そのじゅうご
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
?
「へえ、それで結局丸く収まったんだな」
『帰ってから十三にまで怒られたけどね』
「そりゃそうだ、俺だって光希達がお前みたいな怪我して帰って来たら怒るわ」
光政とラーメン食いに行く予定だったんですけど、ラーメン屋で話す事でもないので出前取ってます。口ん中切れてて染みてめちゃくちゃ痛い。
山田もタケも自宅療養になって、というか病院にコイツ等うるせーから帰らせよ。と追い出されて、まぁ三日もすれば走り回るでしょ。落ち着いて欲しい。
『まさか、お前にあんな事言われると思わなかったよ光政』
「そうか?」
『うん。考えが甘い?』
「甘いな」
『怒らせるには最適の言葉だったよ』
「そりゃ僥倖」
『クソ野郎が』
「怒るなよ、言った通りにゃならなかったろ?」
“別に良いんだぜ、護ってやっても”
私のプライドが傷付く事を解って言いやがった言葉だった。多分、発破かけるのに三割、本気七割だったのだろうけど。ラーメンの器を洗って外に出す。土曜日の昼間、月本家の茶の間は誰も居なくて嫌な静けさがある。
『いやまぁね、解るよ。私はいつだって当事者じゃなかった。か弱いただの女のコなんでね』
「大人数に喧嘩売る女はか弱くねえなァ」
『東陽台の奴等だとか、他の連中が言うように、確かに私は狙われやすかった分護られて来たよ。武装に、鳳仙に、相棒に身内として、相棒として。……でもお前、私を友達としてじゃなく、庇護下に入れようとしやがったな?』
「悪いか?そんな馬鹿みてえに突っ込んでって兄貴達が通らなかったらどうなってたかも解らねえのに」
『それはそう。感謝はしてるよ』
「余計なお世話って顔に出てるぜ」
余裕の笑みを浮かべる光政と、何かの切っ掛けで爆発しそうな名前。雰囲気に呑まれているのは明白だった。
「別に、好きにやりゃいーけどよ。違う学校だしな。やり方もちげー。……お前、そのままなら取り返し付かなくなるぜ」
『それは、どの立場での言葉?』
「これは友達として、だ。頭としてはなんも言うことはねー。でもな」
急に光政の手が伸びてきて、椅子から引き摺り落とされる。首を掴む手が妙に力が入っていてひゅ、と喉が鳴った。何しやがると腕を掴むがビクともせず、足を出せば抑え込まれた。
「こんな状況に簡単に持ってかれる癖によ」
『あ、ッが』
「何が余計なお世話だ?何が部外者だ。テメーの状況解ってんのか?あ?」
『み、』
「もう少し考えろよ。お前、言いたかねえけど、自暴自棄になってるぜ、あの時から」
実際、名前は立ち直った“つもり”だった。皆に諭され、責任も負って、やっと歩けるようになったのだ。これに関しては、山田もタケもそう思っている。
だが普段の名前であればこんな怪我なんてしなかった。わざと一人になって、誘い出された奴を逆に囲んで……なんて風にしていた筈だったのに、そうしなかった。否、思い付かなかった。
“私はいつだって部外者”、という言葉は、今偶然自分しか適任が居ないから仕方なくこの場に居ざるを得ない、という意味である。実際そうでなければこんな面倒な事したくないし。
でも、名前だって覚悟を決めたつもりだったのだ。だから踏ん張っていると言うのに、この男。
「お前、いつから寝てない?」
『、』
「嘘だろ、山田とかそれ誤魔化せてんのか?」
名前には酷い隈がある。寝てないんじゃない、起きちまうのだ。だって、どうやったって、夢に出る。そうやって起きちまって、まだ声を忘れてないと、まだあの感触を覚えていると震えながら朝を待つのだ。
名前は頑張って立っているだけに過ぎない。死のうとしたあの日、皆に探されて、十希夫に諭され、色んな奴に怒られて、泣かれて一緒に乗り越えようとしても、こういうのも男女差なのか?どうなのか名前にゃ解らないが、その心にはデカい傷となってまだ抉られている。死にたかったのが、死ねなくなった、それだけの事だった。隠せなかったのが、隠せるようになった。ただ、それだけ。
「その状態で何か成せるとでも思ったんか?」
『う、るさ、』
「あ?」
『ア、がっ』
ちょっと力を強められてそろそろ苦しくなってきてジタバタ動くけど、光政にとっちゃまぁ虫が動いてるくらいの感覚なんだろう、おーおー元気、なんて笑いやがる。
「……傷ってのは、治るのも人それぞれだろ。焦らねーで一旦時間を置いた方が良いと思うぜ。これは純粋に友達としての忠告だ」
