そのにじゅうに
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名前は悩んでいた。何を悩むことがあるってのか、そんな感情知らなくたって最早自分がそういった感情を持ってることなんて明白だろう。言わなかった原因である十希夫から言ってくれたのだから、ホントに悩むことなんざ無いってのに。LINEの送信ボタンを押そうとする指が鉛みたく重くて仕方ない。
「兄貴止まれ辞めてやれ」
「止めるな将五!!妹の恋路は死んでも阻止する!!!!!」
「してやるなしてやるな」
「大丈夫だ……かる~く背中をもといスマホを押すだけだ」
「それがダメなんだっつってんだろ!!」
『うるッッッさいな耳元でギャーギャー!!!!十三!アンタだからね!!!!』
「怒るなよ、さっさと送っちまえ」
『喧しいわ』
「えまだ送ってねえの?一時間だぞ。お前それは流石に笑うわ」
『しょこたん黙ってて』
「つかなに送ろうとしてんだ?ん?お兄様に見せてみろほら」
『や゛、ちょ、返して!!』
「あ~……集まりには行かないことにしました……あ?なんでこれで迷ってんだお前はい送信」
『あ゛あ゛あ゛……』
「ほらさっさと文字入れろ、なんか誤解される前にな」
『は゛か゛……』
「あヤベ名前泣いちまったわ」
「もしもし龍信さん?今兄貴が名前泣かしたとこです」
「やめろお前龍ちゃん誤解だからマジで」
《“集まりには行かないことにしました”》
そっかぁ、と十希夫は携帯をそっと伏せてベッドに倒れ込んだ。つまりはまぁ、そういう事で。あの律儀な女は気に食わない奴とはいえ恩を仇で返すのを嫌う、それでも行かねえってんなら、そんなに嫌だったかとぐるぐると腹の中に薄暗いものが渦巻いていく。
つーかなんだよ、お前の男としてって。もっとマトモな言い方無かったのかよ。自分の口が上手くない事は自覚していたけれど、あんな時にまで発揮しなくて良いじゃねえかよ。
LINEの通知音。誰だよこんな時に。俺ァ今柄にもなく落ち込んでんだ、八つ当たりしかねねえぞ。それでも一応と十希夫はスマホを見て、勢いよく起き上がる。
《“だから明日遊び行こ、そん時にもっかい言ってくれますか”》
「黒澤ーーーーーーーーッ!!!!!!!!」
《っっせぇな何時だと思ってんだテメーーー!!!!!!》
「十希夫~~~??!!!近所迷惑だから声落としなさい名前ちゃんに小学生のアルバム見せるわよ!!!」
「もう見せてんだろが!!!!!!」
《早く要件を言え畜生が》
「あっ。明日」
《おー》
「やり直してくる」
《お?》
「遊び行こって言われた」
《この脳内少女漫画野郎が》
「喧しいわ」
《遊び行くだけか》
「もっかい言ってくれって」
《そーかよ。次は無様晒すなよな》
「俺生きてるか????」
《それ以上うじうじしたら俺が殺すわ》
「#//_&/##@→(@&)」
《落ち着いて喋れクソッタレ、友哉ーッ!タケーーッ進展したぞー!!》
《カズミ一旦黙ってて今ジェンガしてる》
《お前までカズミって呼ぶの辞めろ》
《あ゛~!!カズミちゃの馬鹿ッ!崩れた!》
《俺のせいじゃねーだろ》
黒澤家の賑やかな声をBGMに十希夫は未だ落ち着かねえ気持ちで俯いていた。だってもっかい言ってくれって言ったって、あの時ちゃんと断れなかったから断る為のあれかもしれないし。……でも、多少は。多少は期待して良いんじゃなかろうか。
「名前~、謝るから。出てこい」
『やだあっちいって』
「飯出来たから。開けるぞ」
『やだ。じゅうぞきらい』
