そのなな
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「久我、なんだその怪我」
「ほっとけ」
「いや。お前がそこまでやられるなんて余程の相手だろ?誰にやられたんだよ」
「ガチで放っといてくんねーか佐島クソ野郎」
「俺も純粋に気になるから教えてくれ」
「なにサラッと隣で肉まん食ってやがんだよ三国」
「オイ戸土原!!!飯食ってるとこに煙草の煙寄越すんじゃねー!!!」
「シンケイシツかオメー」
なんとも騒がしい次世代ルーキー共である。たまたま川原に集まった馬鹿共は久我にンで?誰とやった?勝った?負けた?とめちゃくちゃ面白半分で聞いていた。ちなみに喋らねえけど佐島に付き纏われてた宮本も居る。
久我はスッ、と白い煙を肺にぶち込んで遠くを見ている。あれ、コイツ聞いてる?と佐島が顔を覗き込むと久我の目はガチの虚無だった。
「お、おい?」
「……けた」
「え?」
「負けたンだよ。手も足も出せずに。いや、数回はやり返せた。でもマトモなのは入れられてねえ。気付いたら地面に倒れてた」
久我ってのは中学の時から割とイケイケで腕も立つで有名だった男だ。だってのに、マトモに攻撃すら出来ずに負けたとは。宮本もこの間久我とやり合ったばかりで、その腕は知ってるので寝たフリから片目を開けて話の先を聞く為少し距離を置いていたのをズリズリ近付いた。
「意地の悪い人だよ、普段なら地面に倒れたら追撃する癖に俺が立ち上がるまで待ってやがった。立ち上がって、向こうから一切手を出さねえからかかって行ったらまたいつの間にか地面に倒れてんだ。繰り返しだよ。気付いたら昼間だったのに、日が暮れてやがった」
「……ン?同期じゃねえのか、先輩か?」
「常磐だったら……あ、辻本サンとかか?」
春や光法と良くつるんでる辻本を知っている勇京と戸土原はあのおっかねえ顔を思い出した。奴は顔に見合わずめちゃくちゃ涙脆くて喋ると愉快な人なのだけど、喧嘩の腕は顔と見合ってめちゃくちゃ強いというのは話に聞いた事があるので。
「辻さんではねえよ」
「なら……あ!番犬組のどっちかか?」
「番犬……?あぁ、黒澤さんと阿賀島さん」
「バカヤロあんな化け物共に二度とタイマンなんか申し込むかよ一度ボコられてみろ俺が後輩じゃなかったら今頃死んでるわ」
「じゃあ誰なん、」
「お前よ」
戸土原の目がギラりと鈍く光る。
お前、まさか、あの女じゃねえだろうな。
答え次第では怪我していようが関係ないといった空気で戸土原は久我を睨めつけた。名前が危惧していたのはこれである。何せ武装の奴は皆ガチ勢、他の勢力も漏れなくガチ勢。花や光政も自分から話さないで人伝いに聞いた日にはきっと大騒動になる。だから言わないのだが。
「?そうだけど良く解ったな」
「立てコラ」
「待て待て待て待て」
「なんで今ので馬鹿正直に答えるんだお前は」
「離せッ!離せコラッ!あの女に手出した野郎生かしておけるかッ!!」
「普段クソ生意気な事ばっか言って怒らせてるくせに今更なにを。大体テメーのとこの頭が引退するんだ、勝負くらい挑むだろ」
「久我、あの人一応女だぞ」
宮本は戸亜留市の事情に詳しくねえので、ウソだろコイツ女殴ったのかよ、という顔。すると久我はとても不思議そうな顔で佐島を見た。
「俺ァ“頭としてのあの人”に挑んだんだぜ。それを女だなんだって言うのは、あの人に失礼だろ」
「なんて?」
「勘違いすんじゃねーよ、俺は女は殴らねえし、名前さんの事は女だと思ってる。でもな、なんと言うか。……頭は別だろ」
「頭悪いからコイツ言ってる事解んねえ、誰か解るか」
「バカヤロ!戸土原止めるのに必死なんだ俺は!!手伝え!!!」
「大体頭モードの時の名前さんを女として見るのは失礼だろ。誰が勝てるんだよあの化け物に」
その言葉に暴れてた戸土原はピタリと止まった。ついこの間同じような事を春に言われたからである。
春は名前を女として、姉のように慕っている。が、頭としての名前は別なのだと。あの人を男だ女だと、そんなちゃちな目で見ていたらいつの間にかこっちが飲まれっちまうし、あの人を慕うのであればもっと柔軟な目で見なきゃ愛想尽かされっちまうと。頭の悪い戸土原にゃよく解らなかった事を、目の前の久我が言うのが気に食わない。
「つか身内だから俺骨とか無事なんだよな……エ?俺こんな怪我してんのに骨とか一切無事……エ?」
「気付いちゃいけねえ事実に気付き始めたなお前」
