そつぎょう
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
?
名前、ご飯の支度出来たからねと声がかかるので起き上がる。十三と入れ替わるように家に帰ってきた村田夫妻はとっくの昔に起きているらしかった。彼等は海外旅行に行っていると、二人からも十三や将五からも聞いていたけれど村田父が少しでも将五や名前の助けになれるようにと海外出張していたというのは名前も実は知っていた。二人は名前になんの負い目も負って欲しくないと海外旅行だと言って社会人になった十三も良しと言うので海外出張をして、十三が家を離れるのを切っ掛けにして戻って来た。それからは長らく空いた時間を埋めるように二人は優しくしてくれた。
「おはよう」
『おはよ』
「朝ご飯、軽くしてるから。十三達夜に着くって言ってたからそれから焼肉でも行きましょ」
『忙しいンだから来なくて良いっつったのに』
「卒業式出られないの死ぬ程悔しいみたいだぞ。名前、行きは友達と行くんだろ」
『うん。山田とタケちゃん来る』
「あの子達も呼ばなくて良かったのか?焼肉」
『後日改めて皆でお祝いするんだ』
「なんやかんや今日名前の彼氏会うの初なのよね」
『ちょっと』
「楽しみだよな!!!!母さんの眼鏡に適うかね」
「でも十三も悪く言ってなかったし大丈夫よ名前が認める人だもの。そうよね?」
『勘弁して……顔洗ってくる』
バシャバシャ顔を洗って、下手くそ過ぎてびしょびしょになっちまったパジャマを洗濯機にぶっ込んでから。制服をいつもより手間取りながら着て伸びたゴムで辛うじて繋がるリボンを着ける。在学中、このリボンは殆ど着いていなかったっけ。
朝ご飯をテレビを眺めながら食べる。明日から、この家じゃなくて実家の方で暮らすというのは少し前に話した事だった。ずっとここに居ていいと言ってくれたのだけど、決めていた事だった。刃物が見れねえ触れねえ以上、不便な事は沢山ある。夜怖くなっちまって起きちまう事もある。それでも、ひとつの区切りとして名前は村田家を旅立つ事にした。
隣の家なんだし、なんかあったら助けてよ。父ちゃんも、母ちゃんも。そう言うと二人はちょっと泣いちまって早い早い泣くのがと笑ってティッシュを差し出したけど、二人は初めて助けを求められたと喜ばしい気持ちでいっぱいだった。幼い頃から見てきた、本当の娘だと思っているからだった。
ぴんぽん!と元気に音が鳴る。おはよー!!!とタケの声が聞こえて三人して苦笑い。いつもならもっと遅く出るのに早く来たのは訳があった。
「食器下げとくから、行きなさい」
『ありがと。後でね』
「名前」
『ん?』
「楽しんでね」
『うん。ありがとう』
行ってきます、と声を掛けてからドアを開けると心做しか緊張した姿の山田と、なんとも珍しいアクセサリーがゼロのタケが立っていた。これには名前もびっくり。というか初めて見たよアクセ付けてないの。
『エ?人違いですか?』
「タケちゃん気合い入れ過ぎて逆にアクセ無くなっちゃった」
「無くてもイケてるっしょ俺ちん」
『そうだけど多分先生方皆ビビるよそれ。お腹痛い?ってなる』
「言った奴全員の腹痛くしてやるワ」
「全校生徒じゃん」
「なにそれ~!!」
三人は通学路をノロノロ歩く。前日この道、明日で歩くの最後なんだよね。と言ったタケに名前も山田もなんだかしんみりしちまって、早目に三人は集まって一歩一歩噛み締めるように道を歩く。通りすがりの犬の散歩してる爺ちゃんにおはよ!と声を掛けりゃいつもと会う場所が違うのでびっくりしていた。早いんだねえ今日。今日卒業式だからさ。あれ!早いもんだ、寂しくなるね、なんて。
別に、この街を離れる訳じゃない。通学路の商店も、歩道橋も、来ようと思えばすぐ来れる。それでもなんだか……通るべき道、というものが今日で終わると思えばなんだか名前は複雑な気持ちでいっぱいだった。
「学校」
「着いちゃったね」
ツンとした空気が鼻を刺す。三人は校舎へと歩き出した。下駄箱の所では担任が待ち構えていて、「お前等一番乗りな。過去最高に早いな畜生」と悪態を吐く。
『みっちゃん』
「なに。俺皆出迎えてから教室行くから」
『みっちゃんの生徒なのは今日が最後なんだ、目くらい合わせてくれよ』