『ぐぅ、』
「リアルぐうの音辞めろ笑っちまうだろ」
『みつ、ま』
「ん?」
『くるし、』
「はは、お前がしおらしいのも嫌だけど、珍しくて良いな。首掴まれて睨んでくる女そうそう居ねーよなァ」
そんな場合じゃないんですがねえ!!?という意を込めてめちゃくちゃ睨むが光政は多分絶対わざと無視してる。何お前私が弱音吐くまでこのままか?死ぬんやが。
「ただいまー、政兄、名前さん来てるん…………」
「あ」
『ぐ』
「……………………………………」
光法のご帰還である。ラーメン食ってたから光政の部屋じゃなくて茶の間に居たのが幸いしたらしい。そりゃお前今光政勘違いもクソもなく馬乗りになって私の首絞めてるし。
「……政兄」
「待て光法誤解だ」
「いや部屋でやってもらっても」
「それはそう」
『あ゛ーーーーーッ!!!!』
「いや冗談です名前さんすんません。政兄、退いて」
「いやでもな光法」
「退いて」
「はい」
渋々上から退いた光政は最後にめちゃくちゃ手に力入れやがって、離れた瞬間噎せこんだ。それを見た光法は光政を正座させてる。弟は強い。
「先に名前さん、その怪我なんスか」
『げっほ、げほ、聞いてない?これ昨日喧嘩してさ』
「は?名前さん、ご自分が怪我して心配する連中がどれくらい居ると思ってるんスか?」
『面目ない……』
「そーだそーだー!」
「政兄」
「はい」
「説明」
「コイツが自暴自棄になって一人で団体に喧嘩売ったりなんだりしてこの大怪我負ってキレてました」
「名前さんが悪い」
『ぐ!』
「ほらな!」
「ただし」
「はい」
「馬乗りはアウト」
「はい」
「首を絞めるのも以ての外」
「仰る通りで」
「もしこれで俺じゃなくて光希達だったらどうすんだよ大騒ぎだよ」
「こわ……」
「母ちゃんまで話行ったら赤飯炊かれるぞ」
「無理……」
『母ちゃん娘に生理来たら赤飯炊くタイプ?』
「「その話は辞めろ馬鹿」」
『ガチだったか……』
この後光政の部屋に移動して光政と一緒に正座させられてこんこんと光法に怒られました。怒られ疲れてぐでん!と大の字になって寝たら起きた後布団掛けられてたけど、光政と光法に「そーいうとこやぞ!!!」ってめちゃくちゃキレられた。解せぬ。
「あ、名前甘いもん食いに行かね?」
『この流れで?????』
「へえ、それで結局丸く収まったんだな」
『帰ってから十三にまで怒られたけどね』
「そりゃそうだ、俺だって光希達がお前みたいな怪我して帰って来たら怒るわ」
光政とラーメン食いに行く予定だったんですけど、ラーメン屋で話す事でもないので出前取ってます。口ん中切れてて染みてめちゃくちゃ痛い。
山田もタケも自宅療養になって、というか病院にコイツ等うるせーから帰らせよ。と追い出されて、まぁ三日もすれば走り回るでしょ。落ち着いて欲しい。
『まさか、お前にあんな事言われると思わなかったよ光政』
「そうか?」
『うん。考えが甘い?』
「甘いな」
『怒らせるには最適の言葉だったよ』
「そりゃ僥倖」
『クソ野郎が』
「怒るなよ、言った通りにゃならなかったろ?」
“別に良いんだぜ、護ってやっても”
私のプライドが傷付く事を解って言いやがった言葉だった。多分、発破かけるのに三割、本気七割だったのだろうけど。ラーメンの器を洗って外に出す。土曜日の昼間、月本家の茶の間は誰も居なくて嫌な静けさがある。
『いやまぁね、解るよ。私はいつだって当事者じゃなかった。か弱いただの女のコなんでね』
「大人数に喧嘩売る女はか弱くねえなァ」
『東陽台の奴等だとか、他の連中が言うように、確かに私は狙われやすかった分護られて来たよ。武装に、鳳仙に、相棒に身内として、相棒として。……でもお前、私を友達としてじゃなく、庇護下に入れようとしやがったな?』
「悪いか?そんな馬鹿みてえに突っ込んでって兄貴達が通らなかったらどうなってたかも解らねえのに」
『それはそう。感謝はしてるよ』
「余計なお世話って顔に出てるぜ」
余裕の笑みを浮かべる光政と、何かの切っ掛けで爆発しそうな名前。雰囲気に呑まれているのは明白だった。
「別に、好きにやりゃいーけどよ。違う学校だしな。やり方もちげー。……お前、そのままなら取り返し付かなくなるぜ」
『それは、どの立場での言葉?』
「これは友達として、だ。頭としてはなんも言うことはねー。でもな」
急に光政の手が伸びてきて、椅子から引き摺り落とされる。首を掴む手が妙に力が入っていてひゅ、と喉が鳴った。何しやがると腕を掴むがビクともせず、足を出せば抑え込まれた。
