そのじゅういち
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「名前ちゃんちょっとお座りなさい」
『十三お母様、顔が怖くてよ』
「あ?カッコイイわよの間違いではなくて?」
『十三より顔が良い人知らないからなんとも』
「…………………………」
『えっっ照れた!!!!凄い!!!初めて照れた顔撮れちゃった!!!!』
「おい消せ撮るな」
『ごめんもう好誠さんに送っちゃった……』
「好誠の頭ぶん殴ればいけるか」
『当たり強すぎワロタ。まだ耳真っ赤ですけど』
「よせ辞めろ見るな」
未だに無言の将五をチラッと見る。どうせ、さっきの内容の事でも話したいんだろう。もう一度十三を見ると、少し悲しそうな顔で名前の頭を撫でた。
「名前、俺は少し出てくる。…………お前は大事な妹だよ」
『うん、十三も、私の大事な兄ちゃんだよ』
そう言うと十三は茶の間から、と言うか爆速で家から出ていった。待ってやがれ好誠、なんて聞こえた気がするけど頑張ってほしい。ご愁傷さまです。
『で、なんか用?』
「………………」
『うわガチじゃん』
カチ、カチ、と音を立てて煙草に火を点ける。将五の座るソファの隣に座り、どデカく紫煙を撒き散らした。
『どれから聞きたいの?怪我の具合?状況?なんで言わなかったのか?それとも、』
「全部に決まってんだろうが」
『欲張りじゃん』
怒りを押し殺すような声だった。唸るように発されたそれにほんの少しだけコワ……と思ったけど、表面には出さない。幼馴染相手に怖がるのはなんか違うし、そもそも間違った事はひとつとしてしていないと断言出来る。私なりに。
『まずどこから話そうか。怪我の原因なんだけど、これは普通に多勢に無勢で立ち回って石ぶっけられただけ』
「だけって事ァねえだろうが。山田は殺されかけたって言ってたぞ」
『まぁ、傷は深いよ。見る?』
「ん」
ほれここ、と名前が将五の顔面に頭を近付ける。そんな来なくていいわとばかりに頭を抑えられたけど、ギリ、と歯軋りが聞こえた。
『良い?じゃ、次。なんで言わなかったか。え、聞くのこれ』
「当たり前だ」
『う~ん』
お前に言う必要、ある?
そう言うと音が鳴るレベルで勢いよくこちらを向いて腕を掴んだので、なるほどコイツまだ頭悪いなと呆れ顔を晒した。
『そも、お前に言ったところでどうなる?将五ね、もう武装戦線のチームの一員なの。春ちゃんみたいに後輩も居るし、今はゴタゴタしてる時期じゃん。私が言えた事じゃねーけど、いつまでも私にかかずらってるんじゃないよ』
「名前、」
『次、私が常磐の頭に……なったのは、まぁ不可抗力。林田の瑞希、やられたからさ。やられる前から言われてたんだわ、次譲るとしたらお前しかいないって』
「、なんで!山田なり、誰なりいたろ!」
『そう思ってたよ。でもね、お前も知ってた方が良いと思うから言うけど、上に立つって強さだけじゃ務まんないんだよ。山田なんて典型的じゃん、腕っ節は強い、まぁ頭も回る。アイツに足りないのは?』
「…………カリスマ?」
『そ。アイツは敵を作りすぎる上に、そうね。下の連中は居ても、ある程度の人望はあっても、根幹が私だから。私が関わらないとアイツは急に無能になる。……そもそも、常磐は一般生徒のが多いんだわ。そんな中で、不良も、一般生徒も纏められるのは私しか居なかったってだけの話』
一気に話したからか将五が酷く頭痛が痛いみたいな顔してて笑いそうになる。いやはや、以前友人に言われた通り私離れさせた方が良かったかな。もう遅いけども。
『ま、そういうこと。最初、将五達に言わなかったのはゴタゴタしてるのに問題を増やしたくなかったから。今は、武装にも迂闊に情報を漏らしたくないから』
