。歴代最も破天荒な男が纏めあげた、伝説の代。
“武装戦線六代目”の髑髏であった。
「なるほどね~」
強盗犯……面倒だからABCでいいや。Aの妹が攫われて、金を要求された。BとCはそんなAの様子がおかしい事に気付き、一緒に悩んだ結果がこうなってしまったらしい。なんだ、いい奴等だな。
「……警察には?」
「言ったら妹を殺すより酷い目に合わせるって……悲鳴も、聞かされてな」
『言いたかねーが、当たり前だわな。大体警察に任せてどーなるよ』
「それは、然るべき捜査を、」
『馬鹿だね安室サン顔に似合わず。……そりゃ、無実の女が攫われて可哀想だ、助けたいって思う奴もいるだろーよ、人間そんなもんだ。だがな、その誘拐犯……何人だっけ?』
「聞こえた声は4人だったよ」
『おう。人質の家族に強盗促すような奴等だ、もし特定出来て繰り返してたら、女1人の命より繰り返さねーように4人を捕まえるって奴だって出るだろーよ』
「そんな……!アイツは本当にただの女の子で、高校に上がったばっかで……!!」
『……例えだよ。警察に頼りっきりなんて私は良いとは言えねえ。いや、正しいんだろうがな』
安室は少しだけ苦い顔をする。……自分は確かに一般人のその妹とやらを助けたいと思う。だが、置き換えてみろ。彼女の言う通りにならないと言えるか。もしもこれが組織絡みだとして、その組織を潰す手掛かりになる為なら自分は、その妹とやらを、……見捨てるだろう。……彼女の言うことは、正しくはないけど、間違っていないものだった。
「……とりあえず?アンタ等がどーして強盗犯になろーとしたかは解った。次は妹さんのお話しよっか」
『それな。妹はいつ攫われた?』
「昨日、朝学校に行ったのを見送って、俺は仕事に出掛けた。夜9時ごろ帰ってもいなくて、おかしいと思った。妹は夜遊びするよーな奴じゃないし、……俺と妹だけの家族だから、飯を作るのもアイツだったから。だから、電話してみたら、」
“この女は預かってる。助けて欲しけりゃ明日の夜8時までに500万用意しろ”
「最初は、妹の友達のイタズラかとも思ったけど妹の必死な叫び声……違うな、呻き声が聞こえたんだ 」
「呻き声?どんな」
「くぐもった声だった。その後、……多分殴られたのか、どうしたのか、もっと呻いてた」
『猿轡かそこらか。……で?』
「せめて2日待ってくれって言ったんだ、500万なんて大金借りても借りても1日じゃ無理だって。なら、強盗でも入ればいいって。……警察に連絡したら、……」
「おい、」
「辛くても話せよ。今一番辛いのはテメェじゃなく妹だろ。シャッキリしろ、助けてえんだろ」
『情報は少しでも欲しい。……頼む』
「……、爪先から、潰してくって。夜中、……家の前に、箱、あっ、て、」
『……うん』
「あけたら、つめ、つめが、アイツにあげた指輪と一緒に、かみのけと、つめ、」
ぐ、と顔を顰める。……これは相当だぞ。パンピーに拷問紛いの事までしやがるたぁ、クソ野郎共だ。山田でさえも表情が剣呑である。安室?知らん。
『……箱に、手紙も何も無かったか。それを置いた目撃情報は?』
「それに関しては俺が見た」
「Bさん、何見たの」
「黒い革ジャンの男が二人で車でAの家の前に留まってたんだ。おかしいとは思ったけど、それでこの事件が解った」
『ナンバーなんかは』
「すまん、覚えてない。なにせ夜中だったしな」
「……手紙はなかったが、箱にこんなのが、」
Cが差し出した紙きれを山田がチラリと見ると表情を凍らせた。真っ青に、らしくもなく息を飲んでいる。どうした、と私も見ようとすれば山田が私に見せまいと立ちはだかる。安室が怪訝な顔をする。
『……友哉』
「だ、めだ。みるな」
『いつもなら私を思ってだと思うが……なぁ、友哉。見せてくれ』
「お前が傷付く!!!」
その言葉で確信して、身体を滑り込ませてCからその紙を奪った。やめろ、と山田が悲鳴をあげて、私も数瞬遅れて、凍り付いた。
そこにあったのは誇り高い髑髏。歴代最も破天荒な男が纏めあげた、伝説の代。
“武装戦線六代目”の髑髏であった。