そのじゅういち
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夏休みに入って二日程。ようやく落ち着いてきて、楠木が何か動きを見せそうな雰囲気を醸し出してきた。こちらとしてはやる気満々だし、もうちょいで箕月も差し出してもらう予定だ。
いつ来るかな、と山田とか他のと話していたけど、数人の男と話しているのを見た奴が居たのでそろそろである。
前回の動きから見て、一人の時を狙うんじゃねーか、と、数日後わざと一人になる時間を設けた。その時には箕月も貰えて、焦るだろうから。
『ねえ゛~~~~!!!!花火今日やるのー??!』
「将太も俺も空いてるの今日しかねーんだよ」
「花火やるんすか?」
「おう、将五、お前も来るか?」
「……」
『も゛~~~!!!気まずそうな顔すんなや~~!!ほらタオル、汗拭いて』
「サンキュ」
スクラップ置き場の倉庫にはサンドバッグが置いてある。花ちゃん達のタイマンになんか触発されたのか、気合いが入っている将五はこの間ごめんね。良いよ。と小学生みたいな仲直りをしたばかりである。
んじゃ行こっか!とヘルメット無しに乗ろうとした鉄生さんにバーカ!と言いながらヘルメットを被せる。ガハガハ言いながら被ってくれた。
鉄生さんのケツに乗って将太さんの家まで。運転が荒いとは言えど私を乗せてる時はまだマシで、もう少しで到着する、という時の事。
確かに名前は見た、ヘルメットで狭まる視界でもハッキリ、こちらに向かって石を投げる連中の姿が。バイクは二輪って事もあって、走ってる最中の衝撃にはすこぶる弱い。ぐらりと視界が揺れて、バイクから土手の下に振り落とされた。
夏とはいえ、バイクに乗るなら風で寒くなるからとスクラップ置き場に置いていた誰かのジャケットを借りていたからか、身体には擦り傷は少なかった。所々破けてしまって、無くはなかったけれど。ぐにゃりと焦点が定まらない。将五にも当たったらしく、後方に転がっていたが意識はあるようだ。
『ッ兄ちゃん!!?』
鉄生さんはぐったりと倒れていた。急いで脈を確認するとちゃんと動いていて息をしている、意識が無いだけみたいだ。もしこれでヘルメットを被っていなかったらどうなっていたかと青ざめるが、今はそんな話ではない。ヘルメットを脱いで、余計に目が回る。すぐにでも寝てしまいたいけれど、踏ん張る。早く、救急車を呼ばなければ。
「、名前!!!!!危ねぇ!!!!」
『!』
背後から風を切る音がして、間一髪避けた所に金属バットが振り下ろされる。揺れる、揺れる。ぐにゃぐにゃと回る。振り下ろした奴の頭を握って、頭を打ち付け、怯んだ所にそのまま膝を顔面にめり込ませた。
『ッッッシャ、見える』
今一人潰した、よく見れば五人。舐め腐った顔しやがって、と見渡し、将五に救急車を呼べと吐き捨てる。
『よ、来るとは思っちゃ居たが、まさか武装と戦争でもする気か?』
「やれ!」
今潰した奴からバットを拝借してぶん回す。いや、運転中のバイクに石ぶん投げる奴に情けは無用でしょ。
ぐつぐつと腹が煮え滾る。箕月と連絡が取れなくてやきが回ったか?
救急車を呼び終えた将五も加わり、乱闘になる。将五は足に怪我をしているみたいで、足を引き摺る。
見覚えのある顔だった、山田が言っていた鈴蘭の、私を襲った奴と三生高、あと白堂の奴。全員学校を辞めたらしいけど、ここまでするとは。だけど、そんな雑魚に怪我をしていれど負ける筈もなく、五人全て地べたに這いつくばっていた。
『将五、足!』
「大丈夫だ、救急車、近いな」
音が聞こえる。将五が救急車誘導する、と土手の上まで歩き出した時に、一人が起き上がった。あ、と思って見ると手にナイフが。
「死ね!!!!!」
「名前!!!!」
全てがスローモーションのようだった、こちらに向かう男も、叫んでこちらに向かう将五も。完全に油断して、自分の痛んだ身体が反応出来ないことも、
目の前に、白い影が躍り出た事も。
「う、あ、」
男が後退る。奇しくも男は鈴蘭で山田に紐なしバンジーをさせられた男であり、名前の頭を割った男であった。
名前の目にテラテラと光る赤が、何が起こったのかを急速に理解させる。
『にい、ちゃ、』
振り向いて、鉄生は名前の顔を見てフ、と笑った。ゆっくりとその背中が崩れ落ちる、名前が支えても意識を失ったガタイの良い男を完全に支えられず共に崩れた。白いジャケットの腹部がじわりじわりと赤く染まる。名前は意味もない声を吐きながら、その部分を抑えた。
