そのろく
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『お腹出して寝ちゃダメよ』
「あぁ」
『十三スペシャルは暫くお預けしてね』
「多分な」
『あとね、あとね』
「あぁ」
『これね、御守り。寂しくなったら私だと思って良いよ』
名前が差し出したのは歪な形の御守りだった。渡してすぐ手を隠したけれど、絆創膏だらけな事に気付かない十三ではない。名前の隣に立つ将五と後ろに立つ十希夫、山田とタケが苦く笑っている。
「あぁ、大事にするよ」
お前の代わりなぞ有りやしねえけれど、なんだか腹に込み上げてくる気持ちをぐっと押し込めて十三はいつも通りニィと口端を吊り上げて笑った。
不安が無いとは言えない、未だに十三はこの女が心配だ。産まれた時からずっと見てきたんだ、離れて過ごすなんて初めてだから。ちゃんと飯を食うだろうか、またちょこちょこ起きては泣いちまうんじゃないか。ずっと一緒に居た兄貴に甘えられねえでやっていけるのか。
でも、
「……行っちまったな」
『ん゛』
「名前っ゛ち゛、な、なくな゛ってえ゛」
「ハイハイ、名前もタケちゃんも泣きすぎね全くもう。将五は?泣く?」
「今生の別れじゃねえんだ、泣かねえよ」
「昨日泣いてたろ」
「言うなよ」
泣いちまった名前の頭を十希夫が撫でる。別れ際の少しだけ目の赤かった十三の、「名前を頼むぞ」なんて言葉を何度も何度も頭の中で響かせながら皆に家の中に入るよう促した。十三程でないにしろ、十希夫はこの中じゃお兄さんなので、泣いてやるわけにいかないのだ。
『お腹出して寝ちゃダメよ』
「あぁ」
『十三スペシャルは暫くお預けしてね』
「多分な」
『あとね、あとね』
「あぁ」
『これね、御守り。寂しくなったら私だと思って良いよ』
名前が差し出したのは歪な形の御守りだった。渡してすぐ手を隠したけれど、絆創膏だらけな事に気付かない十三ではない。名前の隣に立つ将五と後ろに立つ十希夫、山田とタケが苦く笑っている。
「あぁ、大事にするよ」
お前の代わりなぞ有りやしねえけれど、なんだか腹に込み上げてくる気持ちをぐっと押し込めて十三はいつも通りニィと口端を吊り上げて笑った。
不安が無いとは言えない、未だに十三はこの女が心配だ。産まれた時からずっと見てきたんだ、離れて過ごすなんて初めてだから。ちゃんと飯を食うだろうか、またちょこちょこ起きては泣いちまうんじゃないか。ずっと一緒に居た兄貴に甘えられねえでやっていけるのか。
でも、
「……行っちまったな」
『ん゛』
「名前っ゛ち゛、な、なくな゛ってえ゛」
「ハイハイ、名前もタケちゃんも泣きすぎね全くもう。将五は?泣く?」
「今生の別れじゃねえんだ、泣かねえよ」
「昨日泣いてたろ」
「言うなよ」
泣いちまった名前の頭を十希夫が撫でる。別れ際の少しだけ目の赤かった十三の、「名前を頼むぞ」なんて言葉を何度も何度も頭の中で響かせながら皆に家の中に入るよう促した。十三程でないにしろ、十希夫はこの中じゃお兄さんなので、泣いてやるわけにいかないのだ。