そのじゅうろく
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『よ、元気そうじゃん』
「……急に現れるな、お前」
ベンチでぼけ!としてた世良の隣に座る。謹慎が解けたのでね。ようやく会いに来れた訳だ。
「だ~れが雑魚だって???」
『えっ雑魚とまでは言ってないよ?世良くんじゃ寿にゃ勝てねーって言っただけ』
「喧しいな」
『ンはは。……強かったでしょ、寿』
「そうな、そういや、お前は基本三人組で歩くのが多いって聞いたが……今日は一人か?」
『ご近所さんの大将に会うのに二人も三人も要らないでしょ。なに、世良くん君私の事襲う気でもある訳?』
「はは、なんか嫌な言い方しやがるな~お前」
『世良くん程じゃないよ。……寿の過去なんて聞いてどうする気?』
世良はニッと笑って煙草を吸う。寿の過去を聞きたい、なんて連絡が来た時には……まぁ、来たかと思ったけれど。
世良直樹って男は食えない野郎で、ご近所さんである河二のすげー奴。何度か会った事はあるけど、その時から興味は持っていた。ま、どうでもよかったんだけど。
「仲、良いんだろ。昔から」
『お~よ、マイダーリンの事は知らない事は無いね』
「え?お前鈴蘭の原田と付き合ってんじゃねーの?」
『ゲッッッッホゲホッ馬鹿この!!付き合ってないわ!!誰情報それ!!?』
「デート、見たぜ」
『殺すからな……?ん゛っう゛ん゛、それで?』
「強い奴のルーツを知りてえのは、普通の事じゃねーかな」
『んふふ、寿?転校生だから良く解んないっつったら?』
「知らねーことはないんだろ?」
『あんなひねくれた理由も、なにもね』
「教えちゃくんねーかな」
『そういや、世良くんも父ちゃん死んでるんだっけ。事故っつったか』
「……誰に聞いたんだよ、いつ調べた」
『今朝方、ちょっとした伝手でね』
「……はぁ、敵に回すのも怖ぇなお前」
『回る気は無いよ、手を出さなきゃね。んで、寿だね?』
「あぁ」
『言っとくけど……人にゃ触れられたくない部分ってのは少なからずある。世良くんが探ろうとしてるのは、そこだからね。理解して』
「してるつもりだ」
『そ、ならいいよ。教えたげる』
「聞いといてなんだが、あっさりしてんな」
『ンはは。だって、世良くんに教えたとして……君じゃ寿は救えないからね』
「……?」
『今の寿は自暴自棄通り越してただの馬鹿だけどよ!多分……寿を救えるのは花ちゃんだけだろーぜ。私は……寄り添うことしか出来ねーからよ』
そうしてぽつりぽつりと世良に寿の過去を話していく。母ちゃんが死に、馬鹿な事を言って息子に自分の首吊り死体を見せ付けたクソ親父、そして引き取った天地家の話。
『ンはは、寿はね、純粋なんだよ。不良にしちゃ……ある意味花ちゃんと同じくらいね!忠実に死んだ親父さんの言葉を守ってやがるのさ。聞いたところで俺が一番つえー!腹立つから目の前に立つ者全部ぶっ潰す!としか言わねーだろうけど、根底に親父さんが住んでるから、ずっと苦しみ続けてる』
本当は、名前は天地の助けになりたかった。でも、男の世界にゃ関わらない、ただ全員を受け入れて誰も否定しないようにしようと決めた時から名前は諦めちまった。天地は完全に名前に依存しちまって……でも、生き方を変える気もない。名前も、変えられる気がしない。
『……満足?』
「あぁ、十分だ。……そうか……」
『……なに?』
「いや、俺も親父を亡くしてて、ってお前も知ってるだろ。事故だけどよ」
『おん』
「中坊の頃の俺ァクソガキでよ。反抗してー年頃だろう?親父に生意気な口聞いて、それきりだ。……そうか、天地も……」
『……乗り越えられてねーのさ。あの子はね』
「花ちゃんって、鈴蘭の月島だろ?随分推すな」
『んふふ、何年すげー男達を見てきたと思ってんの?世良、馬鹿な奴をなんとか目覚めさせる特効薬って何か知ってる?』
「いや」
『最高の男とぶつけるんだよ!春道くんに殴られた龍信さん然り、竜也くん然り、竜男兄ちゃん然りな!……この街の馬鹿共ってのは……そういう奴が多いからよ』
「ん~今とんでもねえ名前がゴロゴロ聞こえてきたんだがよ、もしかしてお前めちゃくちゃヤベー奴じゃねーか?」
『え?自己紹介か?』
「ははは……」
『いでででで!!!!』
世良が名前の腕を掴んでギチギチ力を込める。この野郎やはりクズだな?と抵抗するとパッと離される。
