そのじゅうろく
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『おい将五』
「なに」
『本気でふざけんなよ』
「なにが」
『私の見張りでなんで春ちゃんまで連れて来た!!言え!!!』
「将五さんだけならアンタどうにかこうにか理由付けて外出しそうなんで」
「俺とか拓海だけなら負けるってのは解りきってるからな」
『ンのヤロースっ殺してやる』
「どうどう」
昨日は私と寿がベロベロに酔ってもう無理……となり、頑張って後片付けして寿がフラッフラしながら家に帰って、私も秒速で茶の間のソファで寝ちまった。久しぶりに昼間妹とゆっくり出来た十三はニッコリ。
んで起きて、十三をお見送りして将五が見張りなら多少出歩けるかな~、とか思ってたら春まで来た。キレそう。
『ねえ、言い方悪いの解ってて言うけど』
「名前さん、悪いの解ってんなら考えてもの話してください」
『グッ…………』
「相変わらずお前春に弱いよな」
『喧しい!……お前等今日、ブライアン行かねーの』
「兄貴帰ったら行くけど」
『なら、いい。行って、今すぐ』
「は?」
『……清ピーと、ブライアン行くんだ、今日』
「清広の兄貴と?」
「つか自宅謹慎とは」
『うるさ。同じ店に居るなら良いでしょ、まして清ピーよ。……マスターにも、会いたいから』
「……お前、もう、」
『五月蝿い。本当は行きたくないんだよ。……清広さんが、……行くぞって言うんだから』
チ、と名前が舌を打つ。名前はあの事件から一度もブライアンには行っていなかった。なんなら七代目の連中とも将五と拓海以外は会っていない。だから春が来た時、とんでもねえ苦い顔をして、仕方ないとは言え春も表にゃ出さないがめちゃくちゃショックだった。
その時にはもう家の前でぶぉん、と良い音がした。清広が来た、と名前がトボトボ叱られに行くガキみてーに歩いていくから、将五と春も顔を見合わせちまって、少ししてから家を出た。
無言でヘルメットをぶん投げ、顎で己の後ろを指した清広に、これまた無言でヘルメットを被って清広の後ろに乗って胴に腕を回す。……久しぶりに誰かの後ろに乗ったな、と、最後に乗ったのは、とまで考えて……頭を振った。
ブライアンの前に着いてヘルメットを外す。ブライアンの入口の前で固まっちまった名前の腕を清広は掴んでそのまま入っていく。
「いらっしゃい、名前ちゃん」
『……マスター』
いつもと変わらない表情でマスターは名前と清広を出迎えた。名前は俯いたまま、ぺこ、と頭を下げる。
鉄生の墓にはアホ程行ったくせに、大分鈴蘭だのはマシになってきたくせに、未だに武装だけは無理だった。将五の背にある新しい髑髏を見る度に凄まじい吐き気に襲われ、十三の後ろに隠れちまうから将五も家に帰る時はジャケットを脱ぐようになった。
「久しぶりだね。パフェ、食べるかい?」
『……』
「名前、返事は」
『……食べる……』
「はい、待っててね」
カウンターにどん、と二人して座る。清広は未だ何も話さない。絶対キレてるじゃん、と名前も縮こまっている。
カラン、と音がして将五と春が入ってくる。お久しぶりです、と挨拶をすればおう、と二人を見ずに返事をする。
「あの……兄貴、」
「帰りは俺が送る」
「あ、はい……」
「名前さん、」
「お前等良いからあっち行けや」
「あ、ウス……」
はいパフェね、と名前にデカいパフェが差し出された。清広にはコーヒー。頂きます、とボソボソ言いながら黙々食べる。
「名前」
『……あい』
「今日、呼んだ理由は解るか」
ンなもん、怒ってるからだろと名前は黙る。……鉄生さんの騒動の後、ブライアンには来ない、ずっとうじうじと悩み続け……まぁ今もそうだけど。
心の中に、まだ罪悪感。鉄生さんは私のせいで死んだのだから、清広さん達、六代目には……会いたくなかった、と。
ク、と唇を噛み締める。
「いつになったら俺を兄貴って呼ぶんだ……?」
『ゲッホゲッホゲホッゴハッぁ゛あ゛』
「んふふふふふ待ってグラス割りかけちゃった」
「まぁそれは後にして」
『あ後にはするけど話すことは話すんだ』
