そのなな
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『もうそろ卒業なんだけど卒業祝いは?』
「キーコに強請れ」
「俺のが金ねえって知ってるだろ」
「名前はよく食うからなぁ」
県南にあるアパートの一室、名前は完璧な妹モードで藤川のテルにもたれかかって卒業祝いを強請っていた。普段であれば仕方ねえなァ何が良い?とニコニコしちまうテルだけれど、暫く会ってなかったモンで不貞腐れているのだ。キーコやパルコ、そんで年少から出て漸く落ち着いた京介。タヤスもそれが解っているのでずっと苦笑い。タヤスは名前と絡みはあまりねえけれど、テルの従姉妹の話は馬鹿みてえにキーコ達がするから最早妹みてーなモンだった。
『ねえテルちゃん私ねえ~COACHの財布欲しいなァ』
「やめろお前ブランドCOACHしか知らねえくせに無理すんな」
『は?知ってるし』
「なに知ってんだよ」
『え~~~~~~~ッと、なんだっけ。ローランド?』
「そりゃ人だバカ!」
ガハハ!とキーコとパルコが笑う。言うて二人だってブランドにゃ詳しくねえンだけど。名前がテルに笑われたンだけど、とむっすりこいた顔で言うと頼られたと思ったテルはちょっと機嫌を直して「お前等だって知らねえだろ非モテ共が」と名前を撫でながら呆れたように言った。ンだと!とパルコが怒って立ち上がるけれど、テルがジト目で「一万五千円」と呟くと「僕は非モテです、ハイ。人権がないです」と言って静かに座った。
『パルパルまたパチンコ代テルちゃんに借りたワケ?弱いんだからそろそろ辞めなって言ってんじゃん』
「勝つ時もあるんだよ!!!」
『当たり前でしょたまに勝たせないと来なくなるからね。キーちゃんもどうせ借りてんでしょ目泳いでるからね』
「鋭くなったなコイツ……」
『そりゃねえ、多少修羅場潜ってきたからねえ。ア、俺達一人一人がジョーカーなんだ時代のアンタ等とは違うから安心してもらえる?』
「あー生意気」
「ま~たテル不貞腐れたぞ」
『私根に持つからね。あの時期のうちの街めちゃくちゃだったからマジで根に持ってる。はぁ、春道くんが居てくれて良かった。じゃなかったらこのバカタレ共は永遠にバカタレだったろうし』
「ひでぇ言い草だなオイ」
「まぁ、春道はなァ……」
言ってて名前は柄にもなくガチのガキみてえにテルの肩に顔を埋めた。なんだなんだ、どうしたってんだよ。
私も春道くんみたいでありたかったな。春道くんとか、花みたいに。人を変えられる、人を掬いあげられる人間でありたかったな、なんて。私は皆の楔だと、大人数の上に立つ器だと。なんだかんだ言われるけれど、私はそんなに大した奴じゃない。そんなものになりたいと思った覚えは無いし、どうせそうなるのであれば、どうせなら。あの二人みてえに人の心を助けられる人になりたかったと、声に出ねえ心の軋みが今優しい従兄弟への甘えに変換されている。
「名前、泣いてるのか」
『うるさ。生理前の情緒不安定だから黙って撫でて』
「ハイハイ、全く。なに余計な事考えてんだか」
「ところで名前その怪我はなんの怪我だ?ん?」
『ん?いや別に大したもんじゃないでしょガーゼ数個くらい』
「頬っぺとかに出来てなかったら気にしなかったけどな」
もしや喧嘩か?と京介がちょっと愉快そうな声を出す。目は笑ってないのだからこの人は怖い、お調子者の皮を被った狼め。
実は名前、たまたま通りがかって立会人になってくれた世良以外に教えてないのだけれどとある男とタイマンを張った。元々名前にゃそんなつもりは無かったし、めちゃくちゃ渋々だったけれど。このタイマンが周囲にバレちまったらめちゃくちゃ大変なので墓まで持っていく所存であった。番犬二人や幼馴染にバレたらなんて考えるととてもとても怖い。死んでしまう。相手が。
『喧嘩なのは否定しないけど、あんま追求しないで。憎みあってした訳じゃないんだからさ』
明らかに「ええ~~??」という顔をした県南組に名前はハイこの話終わりね、と早めに切り捨てた。もしこの話をするのであれば、それは花ちゃんか、光政かくらいである。奴等であればきっと、めちゃくちゃしかめっ面になりながら「オア゛~~~~~……」と唸って渋々納得するから。