「どういう事だ?」
「死ぬほど手加減されてたって話よ」
「久我、なんだその怪我」
「ほっとけ」
「いや。お前がそこまでやられるなんて余程の相手だろ?誰にやられたんだよ」
「ガチで放っといてくんねーか佐島クソ野郎」
「俺も純粋に気になるから教えてくれ」
「なにサラッと隣で肉まん食ってやがんだよ三国」
「オイ戸土原!!!飯食ってるとこに煙草の煙寄越すんじゃねー!!!」
「シンケイシツかオメー」
なんとも騒がしい次世代ルーキー共である。たまたま川原に集まった馬鹿共は久我にンで?誰とやった?勝った?負けた?とめちゃくちゃ面白半分で聞いていた。ちなみに喋らねえけど佐島に付き纏われてた宮本も居る。
久我はスッ、と白い煙を肺にぶち込んで遠くを見ている。あれ、コイツ聞いてる?と佐島が顔を覗き込むと久我の目はガチの虚無だった。
「お、おい?」
「……けた」
「え?」
「負けたンだよ。手も足も出せずに。いや、数回はやり返せた。でもマトモなのは入れられてねえ。気付いたら地面に倒れてた」
久我ってのは中学の時から割とイケイケで腕も立つで有名だった男だ。だってのに、マトモに攻撃すら出来ずに負けたとは。宮本もこの間久我とやり合ったばかりで、その腕は知ってるので寝たフリから片目を開けて話の先を聞く為少し距離を置いていたのをズリズリ近付いた。
「意地の悪い人だよ、普段なら地面に倒れたら追撃する癖に俺が立ち上がるまで待ってやがった。立ち上がって、向こうから一切手を出さねえからかかって行ったらまたいつの間にか地面に倒れてんだ。繰り返しだよ。気付いたら昼間だったのに、日が暮れてやがった」
「……ン?同期じゃねえのか、先輩か?」
「常磐だったら……あ、辻本サンとかか?」
春や光法と良くつるんでる辻本を知っている勇京と戸土原はあのおっかねえ顔を思い出した。奴は顔に見合わずめちゃくちゃ涙脆くて喋ると愉快な人なのだけど、喧嘩の腕は顔と見合ってめちゃくちゃ強いというのは話に聞いた事があるので。
「辻さんではねえよ」
「なら……あ!番犬組のどっちかか?」
「番犬……?あぁ、黒澤さんと阿賀島さん」
「バカヤロあんな化け物共に二度とタイマンなんか申し込むかよ一度ボコられてみろ俺が後輩じゃなかったら今頃死んでるわ」
「じゃあ誰なん、」
「お前よ」
戸土原の目がギラりと鈍く光る。
お前、まさか、あの女じゃねえだろうな。
答え次第では怪我していようが関係ないといった空気で戸土原は久我を睨めつけた。名前が危惧していたのはこれである。何せ武装の奴は皆ガチ勢、他の勢力も漏れなくガチ勢。花や光政も自分から話さないで人伝いに聞いた日にはきっと大騒動になる。だから言わないのだが。
「?そうだけど良く解ったな」
「立てコラ」
「待て待て待て待て」
「なんで今ので馬鹿正直に答えるんだお前は」
「離せッ!離せコラッ!あの女に手出した野郎生かしておけるかッ!!」
「普段クソ生意気な事ばっか言って怒らせてるくせに今更なにを。大体テメーのとこの頭が引退するんだ、勝負くらい挑むだろ」
「久我、あの人一応女だぞ」
宮本は戸亜留市の事情に詳しくねえので、ウソだろコイツ女殴ったのかよ、という顔。すると久我はとても不思議そうな顔で佐島を見た。
「俺ァ“頭としてのあの人”に挑んだんだぜ。それを女だなんだって言うのは、あの人に失礼だろ」
「なんて?」
「勘違いすんじゃねーよ、俺は女は殴らねえし、名前さんの事は女だと思ってる。でもな、なんと言うか。……頭は別だろ」
「頭悪いからコイツ言ってる事解んねえ、誰か解るか」
「バカヤロ!戸土原止めるのに必死なんだ俺は!!手伝え!!!」
「大体頭モードの時の名前さんを女として見るのは失礼だろ。誰が勝てるんだよあの化け物に」
その言葉に暴れてた戸土原はピタリと止まった。ついこの間同じような事を春に言われたからである。
春は名前を女として、姉のように慕っている。が、頭としての名前は別なのだと。あの人を男だ女だと、そんなちゃちな目で見ていたらいつの間にかこっちが飲まれっちまうし、あの人を慕うのであればもっと柔軟な目で見なきゃ愛想尽かされっちまうと。頭の悪い戸土原にゃよく解らなかった事を、目の前の久我が言うのが気に食わない。
「つか身内だから俺骨とか無事なんだよな……エ?俺こんな怪我してんのに骨とか一切無事……エ?」
「気付いちゃいけねえ事実に気付き始めたなお前」
「どういう事だ?」
「死ぬほど手加減されてたって話よ」