そのじゅうはち
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その日、戸亜留市全体が異様な空気に包まれた。そこかしこにギラついた目をした奴等が闊歩して何かを探している。
苗字名前が意識不明の重体になった事は、常磐連合と、十三しか知らない。大きな勢力の奴等は良いけれど、三生高や白堂は未だ協定を結んだとは言え常磐の頭が沈んだ事を知られれば何をされるか解らないからだ。将五に教えていないのは絶対に事が大きくなる為。名前が倒れた今……本来常磐という大きな船の舵を取るのは山田とタケが担うべきであるけれど、二人は激昂し、今にも人を殺しかねない目で唸っているので……臨時として、名前達のクラスメイトで、医療班と呼ばれる班のトップである佐伯という男が指示出し役に収まった。
ネット班がどれだけ探しても、最後の名前の足取りは倒れていた箇所へ向かう最中しか掴めなかった。倒れていたのは公園なのだけど、監視カメラが付近に全然無かったのである。
そうなればあとは足で探すしかない。これには山田もタケもいの一番に学校を飛び出しちまった。佐伯は仕方ねえなぁアイツ等!なんて笑いながら煙草に火を点ける。
「高橋、橋本。近接最強コンビ。黒澤とタケ、よろしくな」
「へいへいドクター」
「止めろってんでしょ。解ってるよ」
「つかそろそろ煙草控えろよサエ。本数増えすぎだぞ」
「ハハ……名前が倒れたって聞いた瞬間倍になったよ……」
病院では十三が無表情で俯いていた。ベッドに横たわるのは身体中包帯だらけで、特に頭の傷と、腹の打撲が酷いと言われた。左手の小指と薬指の先端が潰れ、右目の上は深めに切れていた。
「……名前……」
十三がこんな女を見たのは、彼女が中一……タケと二人で、三代目の連中にリンチに合った時以来であった。早く目を覚ましてくれよ、と名前の頬をすり、と撫でて……十三は病室から出たのだった。
「オラァボケ共!!!!に見てんだゴラァ!!!!」
「見せもんじゃねーぞッ!!?あっち言ってろクソが!!!!!」
常磐連合の戦闘員や、情報を集めたいと志願した生徒達が戸亜留に散らばっている。山田とタケは高橋と橋本の近接戦最終兵器組に見張られながら……名前が倒れていた公園周辺を歩いていた。
酷いことに……山田は中坊時代にでも戻ったのか?というくらいの形相で殺気を振り撒き、タケは今にも何かに噛み付きそうな……危うい空気を醸し出していた。そんな……危ない連中に気付いたのは、たまたま歩いていた山田の兄である黒澤和光、花木九里虎、そして原田十希夫の三名。
「……友哉?」
「ぁ゛ア?!……あぁ、兄貴か」
「どうしたんだお前、タケも」
「ガル……」
「おい」
とんでもねえ低い声で、十希夫は唸るように声を出した。それに興奮状態の山田とタケも、黒澤も……あの九里虎ですら、背筋に怖気を感じて一気に振り返っちまった。
「……名前は、何処にいる」
十希夫の目は、既に瞳孔が完全に開いて……そのまま山田とタケに近づいて行く。
二人は「お前に言う事なんぞねえ」と吠えた。それはそう、昨日一昨日まで散々くそからかったり応援したりしたけれど、実際問題まだ十希夫は名前の男でもなし、部外者もいい所。それになにより、十希夫や黒澤達三年を巻き込めば……引退した奴等を巻き込みやがってと後から名前が悲しむ。激昂し、暴走寸前ではあるけれど、名前のことに関しての理性だけは残って
「名前は」
残っ、て
「俺の女は何処にいる」
山田とタケに取って、名前に関すること以外の恐怖は……後にも先にも、これだけであったという。
苗字名前が意識不明の重体になった事は、常磐連合と、十三しか知らない。大きな勢力の奴等は良いけれど、三生高や白堂は未だ協定を結んだとは言え常磐の頭が沈んだ事を知られれば何をされるか解らないからだ。将五に教えていないのは絶対に事が大きくなる為。名前が倒れた今……本来常磐という大きな船の舵を取るのは山田とタケが担うべきであるけれど、二人は激昂し、今にも人を殺しかねない目で唸っているので……臨時として、名前達のクラスメイトで、医療班と呼ばれる班のトップである佐伯という男が指示出し役に収まった。
ネット班がどれだけ探しても、最後の名前の足取りは倒れていた箇所へ向かう最中しか掴めなかった。倒れていたのは公園なのだけど、監視カメラが付近に全然無かったのである。
そうなればあとは足で探すしかない。これには山田もタケもいの一番に学校を飛び出しちまった。佐伯は仕方ねえなぁアイツ等!なんて笑いながら煙草に火を点ける。
「高橋、橋本。近接最強コンビ。黒澤とタケ、よろしくな」
「へいへいドクター」
「止めろってんでしょ。解ってるよ」
「つかそろそろ煙草控えろよサエ。本数増えすぎだぞ」
「ハハ……名前が倒れたって聞いた瞬間倍になったよ……」
病院では十三が無表情で俯いていた。ベッドに横たわるのは身体中包帯だらけで、特に頭の傷と、腹の打撲が酷いと言われた。左手の小指と薬指の先端が潰れ、右目の上は深めに切れていた。
「……名前……」
十三がこんな女を見たのは、彼女が中一……タケと二人で、三代目の連中にリンチに合った時以来であった。早く目を覚ましてくれよ、と名前の頬をすり、と撫でて……十三は病室から出たのだった。
「オラァボケ共!!!!に見てんだゴラァ!!!!」
「見せもんじゃねーぞッ!!?あっち言ってろクソが!!!!!」
常磐連合の戦闘員や、情報を集めたいと志願した生徒達が戸亜留に散らばっている。山田とタケは高橋と橋本の近接戦最終兵器組に見張られながら……名前が倒れていた公園周辺を歩いていた。
酷いことに……山田は中坊時代にでも戻ったのか?というくらいの形相で殺気を振り撒き、タケは今にも何かに噛み付きそうな……危うい空気を醸し出していた。そんな……危ない連中に気付いたのは、たまたま歩いていた山田の兄である黒澤和光、花木九里虎、そして原田十希夫の三名。
「……友哉?」
「ぁ゛ア?!……あぁ、兄貴か」
「どうしたんだお前、タケも」
「ガル……」
「おい」
とんでもねえ低い声で、十希夫は唸るように声を出した。それに興奮状態の山田とタケも、黒澤も……あの九里虎ですら、背筋に怖気を感じて一気に振り返っちまった。
「……名前は、何処にいる」
十希夫の目は、既に瞳孔が完全に開いて……そのまま山田とタケに近づいて行く。
二人は「お前に言う事なんぞねえ」と吠えた。それはそう、昨日一昨日まで散々くそからかったり応援したりしたけれど、実際問題まだ十希夫は名前の男でもなし、部外者もいい所。それになにより、十希夫や黒澤達三年を巻き込めば……引退した奴等を巻き込みやがってと後から名前が悲しむ。激昂し、暴走寸前ではあるけれど、名前のことに関しての理性だけは残って
「名前は」
残っ、て
「俺の女は何処にいる」
山田とタケに取って、名前に関すること以外の恐怖は……後にも先にも、これだけであったという。