「ング」
村田家では十三が死んでいた。自業自得である。
名前は悩んでいた。何を悩むことがあるってのか、そんな感情知らなくたって最早自分がそういった感情を持ってることなんて明白だろう。言わなかった原因である十希夫から言ってくれたのだから、ホントに悩むことなんざ無いってのに。LINEの送信ボタンを押そうとする指が鉛みたく重くて仕方ない。
「兄貴止まれ辞めてやれ」
「止めるな将五!!妹の恋路は死んでも阻止する!!!!!」
「してやるなしてやるな」
「大丈夫だ……かる~く背中をもといスマホを押すだけだ」
「それがダメなんだっつってんだろ!!」
『うるッッッさいな耳元でギャーギャー!!!!十三!アンタだからね!!!!』
「怒るなよ、さっさと送っちまえ」
『喧しいわ』
「えまだ送ってねえの?一時間だぞ。お前それは流石に笑うわ」
『しょこたん黙ってて』
「つかなに送ろうとしてんだ?ん?お兄様に見せてみろほら」
『や゛、ちょ、返して!!』
「あ~……集まりには行かないことにしました……あ?なんでこれで迷ってんだお前はい送信」
『あ゛あ゛あ゛……』
「ほらさっさと文字入れろ、なんか誤解される前にな」
『は゛か゛……』
「あヤベ名前泣いちまったわ」
「もしもし龍信さん?今兄貴が名前泣かしたとこです」
「やめろお前龍ちゃん誤解だからマジで」
《“集まりには行かないことにしました”》
そっかぁ、と十希夫は携帯をそっと伏せてベッドに倒れ込んだ。つまりはまぁ、そういう事で。あの律儀な女は気に食わない奴とはいえ恩を仇で返すのを嫌う、それでも行かねえってんなら、そんなに嫌だったかとぐるぐると腹の中に薄暗いものが渦巻いていく。
つーかなんだよ、お前の男としてって。もっとマトモな言い方無かったのかよ。自分の口が上手くない事は自覚していたけれど、あんな時にまで発揮しなくて良いじゃねえかよ。
LINEの通知音。誰だよこんな時に。俺ァ今柄にもなく落ち込んでんだ、八つ当たりしかねねえぞ。それでも一応と十希夫はスマホを見て、勢いよく起き上がる。
《“だから明日遊び行こ、そん時にもっかい言ってくれますか”》
「黒澤ーーーーーーーーッ!!!!!!!!」
《っっせぇな何時だと思ってんだテメーーー!!!!!!》
「十希夫~~~??!!!近所迷惑だから声落としなさい名前ちゃんに小学生のアルバム見せるわよ!!!」
「もう見せてんだろが!!!!!!」
《早く要件を言え畜生が》
「あっ。明日」
《おー》
「やり直してくる」
《お?》
「遊び行こって言われた」
《この脳内少女漫画野郎が》
「喧しいわ」
《遊び行くだけか》
「もっかい言ってくれって」
《そーかよ。次は無様晒すなよな》
「俺生きてるか????」
《それ以上うじうじしたら俺が殺すわ》
「#//_&/##@→(@&)」
《落ち着いて喋れクソッタレ、友哉ーッ!タケーーッ進展したぞー!!》
《カズミ一旦黙ってて今ジェンガしてる》
《お前までカズミって呼ぶの辞めろ》
《あ゛~!!カズミちゃの馬鹿ッ!崩れた!》
《俺のせいじゃねーだろ》
黒澤家の賑やかな声をBGMに十希夫は未だ落ち着かねえ気持ちで俯いていた。だってもっかい言ってくれって言ったって、あの時ちゃんと断れなかったから断る為のあれかもしれないし。……でも、多少は。多少は期待して良いんじゃなかろうか。
「名前~、謝るから。出てこい」
『やだあっちいって』
「飯出来たから。開けるぞ」
『やだ。じゅうぞきらい』
「ング」
村田家では十三が死んでいた。自業自得である。