これは普通に嘘。何度でも言うけど、私は自由でいたいので。鈴蘭で例えるなら春道お兄さんタイプなのだ、付いて来たい奴は付いて来い、違う学校だろうがなんだろうが仲良くする時は仲良くしたいから。あくまで私はパンピーなので、そのスタンスを崩したくはない。
将五を突き放すような事を言うのは、自覚させる為。いやコイツマジでそろそろ私離れした方が良いと思う。武装に迷惑かかるわ。……それに、多分将五は、上に立つ器があるから、余計に。
『ね、言ったでしょ。遅いんだよ、もう』
すっっげぇ傷付きました、みたいな顔されてしまった。どうしよう。掴んでいる手がちょっと震えているし、ガチめになんでみたいな顔して俯いちゃった。えなに、アフターフォローまでちゃんとしなきゃダメですか?え?キレそう。
『…………………………………………いや別に幼馴染って関係が変わるわけではないんですけド』
「……」
す、と将五が顔を上げる。その目を見て、名前の背筋が凍る。その目には、完全に名前しか映り込んでおらず、殺意に似た色が浮かんでいたからだ。
将五は、幼馴染三人は度合いは違えど皆名前に執着している。一番軽めの拓海が、めんどくせぇメンヘラ彼氏みたいと言えば解りやすいと思うが、他の二人なんてめちゃくちゃ執着がヤバい。天地は名前が居るならもう他に何も要らないからあわよくば独り占めしたろ!!!という感じで、将五は名前の事で知らないことはありませんけど????全て知り尽くした上で全部受け入れますけど???という馬鹿丸出し具合。
ちなみにこれに気付いて居るのは十三と、名前の友人である阿賀島だけである。山田は天地の事だけ薄ら。十三は「俺の弟と幼馴染が妹に ベッタリ過ぎてどういう顔したら良いか解らないよ龍ちゃん……」とたま~に忙しい九能龍信に電話して「こわ……」って言われているし、山田はこの間の件で「えっ天地寿めちゃくちゃメンヘラ彼氏の素質あるやんけ……」と思っているし、阿賀島は「名前っちが甘やかした結果。名前っちはメンヘラ製造機。テメェでテメェの首絞めて後からめちゃくちゃ泣いちゃうタイプ。は?ころちっち」と言いながら幼馴染三人にドロップキックをかましていた。
ギチィッと嫌な音と共に掴まれた腕が痛んだ。勘弁して。私はそんな子に育てた覚えはありません。いやマジで痛い。なに?山田といい将五といい、私は女の子やぞ、クソデカ感情を暴力に還元すな。
「おれは、」
『戦略的撤退バズーカ』
「ぐっっっは!!!?」
説明しよう!!!戦略的撤退バズーカとは!!!!
その昔幼馴染三人が名前にクソデカ感情を抱き、将来絶対に憂き目に合うと確信していた阿賀島という男が発明したバズーカである。「もしこれ以上話してたらやべっち!ってなったら金玉か顔面に撃ち放てば死ぬっし!」という馬鹿みたいな小型で女の子でも持ち運びしやすい、いやまぁ空気砲なのだけど。威力は目の前の将五が崩れ落ちている事でお解り頂きたい。
『タケちゃんにはこれ量産して貰わなきゃ……』
「これ阿賀島印かよ!!!!!!な、オイ待てって!まだ話、」
『将五』
名前が丸まったままの将五を見下ろす。嫌悪、などで無く、何故解らないといった目で。
『私は普通に戻りたいから頑張るの。……お前は、武装って立場がある、話せることが減るだけ。関係は変わらない。理解して、お互い立場があるの』
それでも今まで全部知ってたやんけ、話せただろ、敵じゃあるまいしという気持ちになった将五だったが、名前が逃げるように外に出たことでお開きになった。
『え……原田十希夫さんのお電話ですか……?そっち向かっていい……?本当にあった幼馴染の怖い話するわ』