「こんな状況に簡単に持ってかれる癖によ」
『あ、ッが』
「何が余計なお世話だ?何が部外者だ。テメーの状況解ってんのか?あ?」
『み、』
「もう少し考えろよ。お前、言いたかねえけど、自暴自棄になってるぜ、あの時から」
実際、名前は立ち直った“つもり”だった。皆に諭され、責任も負って、やっと歩けるようになったのだ。これに関しては、山田もタケもそう思っている。
だが普段の名前であればこんな怪我なんてしなかった。わざと一人になって、誘い出された奴を逆に囲んで……なんて風にしていた筈だったのに、そうしなかった。否、思い付かなかった。
“私はいつだって部外者”、という言葉は、今偶然自分しか適任が居ないから仕方なくこの場に居ざるを得ない、という意味である。実際そうでなければこんな面倒な事したくないし。
でも、名前だって覚悟を決めたつもりだったのだ。だから踏ん張っていると言うのに、この男。
「お前、いつから寝てない?」
『、』
「嘘だろ、山田とかそれ誤魔化せてんのか?」
名前には酷い隈がある。寝てないんじゃない、起きちまうのだ。だって、どうやったって、夢に出る。そうやって起きちまって、まだ声を忘れてないと、まだあの感触を覚えていると震えながら朝を待つのだ。
名前は頑張って立っているだけに過ぎない。死のうとしたあの日、皆に探されて、十希夫に諭され、色んな奴に怒られて、泣かれて一緒に乗り越えようとしても、こういうのも男女差なのか?どうなのか名前にゃ解らないが、その心にはデカい傷となってまだ抉られている。死にたかったのが、死ねなくなった、それだけの事だった。隠せなかったのが、隠せるようになった。ただ、それだけ。
「その状態で何か成せるとでも思ったんか?」
『う、るさ、』
「あ?」
『ア、がっ』
ちょっと力を強められてそろそろ苦しくなってきてジタバタ動くけど、光政にとっちゃまぁ虫が動いてるくらいの感覚なんだろう、おーおー元気、なんて笑いやがる。
「……傷ってのは、治るのも人それぞれだろ。焦らねーで一旦時間を置いた方が良いと思うぜ。これは純粋に友達としての忠告だ」
『ぐぅ、』
「リアルぐうの音辞めろ笑っちまうだろ」
『みつ、ま』
「ん?」
『くるし、』
「はは、お前がしおらしいのも嫌だけど、珍しくて良いな。首掴まれて睨んでくる女そうそう居ねーよなァ」
そんな場合じゃないんですがねえ!!?という意を込めてめちゃくちゃ睨むが光政は多分絶対わざと無視してる。何お前私が弱音吐くまでこのままか?死ぬんやが。
「ただいまー、政兄、名前さん来てるん…………」
「あ」
『ぐ』
「……………………………………」
光法のご帰還である。ラーメン食ってたから光政の部屋じゃなくて茶の間に居たのが幸いしたらしい。そりゃお前今光政勘違いもクソもなく馬乗りになって私の首絞めてるし。
「……政兄」
「待て光法誤解だ」
「いや部屋でやってもらっても」
「それはそう」
『あ゛ーーーーーッ!!!!』
「いや冗談です名前さんすんません。政兄、退いて」
「いやでもな光法」
「退いて」
「はい」
渋々上から退いた光政は最後にめちゃくちゃ手に力入れやがって、離れた瞬間噎せこんだ。それを見た光法は光政を正座させてる。弟は強い。
「先に名前さん、その怪我なんスか」
『げっほ、げほ、聞いてない?これ昨日喧嘩してさ』
「は?名前さん、ご自分が怪我して心配する連中がどれくらい居ると思ってるんスか?」
『面目ない……』
「そーだそーだー!」
「政兄」
「はい」
「説明」
「コイツが自暴自棄になって一人で団体に喧嘩売ったりなんだりしてこの大怪我負ってキレてました」
「名前さんが悪い」
『ぐ!』
「ほらな!」
「ただし」
「はい」
「馬乗りはアウト」
「はい」
「首を絞めるのも以ての外」
「仰る通りで」
「もしこれで俺じゃなくて光希達だったらどうすんだよ大騒ぎだよ」
「こわ……」
「母ちゃんまで話行ったら赤飯炊かれるぞ」
「無理……」
『母ちゃん娘に生理来たら赤飯炊くタイプ?』
「「その話は辞めろ馬鹿」」
『ガチだったか……』
この後光政の部屋に移動して光政と一緒に正座させられてこんこんと光法に怒られました。怒られ疲れてぐでん!と大の字になって寝たら起きた後布団掛けられてたけど、光政と光法に「そーいうとこやぞ!!!」ってめちゃくちゃキレられた。解せぬ。
「あ、名前甘いもん食いに行かね?」
『この流れで?????』