そのよん
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六人は使われてねえビルの地下駐車場で対峙していた。将五はそっちの比留間とこっちの前川はこの間やり合ったばかりだから、六人でケリを付けようと言った。
「ふざけんな!六人だと!!?常磐の頭は来やがらねえのか!!!?」
「は?」
「えっ七人會って聞いてたぞ。誰あれ」
「コイツは南會の奴でな……常磐ってのの頭に部下ァ半殺しにされてんだよ」
そうビスコが言うとアボと前川以外があちゃー……と顔に手を当てた。もうやだアイツ。世良は本気な名前の喧嘩は見たこと無いけれど、ヤバい事は知ってるので溜め息が止まらない。
「いや……ここに居ねえもう一人と一緒に向かってるけどよ……」
「来るんだな!?」
「ええ……マジか……居ねえ事を祈ってたンだが……」
「まぁ大丈夫だろ!アイツ強いし!」
「いや俺が心配してんの相手なんだわ」
「お前、南會の。なんて?」
「羽島だ」
「お前、常磐の奴がやる気じゃねえ事を祈っといた方がいいぜ」
「あ゛?」
「アイツが本気になったら、俺は止めれねえからよ」
「俺が力づくで止めるという選択肢も……」
「光政?俺この間もう殴るなって言ったよな?」
「怒んなよ花……」
「直樹、あの……」
「まぁ大丈夫だろ。多分。多分」
そんなこんなで始まったタイマン勝負。一戦目、柴木対花は花に軍杯が上がる。そりゃそう、どこぞの誰かが認めた今代最高の男なので。
二戦目、阿南対光政。負ける訳にいかない阿南は光政に猛攻するが、どこぞの誰かが認めた鳳仙最高の男、光政だって立たねえわけに行かない。来た時に何言われっか解らねえから。そうして光政に軍杯が上がる。
流れが変わったのは世良とアボが負けた事。世良は戸亜留市で戦った伊丹という男との戦いが尾を引いていた。アボの振りかぶった拳が柱を打ち抜いて、それで。
ブォン!!!!!ギギィーーーーッ!!!!!!外でとんでもねえ音が響いた。なんだなんだ、と萬侍全員が見ると戸亜留市連中はあぁ……と遠い目をした。
「おお!来やがった!天っ地よく来たな!」
「……」
「……大丈夫か?」
「ぉえ゛ッ」
「天地お前酔ったな?」
「そんな酷かったんか運転」
「ま゛ッ……待て……将五……あの……あれ……」
「ほら水」
「誰がコーラ渡せっつった!!!殺すぞ!!!」
「幼馴染ジョークやめろ」
「……おい名前は?」
「外で怪我してる連中写メりまくってる」
「通常運転で何より。残念なお知らせだ」
「あ?」
「名前狙いが居る」
「俺ァ酔ってるから止めねーぞ」
「クソ末っ子野郎が」
そうして始まった天地と火口の戦い。火口の実力は凄いもので、天地が怪我をしてるからと柱に頭を打ち付けなけりゃ怪我をしていた天地は負けていただろう。無論、お互いピンピンしてたらまた解らないけれど。
天地ほれ、水。お前水あるならさっき渡せや。
『ねえ~、終わったァ?』
「!」
ほわ~!と欠伸を零しながら入ってきた奴に、七人會は見覚えがあった。アイツ、あの時の。
『ウケる皆傷だらけじゃん。花……は勝ったでしょ。光政は?まさか負けてねーよね?』
「勝ったわ」
『ハイハイ。おいコラ世良ァ、お前は?』
「負けちまったわ」
『ふうん。なんつった?百合南のは』
「負けたよ」
『寿……は勝ったのね。じゃ3-2?ふうん』
「前川は怪我してっから俺とビスコでケリ付けるつもりだからあの」
『解ってるよぉ』
「おい!テメーが常磐の頭か!」
南會の羽島が声を張り上げる。名前はそれを無視、だってコイツ七人会じゃないじゃん。
「名前、ソイツ南會の」
「南會の羽島だ!うちの田川が世話になったな!!」
ぴくり。そこでようやっと反応してゆるりと目線を上げる。コイツが南會の羽島。私の相棒を袋にした連中の一番目。ニィ、と口端を吊り上げる。
『あのなぁ、三下』
「あ゛!?」
『南會は七人会じゃねーだろう。幹部は幹部でも大幹部じゃねーお前と、戸亜留市勢力最弱のうちがこの場でやるのはお門違いだ。違う?』
「最弱……?」
『まず正規の奴等がやるべきだ。将五とそっちのデカブツがね。そこで勝負が付くかも知らねーんだから、なに、我慢出来ねえの?』
ねえ、お前立会人だろ。どう思う?急に話を振られた長沢はえ、俺?と自分を指さす。
『神聖なタイマンの場を雑魚が汚すのは良くないンじゃねえかなぁ、って思うんだけど。どう思う?』
「いや、こっちは任せるが」
「俺とビスコがやる。それで構わねえな」
「……おい!ビスコが勝ちゃ3-3だ!ケリが付かなかったらやっていいな!!」
羽島が吠える。ンでもビスコや他の奴は名前をチラッと知ってるモンだからいや、アイツ……と言おうとして名前が『それでいいよォ』と緩く答えた。
『やりたくねえとは言ってねえンだから駄々こねんなよな!』
「天地、頼むぞ」
「無理」
「いざとなったら俺と光政で止めるから大丈夫だよ!」
「え?俺も?ホント?」
じゃ、座って見てよっかぁと名前はマイペースに座って壁に寄りかかる。
「おい花」
「ん」
「コイツぶっ倒したら……次はお前だからよ」
「おう!」
何ともまぁ、可愛らしい。名前は思わずフフっと笑みを零した。どっちが勝つかとか抜きに、二人がやる日にゃ沢山ご飯でも作ってあげようかな。
「名前」
『あいよ』
名前の脳裏に昨日、二人で話した事が流れる。将五はまっすぐな目で名前と目を合わせる。
成長したね、将五。お前、昔は泣き虫だったし馬鹿な事も沢山したよね。直情型でやらかした事も沢山あったけど、今は立派に。
『髑髏に恥じねえ戦いしろよな』
「……おう」
生まれた時からの付き合いだ、こんな言葉で全部伝わる。ビスコと向き合った将五の背中を眩しそうに見て、
ビスコの拳が、将五に振り下ろされた。