「あんまり虐めると原田に悪いからな……」
『まだ言うのかそれ!!!!!』
『よ、元気そうじゃん』
「……急に現れるな、お前」
ベンチでぼけ!としてた世良の隣に座る。謹慎が解けたのでね。ようやく会いに来れた訳だ。
「だ~れが雑魚だって???」
『えっ雑魚とまでは言ってないよ?世良くんじゃ寿にゃ勝てねーって言っただけ』
「喧しいな」
『ンはは。……強かったでしょ、寿』
「そうな、そういや、お前は基本三人組で歩くのが多いって聞いたが……今日は一人か?」
『ご近所さんの大将に会うのに二人も三人も要らないでしょ。なに、世良くん君私の事襲う気でもある訳?』
「はは、なんか嫌な言い方しやがるな~お前」
『世良くん程じゃないよ。……寿の過去なんて聞いてどうする気?』
世良はニッと笑って煙草を吸う。寿の過去を聞きたい、なんて連絡が来た時には……まぁ、来たかと思ったけれど。
世良直樹って男は食えない野郎で、ご近所さんである河二のすげー奴。何度か会った事はあるけど、その時から興味は持っていた。ま、どうでもよかったんだけど。
「仲、良いんだろ。昔から」
『お~よ、マイダーリンの事は知らない事は無いね』
「え?お前鈴蘭の原田と付き合ってんじゃねーの?」
『ゲッッッッホゲホッ馬鹿この!!付き合ってないわ!!誰情報それ!!?』
「デート、見たぜ」
『殺すからな……?ん゛っう゛ん゛、それで?』
「強い奴のルーツを知りてえのは、普通の事じゃねーかな」
『んふふ、寿?転校生だから良く解んないっつったら?』
「知らねーことはないんだろ?」
『あんなひねくれた理由も、なにもね』
「教えちゃくんねーかな」
『そういや、世良くんも父ちゃん死んでるんだっけ。事故っつったか』
「……誰に聞いたんだよ、いつ調べた」
『今朝方、ちょっとした伝手でね』
「……はぁ、敵に回すのも怖ぇなお前」
『回る気は無いよ、手を出さなきゃね。んで、寿だね?』
「あぁ」
『言っとくけど……人にゃ触れられたくない部分ってのは少なからずある。世良くんが探ろうとしてるのは、そこだからね。理解して』
「してるつもりだ」
『そ、ならいいよ。教えたげる』
「聞いといてなんだが、あっさりしてんな」
『ンはは。だって、世良くんに教えたとして……君じゃ寿は救えないからね』
「……?」
『今の寿は自暴自棄通り越してただの馬鹿だけどよ!多分……寿を救えるのは花ちゃんだけだろーぜ。私は……寄り添うことしか出来ねーからよ』
そうしてぽつりぽつりと世良に寿の過去を話していく。母ちゃんが死に、馬鹿な事を言って息子に自分の首吊り死体を見せ付けたクソ親父、そして引き取った天地家の話。
『ンはは、寿はね、純粋なんだよ。不良にしちゃ……ある意味花ちゃんと同じくらいね!忠実に死んだ親父さんの言葉を守ってやがるのさ。聞いたところで俺が一番つえー!腹立つから目の前に立つ者全部ぶっ潰す!としか言わねーだろうけど、根底に親父さんが住んでるから、ずっと苦しみ続けてる』
本当は、名前は天地の助けになりたかった。でも、男の世界にゃ関わらない、ただ全員を受け入れて誰も否定しないようにしようと決めた時から名前は諦めちまった。天地は完全に名前に依存しちまって……でも、生き方を変える気もない。名前も、変えられる気がしない。
『……満足?』
「あぁ、十分だ。……そうか……」
『……なに?』
「いや、俺も親父を亡くしてて、ってお前も知ってるだろ。事故だけどよ」
『おん』
「中坊の頃の俺ァクソガキでよ。反抗してー年頃だろう?親父に生意気な口聞いて、それきりだ。……そうか、天地も……」
『……乗り越えられてねーのさ。あの子はね』
「花ちゃんって、鈴蘭の月島だろ?随分推すな」
『んふふ、何年すげー男達を見てきたと思ってんの?世良、馬鹿な奴をなんとか目覚めさせる特効薬って何か知ってる?』
「いや」
『最高の男とぶつけるんだよ!春道くんに殴られた龍信さん然り、竜也くん然り、竜男兄ちゃん然りな!……この街の馬鹿共ってのは……そういう奴が多いからよ』
「ん~今とんでもねえ名前がゴロゴロ聞こえてきたんだがよ、もしかしてお前めちゃくちゃヤベー奴じゃねーか?」
『え?自己紹介か?』
「ははは……」
『いでででで!!!!』
世良が名前の腕を掴んでギチギチ力を込める。この野郎やはりクズだな?と抵抗するとパッと離される。
「あんまり虐めると原田に悪いからな……」
『まだ言うのかそれ!!!!!』