そのにじゅういち
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「俺はな!父ちゃんの分も母ちゃんの分も大福のぶんも!三人と一匹分の人生を精一杯生きなきゃーなんねーんだ!」
天地が倒れ、花が崩れ落ちたと同時に名前もその場にしゃがみこんじまった。涙を堪えきれる気がしなかった。長いようで、短かった戦いが終わりを告げた。天地の周りにゃ康明や内藤双子、ガガに……大東が集まっていた。
「名前、行くぞ」
『……』
「名前」
『ほっといて』
降りしきる雪の中、名前は山田とタケが迎えに来るまでずっとそうして蹲っていた。
「名前、お目目冷やそうね」
「今日はタケちゃんスペシャルマッサージしてあげよ」
『う゛ん』
「飯も作ろっかなぁ。タケちゃん何がいい?」
「俺ちんねえなんかあっついの」
「抽象的なのやめろや。ドリアでいい?」
「俺ちん友っちのドリアだいしゅき」
どっちかってーとそれは名前の好きな物なんだけど、名前は気にする余裕が無かった。辛くて、苦しくて、嬉しくて、悲しくて。色んな感情が頭ん中をぐるぐる回って胃が焼けそうである。
その日降った雪は次の日にゃ跡形もなく消え去っていた。そう、跡形もなく。昨日までの全てを、洗い流したように。
『こ~ろせ!』
「ステイ」
『へへへ殺せ。跡形もなく消し飛ばせ!』
「ステイ」
名前はそりゃもう怒り狂っていた。天地軍団の残党が天地が負けた事を知って余計に燃え上がり、天地を消そうとしてやがる。
見舞いに行って看病した名前は知ってるけれど、今の天地は抜け殻みてーなもんだ。戸亜留のてっぺんに立つ野望も、花を倒すという目標も失った天地は今度こそと手をさし伸ばした名前の手さえ振り払った。マ、名前は関係ねえと無理やり手を掴んで押し退けていっぱい手当てしたしご飯だって作ってやったりしたけれど。散々拒否していた天地だけど、名前の飯だけは食べた。染み付いた習慣だからかもしれない。それでも、天地の目に光は戻らない。
そんな天地を襲おうなんざ許すわけがない。ただ、常磐で大っぴらに動くことも出来ない。だって天地軍団の残党共、常磐に入れてくれなんて言ってくるんだもの!害されてねえのにこちらから仕掛けるのは宜しくない。下の連中は気にはしないが半端な事をして大きな船の舵を取れる訳がねーと解っているので。ド畜生が。は~~~……と名前はクソでかい溜め息を吐いた。
「そんな名前っちに悲しいお知らせなんだけど」
『なに?怖い。ゆっくり言って』
「東陽台の二年が襲われちゃっちゃ」
『……あ?命知らずが。ソイツ等は?』
「ん~一人鼓膜破れた」
『なるほどね、見舞いは後から行こっか。さ~やり返しますかァ。んで?誰さ』
「先に胃薬飲みな」
『マジ?怖い怖い怖い』
「ソイツ等ね~……こう言われたそうで御座いますわよ」
“鳳仙に文句あんならいつでもこい!”
『イヤーーーーーーーーーッ!!!!!!』
「発狂しちゃった」
「佐伯~!」
「あ、俺心療内科とか精神科未履修なんで。梶~?」
「私婦人科志望なんで」
『……あ゛~ド畜生~!山田、佐伯。鼓膜破れた子の見舞い頼む。タケ、沼川。東陽台に向かってくれ』
「東陽台に?」
『深山はあれでいて頭に血が上りやすい奴だろ!それに、東陽台の二年連中は戦闘員のが多い。勝手にやり返しに行きかねねえ、私も後から行くからそれまで落ち着かせといてくれ!』
「了解。苗字は?」
決まってんだろう、鳳仙だよ。
当然反対された、そりゃそう。事態がどうなってるか解ってねえのに襲ってきた側の学校に単騎突っ込むなんて正気の沙汰ではない。
でも名前はそれでも押し通した。だって名前にとっては鳳仙は敵ではない。身内に等しいんだから、当然とも言える。
『ドンドンドン!ドンドンドン!ドンドンドンドンドンドンドン!どうもこんにちは!!!!』
「いやあの」
「名前ちょっと今日忙しいから帰ってもろて……」
寄りによって今日遊びに来ちゃったかぁなんて苦笑いしながら通りがかりの奴等が校庭でやんわり帰そうとする。どでけえ声を上げたからわらわらと「なに?」「お!名前だ!」なんて言って出てきた。なるほどね、鳳仙もしかして……、と名前は目を細めた。
『鳳仙諸君!!!!!!常磐連合、苗字名前だ。早急に月本光政を出せ!!!!!』