《………………迎えに行くから動くな》
「名前ちゃんちょっとお座りなさい」
『十三お母様、顔が怖くてよ』
「あ?カッコイイわよの間違いではなくて?」
『十三より顔が良い人知らないからなんとも』
「…………………………」
『えっっ照れた!!!!凄い!!!初めて照れた顔撮れちゃった!!!!』
「おい消せ撮るな」
『ごめんもう好誠さんに送っちゃった……』
「好誠の頭ぶん殴ればいけるか」
『当たり強すぎワロタ。まだ耳真っ赤ですけど』
「よせ辞めろ見るな」
未だに無言の将五をチラッと見る。どうせ、さっきの内容の事でも話したいんだろう。もう一度十三を見ると、少し悲しそうな顔で名前の頭を撫でた。
「名前、俺は少し出てくる。…………お前は大事な妹だよ」
『うん、十三も、私の大事な兄ちゃんだよ』
そう言うと十三は茶の間から、と言うか爆速で家から出ていった。待ってやがれ好誠、なんて聞こえた気がするけど頑張ってほしい。ご愁傷さまです。
『で、なんか用?』
「………………」
『うわガチじゃん』
カチ、カチ、と音を立てて煙草に火を点ける。将五の座るソファの隣に座り、どデカく紫煙を撒き散らした。
『どれから聞きたいの?怪我の具合?状況?なんで言わなかったのか?それとも、』
「全部に決まってんだろうが」
『欲張りじゃん』
怒りを押し殺すような声だった。唸るように発されたそれにほんの少しだけコワ……と思ったけど、表面には出さない。幼馴染相手に怖がるのはなんか違うし、そもそも間違った事はひとつとしてしていないと断言出来る。私なりに。
『まずどこから話そうか。怪我の原因なんだけど、これは普通に多勢に無勢で立ち回って石ぶっけられただけ』
「だけって事ァねえだろうが。山田は殺されかけたって言ってたぞ」
『まぁ、傷は深いよ。見る?』
「ん」
ほれここ、と名前が将五の顔面に頭を近付ける。そんな来なくていいわとばかりに頭を抑えられたけど、ギリ、と歯軋りが聞こえた。
『良い?じゃ、次。なんで言わなかったか。え、聞くのこれ』
「当たり前だ」
『う~ん』
お前に言う必要、ある?
そう言うと音が鳴るレベルで勢いよくこちらを向いて腕を掴んだので、なるほどコイツまだ頭悪いなと呆れ顔を晒した。
『そも、お前に言ったところでどうなる?将五ね、もう武装戦線のチームの一員なの。春ちゃんみたいに後輩も居るし、今はゴタゴタしてる時期じゃん。私が言えた事じゃねーけど、いつまでも私にかかずらってるんじゃないよ』
「名前、」
『次、私が常磐の頭に……なったのは、まぁ不可抗力。林田の瑞希、やられたからさ。やられる前から言われてたんだわ、次譲るとしたらお前しかいないって』
「、なんで!山田なり、誰なりいたろ!」
『そう思ってたよ。でもね、お前も知ってた方が良いと思うから言うけど、上に立つって強さだけじゃ務まんないんだよ。山田なんて典型的じゃん、腕っ節は強い、まぁ頭も回る。アイツに足りないのは?』
「…………カリスマ?」
『そ。アイツは敵を作りすぎる上に、そうね。下の連中は居ても、ある程度の人望はあっても、根幹が私だから。私が関わらないとアイツは急に無能になる。……そもそも、常磐は一般生徒のが多いんだわ。そんな中で、不良も、一般生徒も纏められるのは私しか居なかったってだけの話』
一気に話したからか将五が酷く頭痛が痛いみたいな顔してて笑いそうになる。いやはや、以前友人に言われた通り私離れさせた方が良かったかな。もう遅いけども。
『ま、そういうこと。最初、将五達に言わなかったのはゴタゴタしてるのに問題を増やしたくなかったから。今は、武装にも迂闊に情報を漏らしたくないから』