「早く来てくれ、頼む、」
『あ、あ、』
「早く来てくれ……ッ!!!」
『おにい、ちゃん』
月の綺麗な、夜だった。
いつ来るかな、と山田とか他のと話していたけど、数人の男と話しているのを見た奴が居たのでそろそろである。
前回の動きから見て、一人の時を狙うんじゃねーか、と、数日後わざと一人になる時間を設けた。その時には箕月も貰えて、焦るだろうから。
『ねえ゛~~~~!!!!花火今日やるのー??!』
「将太も俺も空いてるの今日しかねーんだよ」
「花火やるんすか?」
「おう、将五、お前も来るか?」
「……」
『も゛~~~!!!気まずそうな顔すんなや~~!!ほらタオル、汗拭いて』
「サンキュ」
スクラップ置き場の倉庫にはサンドバッグが置いてある。花ちゃん達のタイマンになんか触発されたのか、気合いが入っている将五はこの間ごめんね。良いよ。と小学生みたいな仲直りをしたばかりである。
んじゃ行こっか!とヘルメット無しに乗ろうとした鉄生さんにバーカ!と言いながらヘルメットを被せる。ガハガハ言いながら被ってくれた。
鉄生さんのケツに乗って将太さんの家まで。運転が荒いとは言えど私を乗せてる時はまだマシで、もう少しで到着する、という時の事。
確かに名前は見た、ヘルメットで狭まる視界でもハッキリ、こちらに向かって石を投げる連中の姿が。バイクは二輪って事もあって、走ってる最中の衝撃にはすこぶる弱い。ぐらりと視界が揺れて、バイクから土手の下に振り落とされた。
夏とはいえ、バイクに乗るなら風で寒くなるからとスクラップ置き場に置いていた誰かのジャケットを借りていたからか、身体には擦り傷は少なかった。所々破けてしまって、無くはなかったけれど。ぐにゃりと焦点が定まらない。将五にも当たったらしく、後方に転がっていたが意識はあるようだ。
『ッ兄ちゃん!!?』
鉄生さんはぐったりと倒れていた。急いで脈を確認するとちゃんと動いていて息をしている、意識が無いだけみたいだ。もしこれでヘルメットを被っていなかったらどうなっていたかと青ざめるが、今はそんな話ではない。ヘルメットを脱いで、余計に目が回る。すぐにでも寝てしまいたいけれど、踏ん張る。早く、救急車を呼ばなければ。
「、名前!!!!!危ねぇ!!!!」
『!』
背後から風を切る音がして、間一髪避けた所に金属バットが振り下ろされる。揺れる、揺れる。ぐにゃぐにゃと回る。振り下ろした奴の頭を握って、頭を打ち付け、怯んだ所にそのまま膝を顔面にめり込ませた。
『ッッッシャ、見える』
今一人潰した、よく見れば五人。舐め腐った顔しやがって、と見渡し、将五に救急車を呼べと吐き捨てる。
『よ、来るとは思っちゃ居たが、まさか武装と戦争でもする気か?』
「やれ!」
今潰した奴からバットを拝借してぶん回す。いや、運転中のバイクに石ぶん投げる奴に情けは無用でしょ。
ぐつぐつと腹が煮え滾る。箕月と連絡が取れなくてやきが回ったか?
救急車を呼び終えた将五も加わり、乱闘になる。将五は足に怪我をしているみたいで、足を引き摺る。
見覚えのある顔だった、山田が言っていた鈴蘭の、私を襲った奴と三生高、あと白堂の奴。全員学校を辞めたらしいけど、ここまでするとは。だけど、そんな雑魚に怪我をしていれど負ける筈もなく、五人全て地べたに這いつくばっていた。
『将五、足!』
「大丈夫だ、救急車、近いな」
音が聞こえる。将五が救急車誘導する、と土手の上まで歩き出した時に、一人が起き上がった。あ、と思って見ると手にナイフが。
「死ね!!!!!」
「名前!!!!」
全てがスローモーションのようだった、こちらに向かう男も、叫んでこちらに向かう将五も。完全に油断して、自分の痛んだ身体が反応出来ないことも、
目の前に、白い影が躍り出た事も。
「う、あ、」
男が後退る。奇しくも男は鈴蘭で山田に紐なしバンジーをさせられた男であり、名前の頭を割った男であった。
名前の目にテラテラと光る赤が、何が起こったのかを急速に理解させる。
『にい、ちゃ、』
振り向いて、鉄生は名前の顔を見てフ、と笑った。ゆっくりとその背中が崩れ落ちる、名前が支えても意識を失ったガタイの良い男を完全に支えられず共に崩れた。白いジャケットの腹部がじわりじわりと赤く染まる。名前は意味もない声を吐きながら、その部分を抑えた。
「早く来てくれ、頼む、」
『あ、あ、』
「早く来てくれ……ッ!!!」
『おにい、ちゃん』
月の綺麗な、夜だった。