そのに
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鈴蘭高校ではある意味とても重要な喧嘩が起こった。戸亜留市最強の男、花木九里虎。そして前代未聞の鈴蘭統一を目論む最高の男、月島花。二人は周囲の色んな思惑も何も受け止めて、ぶつかろうとしている。
そりゃ、戸亜留市の男共はそんな喧嘩見たくねえわけが無い。伝説である最高の男、坊屋春道と最強の男、林田恵の喧嘩も見に行った事がある世代だ、伝説の再来みてーなもんなのだ。この日の戸亜留市は心做しか浮き足立っている。
「名前、あの。ホントに?」
『うん、行きなよ、見に行きたいんでしょ。二人で行きな』
「てっきり名前っち見に行きたいって言うと思ってたァ~」
『私今日用事あんのよ。結果教えてくれる?』
「ん~まぁ良いけど。用事って?」
『会いてえのが居てね。……ほら、始まっちまうよ、行きな』
「はぁーい」
「行ってきまぁ~す」
『はい行ってらっしゃい』
二人が鈴蘭の方へ向かったのを見て名前はニコニコしていたが、急にストン、と表情を落としちまった。
苗字名前って女は根に持つ女である。大事な人が嫌な思いをして黙って居られるような女ではない。それに、それに。
鈴蘭は嫌い。きっとこれからもそれは変わらない。愛してしまったのがたまたま鈴蘭の人だった、仲良くなったのがたまたま鈴蘭の奴だった、それだけで名前の中にゃ未だドス黒いモノが渦巻いている。
それでも、嫌いだとしても鈴蘭内でそんな戦いが起こっちまうのは悲しかった。
ボロボロになった花が飛んでいく。ボロボロの九里虎が怒りの咆哮をあげる。大好きな先輩に叩きのめされて、尊敬出来る後輩の為に汚れ役を買って、この決着は付いた。
「え?」
「名前っち何してんの?」
本来なら他校生は入れねえ鈴蘭高校に何も気にせず立ち入ったのは名前だった。皆ポカンとしちまって九里虎がえ~っと、名前チャン?と声をかける。無視。我に返った武藤蓮次が、迫田武文が声をかける。無視。名前は人混みを掻き分けて、掻き分けて、掻き分けて。
『見ィ付けた』
決して目立たねえ位置に居たソイツ。戦わざるを得ない理由を作った男。周りが納得しても私は納得なんざしない。目の前に立った女になにて?という顔をした伊庭に、名前はニッコリ笑いかけた。
『私、苗字名前!大っ嫌いな鈴蘭生の鑑みてーな伊庭くん。完全な私怨でテメーの息の根止めに来たぜ!!!』
「あっ」
「やばっ」
「逃げろ伊庭ーーーーッ!!!!」
「名前チャン名前チャン名前チャン」
言うなれば鈴蘭特攻EX。昔からそう、名前を止められる鈴蘭生なんて居やしねえ。あの原田十希夫だって本気で動こうとする名前を止められない。
体格のいい伊庭より遥かに小さな身体から繰り出されるのは先程花木九里虎から繰り出されたものと全く同じ。柔軟な身体から生み出されたハイキックは“一旦宙に留まり威力を溜めた”。本来弓蹴りと呼ばれるその蹴りは、九里虎の特別なバネ、運動神経、喧嘩のセンスが合わさって繰り出される技だ。苗字名前には九里虎には及ばないながら人を超越したバネ、運動神経があった。だが喧嘩のセンスは同等であり、なにより特殊な目があった。
九里虎のようには出来ない。他の男連中のような力もない。ずば抜けた運動神経なんてない。でも、その目は九里虎の消える蹴りを完全に自分のものとして作り変えるだけの分析力を持っていた。
今自分が持てるだけ全ての力を最大限に引き出す分析力を。
伊庭が体育館の壁に強く叩き付けられる。辛うじて目を開けると、既に目の前には飛んだ名前の姿があった。大魔王コンボ最終技、ドロップキックである。
意識を飛ばした伊庭を見て体育館は静まり返った。外から見てた山田とタケはあまりのえぐさに抱き合った。怖い。俺達の頭があんなにも怖い。
無表情で伊庭を見下ろした名前はゆっくりと伊庭の腹を踏む。じわじわと痛みを感じるように、ゆっくりと。
『誰かの下には付きたくねー。でも全部の上に立ちてえなんて思わねー。自由を勝ち取る度胸もねー。それなら邪魔せず黙って引き篭ってりゃ良いのによ』
並々ならぬ怒りはその場全てを飲み込んだ。理解はしても納得は出来ないしする気はない。クソッタレ、ここで会ったが百年目。
『勘違いすんなよ、別に私は誰かの為にお前を殺りに来た訳じゃねー。私が気に食わねえから来たんだ』
あ゛~疲れた。じゃあね~と名前はゆらゆら手を振って歩き出した。武藤蓮次と花木九里虎は察した。アイツ、ホントに素直じゃねえなと。