「当たり前だろうが、お前にとっちゃーどうだか知らねーがな!六代目はお前の兄貴だからよ」
『……』
「全員だ、解るか。難波も、将太も、佐橋も……ガヤも、アツシ達もな!俺達ャ、」
『やめて』
「……。難波達と、話はしたんか」
『してない』
「しろ、早急にだ」
『……やだ』
「甘ったれんな。お前がいらねー事で気を病んで起こした問題だ、テメーでケツ拭けよ」
『、なんで清広さんまでッ』
「解ってるんだろ」
清広は鋭いけれど、真っ直ぐな眼差しを持って名前を突き刺した。進み始めたとはいえ、ビクビクと怯えている妹分への喝である。
『……はは、あのさァ。それが慰めで、気休めにしか取れない事くらい頭のいいアンタなら解ってんでしょ』
「事実だ。それをどう解釈して取るかはお前次第だろうが」
『逃げるなって?』
「もう逃げ疲れた頃だろ。……難波と将太は呼んであるからよ」
『ッ余計な事しないでよ。どの面下げて会えって言うの、』
「“武装に関わる全ての身内は俺の身内”」
『、』
「……兄貴達に会うのに、どの面もクソもねーだろうが」
奥から難波と将太がコソ……と出てくる。身体が大きいもんだから隠れられてないけれど、本当に二人してコソコソと。名前は反射的に逃げようとするけれど、清広にそのまま立たされてマスターに一言かけてソファに座らせた。
「……名前」
『あ、』
「……無事で良かった」
『あ、、う、うわ、』
「もう死にたいなんて言わないでくれ。……もう、責めろなんて言わないでくれよ」
『……ッ、ぐ、ぅ、~~~ッ、』
二人の手がポン、と名前の頭に乗せられ、堪らず名前は二人に抱き着いた。
そうして、名前は難波と将太と……言い方は変だけれど、仲直りをした。酷く泣きじゃくって、うわ言のようにごめんなさい、と謝る声がブライアンに……七代目にも、カウンターにも響いたのだった。
「君はもう少し器用だと思ってたけどね」
「俺に妹なんてモンは居ねーんでね」
「久しぶりに名前ちゃんに会わせてくれてありがとうね」
「……。歴代武装が可愛がってる女だ、マスターも、そうだわな」
「全くだよ。清広くん、後でおしぼりあげるから名前ちゃんの目元冷やしてあげるんだよ」
「おう」
『おい将五』
「なに」
『本気でふざけんなよ』
「なにが」
『私の見張りでなんで春ちゃんまで連れて来た!!言え!!!』
「将五さんだけならアンタどうにかこうにか理由付けて外出しそうなんで」
「俺とか拓海だけなら負けるってのは解りきってるからな」
『ンのヤロースっ殺してやる』
「どうどう」
昨日は私と寿がベロベロに酔ってもう無理……となり、頑張って後片付けして寿がフラッフラしながら家に帰って、私も秒速で茶の間のソファで寝ちまった。久しぶりに昼間妹とゆっくり出来た十三はニッコリ。
んで起きて、十三をお見送りして将五が見張りなら多少出歩けるかな~、とか思ってたら春まで来た。キレそう。
『ねえ、言い方悪いの解ってて言うけど』
「名前さん、悪いの解ってんなら考えてもの話してください」
『グッ…………』
「相変わらずお前春に弱いよな」
『喧しい!……お前等今日、ブライアン行かねーの』
「兄貴帰ったら行くけど」
『なら、いい。行って、今すぐ』
「は?」
『……清ピーと、ブライアン行くんだ、今日』
「清広の兄貴と?」
「つか自宅謹慎とは」
『うるさ。同じ店に居るなら良いでしょ、まして清ピーよ。……マスターにも、会いたいから』
「……お前、もう、」
『五月蝿い。本当は行きたくないんだよ。……清広さんが、……行くぞって言うんだから』
チ、と名前が舌を打つ。名前はあの事件から一度もブライアンには行っていなかった。なんなら七代目の連中とも将五と拓海以外は会っていない。だから春が来た時、とんでもねえ苦い顔をして、仕方ないとは言え春も表にゃ出さないがめちゃくちゃショックだった。
その時にはもう家の前でぶぉん、と良い音がした。清広が来た、と名前がトボトボ叱られに行くガキみてーに歩いていくから、将五と春も顔を見合わせちまって、少ししてから家を出た。
無言でヘルメットをぶん投げ、顎で己の後ろを指した清広に、これまた無言でヘルメットを被って清広の後ろに乗って胴に腕を回す。……久しぶりに誰かの後ろに乗ったな、と、最後に乗ったのは、とまで考えて……頭を振った。