『もうそろ卒業なんだけど卒業祝いは?』
「キーコに強請れ」
「俺のが金ねえって知ってるだろ」
「名前はよく食うからなぁ」
県南にあるアパートの一室、名前は完璧な妹モードで藤川のテルにもたれかかって卒業祝いを強請っていた。普段であれば仕方ねえなァ何が良い?とニコニコしちまうテルだけれど、暫く会ってなかったモンで不貞腐れているのだ。キーコやパルコ、そんで年少から出て漸く落ち着いた京介。タヤスもそれが解っているのでずっと苦笑い。タヤスは名前と絡みはあまりねえけれど、テルの従姉妹の話は馬鹿みてえにキーコ達がするから最早妹みてーなモンだった。
『ねえテルちゃん私ねえ~COACHの財布欲しいなァ』
「やめろお前ブランドCOACHしか知らねえくせに無理すんな」
『は?知ってるし』
「なに知ってんだよ」
『え~~~~~~~ッと、なんだっけ。ローランド?』
「そりゃ人だバカ!」
ガハハ!とキーコとパルコが笑う。言うて二人だってブランドにゃ詳しくねえンだけど。名前がテルに笑われたンだけど、とむっすりこいた顔で言うと頼られたと思ったテルはちょっと機嫌を直して「お前等だって知らねえだろ非モテ共が」と名前を撫でながら呆れたように言った。ンだと!とパルコが怒って立ち上がるけれど、テルがジト目で「一万五千円」と呟くと「僕は非モテです、ハイ。人権がないです」と言って静かに座った。
『パルパルまたパチンコ代テルちゃんに借りたワケ?弱いんだからそろそろ辞めなって言ってんじゃん』
「勝つ時もあるんだよ!!!」
『当たり前でしょたまに勝たせないと来なくなるからね。キーちゃんもどうせ借りてんでしょ目泳いでるからね』
「鋭くなったなコイツ……」
『そりゃねえ、多少修羅場潜ってきたからねえ。ア、俺達一人一人がジョーカーなんだ時代のアンタ等とは違うから安心してもらえる?』
「あー生意気」
「ま~たテル不貞腐れたぞ」
『私根に持つからね。あの時期のうちの街めちゃくちゃだったからマジで根に持ってる。はぁ、春道くんが居てくれて良かった。じゃなかったらこのバカタレ共は永遠にバカタレだったろうし』
「ひでぇ言い草だなオイ」
「まぁ、春道はなァ……」
言ってて名前は柄にもなくガチのガキみてえにテルの肩に顔を埋めた。なんだなんだ、どうしたってんだよ。
私も春道くんみたいでありたかったな。春道くんとか、花みたいに。人を変えられる、人を掬いあげられる人間でありたかったな、なんて。私は皆の楔だと、大人数の上に立つ器だと。なんだかんだ言われるけれど、私はそんなに大した奴じゃない。そんなものになりたいと思った覚えは無いし、どうせそうなるのであれば、どうせなら。あの二人みてえに人の心を助けられる人になりたかったと、声に出ねえ心の軋みが今優しい従兄弟への甘えに変換されている。
「名前、泣いてるのか」
『うるさ。生理前の情緒不安定だから黙って撫でて』
「ハイハイ、全く。なに余計な事考えてんだか」
「ところで名前その怪我はなんの怪我だ?ん?」
『ん?いや別に大したもんじゃないでしょガーゼ数個くらい』
「頬っぺとかに出来てなかったら気にしなかったけどな」
もしや喧嘩か?と京介がちょっと愉快そうな声を出す。目は笑ってないのだからこの人は怖い、お調子者の皮を被った狼め。
実は名前、たまたま通りがかって立会人になってくれた世良以外に教えてないのだけれどとある男とタイマンを張った。元々名前にゃそんなつもりは無かったし、めちゃくちゃ渋々だったけれど。このタイマンが周囲にバレちまったらめちゃくちゃ大変なので墓まで持っていく所存であった。番犬二人や幼馴染にバレたらなんて考えるととてもとても怖い。死んでしまう。相手が。
『喧嘩なのは否定しないけど、あんま追求しないで。憎みあってした訳じゃないんだからさ』
明らかに「ええ~~??」という顔をした県南組に名前はハイこの話終わりね、と早めに切り捨てた。もしこの話をするのであれば、それは花ちゃんか、光政かくらいである。奴等であればきっと、めちゃくちゃしかめっ面になりながら「オア゛~~~~~……」と唸って渋々納得するから。