「はぁ？マジで？藤代が？」
『そーなのよ山田くん、楠木が一方的に付き合った設定で拓海死亡』
「うわマジご愁傷さま。んで？どうすんの？」
『どーもこーもねーべ。締めるしか』
「お前女には手出せねーじゃん」
『それな』


脳裏に浮かぶのは昔殴ってきた男の子を泣かせて十三に褒められていた時の事である。

"女には絶対手ェ出すなよ。女の場合怪我でもしたら親とか出てくるし傷残ったらうるせーし女はねちっこいからな"

お前中2の時に何を悟っているんや。
違うか。とにかく今日は楠木の後つけてみるか。



『で』
「で？」
『なんで！チミが！いるのかねクソ政ァ！』
「楽しそうだしな。つーかこの前鳳仙来たのに俺には会わねーってどーいう事だよ。この裏切り者！浮気者！」
『甲斐性なし！』
「違うね」
『そうね』
「あ、あれだろ楠木」
『光政も知ってんの？』
「ストーカー被害者デス」
『お疲れ様デス』
「アイツのストーカーぶりはすげーからな。地区ちげーのになんで来るんだよふざけんなよ」
『昔拓海もストーカーされてね。ほら顔だけはいいから。顔だけは。』
「強調するなよ」

『手紙は来るわ家突き止められるわべーったべたにしてくるわ。いやその頃私の事は眼中になかったらしく全く私の事覚えてねーんだわ』
「ちなみにお前その時何かした？」
『ううん、ちょうどその頃は寿と仲良いのとしか学校では絡まないようにしてたし。拓海は家に帰ってから泣いてた』
「泣いたの？」
『泣いたの』


楠木は梅星の方まで歩いていく。ゆっくり付いていくと梅星から政やんが出てきた。

って、


『え、挨拶もなしに中に入ろうとしたぞアイツ』
「常識知らず？名前みてーだな」
『馬鹿この私だって挨拶くらい……す、るよ……』
「説得力の欠片もねえ」