これは普通に嘘。何度でも言うけど、私は自由でいたいので。鈴蘭で例えるなら春道お兄さんタイプなのだ、付いて来たい奴は付いて来い、違う学校だろうがなんだろうが仲良くする時は仲良くしたいから。あくまで私はパンピーなので、そのスタンスを崩したくはない。
将五を突き放すような事を言うのは、自覚させる為。いやコイツマジでそろそろ私離れした方が良いと思う。武装に迷惑かかるわ。……それに、多分将五は、上に立つ器があるから、余計に。
『ね、言ったでしょ。遅いんだよ、もう』
すっっげぇ傷付きました、みたいな顔されてしまった。どうしよう。掴んでいる手がちょっと震えているし、ガチめになんでみたいな顔して俯いちゃった。えなに、アフターフォローまでちゃんとしなきゃダメですか?え?キレそう。
『…………………………………………いや別に幼馴染って関係が変わるわけではないんですけド』
「……」
す、と将五が顔を上げる。その目を見て、名前の背筋が凍る。その目には、完全に名前しか映り込んでおらず、殺意に似た色が浮かんでいたからだ。
将五は、幼馴染三人は度合いは違えど皆名前に執着している。一番軽めの拓海が、めんどくせぇメンヘラ彼氏みたいと言えば解りやすいと思うが、他の二人なんてめちゃくちゃ執着がヤバい。天地は名前が居るならもう他に何も要らないからあわよくば独り占めしたろ!!!という感じで、将五は名前の事で知らないことはありませんけど????全て知り尽くした上で全部受け入れますけど???という馬鹿丸出し具合。
ちなみにこれに気付いて居るのは十三と、名前の友人である阿賀島だけである。山田は天地の事だけ薄ら。十三は「俺の弟と幼馴染が妹に ベッタリ過ぎてどういう顔したら良いか解らないよ龍ちゃん……」とたま~に忙しい九能龍信に電話して「こわ……」って言われているし、山田はこの間の件で「えっ天地寿めちゃくちゃメンヘラ彼氏の素質あるやんけ……」と思っているし、阿賀島は「名前っちが甘やかした結果。名前っちはメンヘラ製造機。テメェでテメェの首絞めて後からめちゃくちゃ泣いちゃうタイプ。は?ころちっち」と言いながら幼馴染三人にドロップキックをかましていた。
ギチィッと嫌な音と共に掴まれた腕が痛んだ。勘弁して。私はそんな子に育てた覚えはありません。いやマジで痛い。なに?山田といい将五といい、私は女の子やぞ、クソデカ感情を暴力に還元すな。
「おれは、」
『戦略的撤退バズーカ』
「ぐっっっは!!!?」
説明しよう!!!戦略的撤退バズーカとは!!!!
その昔幼馴染三人が名前にクソデカ感情を抱き、将来絶対に憂き目に合うと確信していた阿賀島という男が発明したバズーカである。「もしこれ以上話してたらやべっち!ってなったら金玉か顔面に撃ち放てば死ぬっし!」という馬鹿みたいな小型で女の子でも持ち運びしやすい、いやまぁ空気砲なのだけど。威力は目の前の将五が崩れ落ちている事でお解り頂きたい。
『タケちゃんにはこれ量産して貰わなきゃ……』
「これ阿賀島印かよ!!!!!!な、オイ待てって!まだ話、」
『将五』
名前が丸まったままの将五を見下ろす。嫌悪、などで無く、何故解らないといった目で。
『私は普通に戻りたいから頑張るの。……お前は、武装って立場がある、話せることが減るだけ。関係は変わらない。理解して、お互い立場があるの』
それでも今まで全部知ってたやんけ、話せただろ、敵じゃあるまいしという気持ちになった将五だったが、名前が逃げるように外に出たことでお開きになった。
『え……原田十希夫さんのお電話ですか……?そっち向かっていい……?本当にあった幼馴染の怖い話するわ』
《………………迎えに行くから動くな》