ブライアンの前に着いてヘルメットを外す。ブライアンの入口の前で固まっちまった名前の腕を清広は掴んでそのまま入っていく。
「いらっしゃい、名前ちゃん」
『……マスター』
いつもと変わらない表情でマスターは名前と清広を出迎えた。名前は俯いたまま、ぺこ、と頭を下げる。
鉄生の墓にはアホ程行ったくせに、大分鈴蘭だのはマシになってきたくせに、未だに武装だけは無理だった。将五の背にある新しい髑髏を見る度に凄まじい吐き気に襲われ、十三の後ろに隠れちまうから将五も家に帰る時はジャケットを脱ぐようになった。
「久しぶりだね。パフェ、食べるかい?」
『……』
「名前、返事は」
『……食べる……』
「はい、待っててね」
カウンターにどん、と二人して座る。清広は未だ何も話さない。絶対キレてるじゃん、と名前も縮こまっている。
カラン、と音がして将五と春が入ってくる。お久しぶりです、と挨拶をすればおう、と二人を見ずに返事をする。
「あの……兄貴、」
「帰りは俺が送る」
「あ、はい……」
「名前さん、」
「お前等良いからあっち行けや」
「あ、ウス……」
はいパフェね、と名前にデカいパフェが差し出された。清広にはコーヒー。頂きます、とボソボソ言いながら黙々食べる。
「名前」
『……あい』
「今日、呼んだ理由は解るか」
ンなもん、怒ってるからだろと名前は黙る。……鉄生さんの騒動の後、ブライアンには来ない、ずっとうじうじと悩み続け……まぁ今もそうだけど。
心の中に、まだ罪悪感。鉄生さんは私のせいで死んだのだから、清広さん達、六代目には……会いたくなかった、と。
ク、と唇を噛み締める。
「いつになったら俺を兄貴って呼ぶんだ……?」
『ゲッホゲッホゲホッゴハッぁ゛あ゛』
「んふふふふふ待ってグラス割りかけちゃった」
「まぁそれは後にして」
『あ後にはするけど話すことは話すんだ』
「当たり前だろうが、お前にとっちゃーどうだか知らねーがな!六代目はお前の兄貴だからよ」
『……』
「全員だ、解るか。難波も、将太も、佐橋も……ガヤも、アツシ達もな!俺達ャ、」
『やめて』
「……。難波達と、話はしたんか」
『してない』
「しろ、早急にだ」
『……やだ』
「甘ったれんな。お前がいらねー事で気を病んで起こした問題だ、テメーでケツ拭けよ」
『、なんで清広さんまでッ』
「解ってるんだろ」
清広は鋭いけれど、真っ直ぐな眼差しを持って名前を突き刺した。進み始めたとはいえ、ビクビクと怯えている妹分への喝である。
『……はは、あのさァ。それが慰めで、気休めにしか取れない事くらい頭のいいアンタなら解ってんでしょ』
「事実だ。それをどう解釈して取るかはお前次第だろうが」
『逃げるなって?』
「もう逃げ疲れた頃だろ。……難波と将太は呼んであるからよ」
『ッ余計な事しないでよ。どの面下げて会えって言うの、』
「“武装に関わる全ての身内は俺の身内”」
『、』
「……兄貴達に会うのに、どの面もクソもねーだろうが」
奥から難波と将太がコソ……と出てくる。身体が大きいもんだから隠れられてないけれど、本当に二人してコソコソと。名前は反射的に逃げようとするけれど、清広にそのまま立たされてマスターに一言かけてソファに座らせた。
「……名前」
『あ、』
「……無事で良かった」
『あ、、う、うわ、』
「もう死にたいなんて言わないでくれ。……もう、責めろなんて言わないでくれよ」
『……ッ、ぐ、ぅ、~~~ッ、』
二人の手がポン、と名前の頭に乗せられ、堪らず名前は二人に抱き着いた。
そうして、名前は難波と将太と……言い方は変だけれど、仲直りをした。酷く泣きじゃくって、うわ言のようにごめんなさい、と謝る声がブライアンに……七代目にも、カウンターにも響いたのだった。
「君はもう少し器用だと思ってたけどね」
「俺に妹なんてモンは居ねーんでね」
「久しぶりに名前ちゃんに会わせてくれてありがとうね」
「……。歴代武装が可愛がってる女だ、マスターも、そうだわな」
「全くだよ。清広くん、後でおしぼりあげるから名前ちゃんの目元冷やしてあげるんだよ」
「おう」