鈴蘭高校ではある意味とても重要な喧嘩が起こった。戸亜留市最強の男、花木九里虎。そして前代未聞の鈴蘭統一を目論む最高の男、月島花。二人は周囲の色んな思惑も何も受け止めて、ぶつかろうとしている。
そりゃ、戸亜留市の男共はそんな喧嘩見たくねえわけが無い。伝説である最高の男、坊屋春道と最強の男、林田恵の喧嘩も見に行った事がある世代だ、伝説の再来みてーなもんなのだ。この日の戸亜留市は心做しか浮き足立っている。
「名前、あの。ホントに?」
『うん、行きなよ、見に行きたいんでしょ。二人で行きな』
「てっきり名前っち見に行きたいって言うと思ってたァ~」
『私今日用事あんのよ。結果教えてくれる?』
「ん~まぁ良いけど。用事って?」
『会いてえのが居てね。……ほら、始まっちまうよ、行きな』
「はぁーい」
「行ってきまぁ~す」
『はい行ってらっしゃい』
二人が鈴蘭の方へ向かったのを見て名前はニコニコしていたが、急にストン、と表情を落としちまった。
苗字名前って女は根に持つ女である。大事な人が嫌な思いをして黙って居られるような女ではない。それに、それに。
鈴蘭は嫌い。きっとこれからもそれは変わらない。愛してしまったのがたまたま鈴蘭の人だった、仲良くなったのがたまたま鈴蘭の奴だった、それだけで名前の中にゃ未だドス黒いモノが渦巻いている。
それでも、嫌いだとしても鈴蘭内でそんな戦いが起こっちまうのは悲しかった。
ボロボロになった花が飛んでいく。ボロボロの九里虎が怒りの咆哮をあげる。大好きな先輩に叩きのめされて、尊敬出来る後輩の為に汚れ役を買って、この決着は付いた。
「え?」
「名前っち何してんの?」
本来なら他校生は入れねえ鈴蘭高校に何も気にせず立ち入ったのは名前だった。皆ポカンとしちまって九里虎がえ~っと、名前チャン?と声をかける。無視。我に返った武藤蓮次が、迫田武文が声をかける。無視。名前は人混みを掻き分けて、掻き分けて、掻き分けて。
『見ィ付けた』
決して目立たねえ位置に居たソイツ。戦わざるを得ない理由を作った男。周りが納得しても私は納得なんざしない。目の前に立った女になにて?という顔をした伊庭に、名前はニッコリ笑いかけた。
『私、苗字名前!大っ嫌いな鈴蘭生の鑑みてーな伊庭くん。完全な私怨でテメーの息の根止めに来たぜ!!!』
「あっ」
「やばっ」
「逃げろ伊庭ーーーーッ!!!!」
「名前チャン名前チャン名前チャン」
言うなれば鈴蘭特攻EX。昔からそう、名前を止められる鈴蘭生なんて居やしねえ。あの原田十希夫だって本気で動こうとする名前を止められない。
体格のいい伊庭より遥かに小さな身体から繰り出されるのは先程花木九里虎から繰り出されたものと全く同じ。柔軟な身体から生み出されたハイキックは“一旦宙に留まり威力を溜めた”。本来弓蹴りと呼ばれるその蹴りは、九里虎の特別なバネ、運動神経、喧嘩のセンスが合わさって繰り出される技だ。苗字名前には九里虎には及ばないながら人を超越したバネ、運動神経があった。だが喧嘩のセンスは同等であり、なにより特殊な目があった。
九里虎のようには出来ない。他の男連中のような力もない。ずば抜けた運動神経なんてない。でも、その目は九里虎の消える蹴りを完全に自分のものとして作り変えるだけの分析力を持っていた。
今自分が持てるだけ全ての力を最大限に引き出す分析力を。
伊庭が体育館の壁に強く叩き付けられる。辛うじて目を開けると、既に目の前には飛んだ名前の姿があった。大魔王コンボ最終技、ドロップキックである。
意識を飛ばした伊庭を見て体育館は静まり返った。外から見てた山田とタケはあまりのえぐさに抱き合った。怖い。俺達の頭があんなにも怖い。
無表情で伊庭を見下ろした名前はゆっくりと伊庭の腹を踏む。じわじわと痛みを感じるように、ゆっくりと。
『誰かの下には付きたくねー。でも全部の上に立ちてえなんて思わねー。自由を勝ち取る度胸もねー。それなら邪魔せず黙って引き篭ってりゃ良いのによ』
並々ならぬ怒りはその場全てを飲み込んだ。理解はしても納得は出来ないしする気はない。クソッタレ、ここで会ったが百年目。
『勘違いすんなよ、別に私は誰かの為にお前を殺りに来た訳じゃねー。私が気に食わねえから来たんだ』
あ゛~疲れた。じゃあね~と名前はゆらゆら手を振って歩き出した。武藤蓮次と花木九里虎は察した。アイツ、ホントに素直じゃねえなと。