そう言うと、ずっと合わなかった目がしっかりと三人を見詰めた。ほんと少し赤いのを気付かねえフリをして、また後でね、と別れた。
名前、ご飯の支度出来たからねと声がかかるので起き上がる。十三と入れ替わるように家に帰ってきた村田夫妻はとっくの昔に起きているらしかった。彼等は海外旅行に行っていると、二人からも十三や将五からも聞いていたけれど村田父が少しでも将五や名前の助けになれるようにと海外出張していたというのは名前も実は知っていた。二人は名前になんの負い目も負って欲しくないと海外旅行だと言って社会人になった十三も良しと言うので海外出張をして、十三が家を離れるのを切っ掛けにして戻って来た。それからは長らく空いた時間を埋めるように二人は優しくしてくれた。
「おはよう」
『おはよ』
「朝ご飯、軽くしてるから。十三達夜に着くって言ってたからそれから焼肉でも行きましょ」
『忙しいンだから来なくて良いっつったのに』
「卒業式出られないの死ぬ程悔しいみたいだぞ。名前、行きは友達と行くんだろ」
『うん。山田とタケちゃん来る』
「あの子達も呼ばなくて良かったのか?焼肉」
『後日改めて皆でお祝いするんだ』
「なんやかんや今日名前の彼氏会うの初なのよね」
『ちょっと』
「楽しみだよな!!!!母さんの眼鏡に適うかね」
「でも十三も悪く言ってなかったし大丈夫よ名前が認める人だもの。そうよね?」
『勘弁して……顔洗ってくる』
バシャバシャ顔を洗って、下手くそ過ぎてびしょびしょになっちまったパジャマを洗濯機にぶっ込んでから。制服をいつもより手間取りながら着て伸びたゴムで辛うじて繋がるリボンを着ける。在学中、このリボンは殆ど着いていなかったっけ。
朝ご飯をテレビを眺めながら食べる。明日から、この家じゃなくて実家の方で暮らすというのは少し前に話した事だった。ずっとここに居ていいと言ってくれたのだけど、決めていた事だった。刃物が見れねえ触れねえ以上、不便な事は沢山ある。夜怖くなっちまって起きちまう事もある。それでも、ひとつの区切りとして名前は村田家を旅立つ事にした。
隣の家なんだし、なんかあったら助けてよ。父ちゃんも、母ちゃんも。そう言うと二人はちょっと泣いちまって早い早い泣くのがと笑ってティッシュを差し出したけど、二人は初めて助けを求められたと喜ばしい気持ちでいっぱいだった。幼い頃から見てきた、本当の娘だと思っているからだった。
ぴんぽん!と元気に音が鳴る。おはよー!!!とタケの声が聞こえて三人して苦笑い。いつもならもっと遅く出るのに早く来たのは訳があった。
「食器下げとくから、行きなさい」
『ありがと。後でね』
「名前」
『ん?』
「楽しんでね」
『うん。ありがとう』
行ってきます、と声を掛けてからドアを開けると心做しか緊張した姿の山田と、なんとも珍しいアクセサリーがゼロのタケが立っていた。これには名前もびっくり。というか初めて見たよアクセ付けてないの。
『エ?人違いですか?』
「タケちゃん気合い入れ過ぎて逆にアクセ無くなっちゃった」
「無くてもイケてるっしょ俺ちん」
『そうだけど多分先生方皆ビビるよそれ。お腹痛い?ってなる』
「言った奴全員の腹痛くしてやるワ」
「全校生徒じゃん」
「なにそれ~!!」
三人は通学路をノロノロ歩く。前日この道、明日で歩くの最後なんだよね。と言ったタケに名前も山田もなんだかしんみりしちまって、早目に三人は集まって一歩一歩噛み締めるように道を歩く。通りすがりの犬の散歩してる爺ちゃんにおはよ!と声を掛けりゃいつもと会う場所が違うのでびっくりしていた。早いんだねえ今日。今日卒業式だからさ。あれ!早いもんだ、寂しくなるね、なんて。
別に、この街を離れる訳じゃない。通学路の商店も、歩道橋も、来ようと思えばすぐ来れる。それでもなんだか……通るべき道、というものが今日で終わると思えばなんだか名前は複雑な気持ちでいっぱいだった。
「学校」
「着いちゃったね」
ツンとした空気が鼻を刺す。三人は校舎へと歩き出した。下駄箱の所では担任が待ち構えていて、「お前等一番乗りな。過去最高に早いな畜生」と悪態を吐く。
『みっちゃん』
「なに。俺皆出迎えてから教室行くから」
『みっちゃんの生徒なのは今日が最後なんだ、目くらい合わせてくれよ』
そう言うと、ずっと合わなかった目がしっかりと三人を見詰めた。ほんと少し赤いのを気付かねえフリをして、また後でね、と別れた。