「えっ」
「嘘だろ名前待ってなに?」
『聞こえねえかよ。……光政を呼べ、今すぐ、ここに!』
一瞬気圧されたけれど、本気な事が解ったのか真面目な顔で「何の用だ」と問われる。そうすると名前はぽりぽり頭を掻いて、ごめんねえと一言置いて言った。
『常磐連合と事構えるにゃ十分の理由だろう』
「えっ」
「なんて?」
『うちのが……東陽台が数人やられてね。一人は鼓膜が破れて』
「あっ」
『鳳仙に文句あんならいつでもこい!でしたっけ?』
「イヤーーーーーーーーーッ!!!!!」
「うっそだろ」
「助けて」
別に名前が怖いとかそういう事でなく、名前と敵対しかねないのが怖いのである。だって身内。月本家の一員みてーな女が常磐連合を創立した時頭である光政は溜め息を吐きながら笑っていたし、認めてもいた。そしてお互いの仲も含めて不可侵みてーな事だってしていたってのに、
「名前こっちだあの誤解だから」
「あの連れてくるよりあの座って話した方があの」
『いや良いよさっさと呼べよ』
「いや是非ともあのゆっくり話してくれあの」
「頼むから」
「飴ちゃんやるから」
『ねえ精一杯カッコつけたのになんでそんな親戚のおじさんみてーな反応する訳????』
「俺はな!父ちゃんの分も母ちゃんの分も大福のぶんも!三人と一匹分の人生を精一杯生きなきゃーなんねーんだ!」
天地が倒れ、花が崩れ落ちたと同時に名前もその場にしゃがみこんじまった。涙を堪えきれる気がしなかった。長いようで、短かった戦いが終わりを告げた。天地の周りにゃ康明や内藤双子、ガガに……大東が集まっていた。
「名前、行くぞ」
『……』
「名前」
『ほっといて』
降りしきる雪の中、名前は山田とタケが迎えに来るまでずっとそうして蹲っていた。
「名前、お目目冷やそうね」
「今日はタケちゃんスペシャルマッサージしてあげよ」
『う゛ん』
「飯も作ろっかなぁ。タケちゃん何がいい?」
「俺ちんねえなんかあっついの」
「抽象的なのやめろや。ドリアでいい?」
「俺ちん友っちのドリアだいしゅき」
どっちかってーとそれは名前の好きな物なんだけど、名前は気にする余裕が無かった。辛くて、苦しくて、嬉しくて、悲しくて。色んな感情が頭ん中をぐるぐる回って胃が焼けそうである。
その日降った雪は次の日にゃ跡形もなく消え去っていた。そう、跡形もなく。昨日までの全てを、洗い流したように。
『こ~ろせ!』
「ステイ」
『へへへ殺せ。跡形もなく消し飛ばせ!』
「ステイ」
名前はそりゃもう怒り狂っていた。天地軍団の残党が天地が負けた事を知って余計に燃え上がり、天地を消そうとしてやがる。
見舞いに行って看病した名前は知ってるけれど、今の天地は抜け殻みてーなもんだ。戸亜留のてっぺんに立つ野望も、花を倒すという目標も失った天地は今度こそと手をさし伸ばした名前の手さえ振り払った。マ、名前は関係ねえと無理やり手を掴んで押し退けていっぱい手当てしたしご飯だって作ってやったりしたけれど。散々拒否していた天地だけど、名前の飯だけは食べた。染み付いた習慣だからかもしれない。それでも、天地の目に光は戻らない。
そんな天地を襲おうなんざ許すわけがない。ただ、常磐で大っぴらに動くことも出来ない。だって天地軍団の残党共、常磐に入れてくれなんて言ってくるんだもの!害されてねえのにこちらから仕掛けるのは宜しくない。下の連中は気にはしないが半端な事をして大きな船の舵を取れる訳がねーと解っているので。ド畜生が。は~~~……と名前はクソでかい溜め息を吐いた。
「そんな名前っちに悲しいお知らせなんだけど」
『なに?怖い。ゆっくり言って』
「東陽台の二年が襲われちゃっちゃ」
『……あ?命知らずが。ソイツ等は?』
「ん~一人鼓膜破れた」
『なるほどね、見舞いは後から行こっか。さ~やり返しますかァ。んで?誰さ』
「先に胃薬飲みな」
『マジ?怖い怖い怖い』
「ソイツ等ね~……こう言われたそうで御座いますわよ」
“鳳仙に文句あんならいつでもこい!”
『イヤーーーーーーーーーッ!!!!!!』
「発狂しちゃった」
「佐伯~!」
「あ、俺心療内科とか精神科未履修なんで。梶~?」
「私婦人科志望なんで」
『……あ゛~ド畜生~!山田、佐伯。鼓膜破れた子の見舞い頼む。タケ、沼川。東陽台に向かってくれ』
「東陽台に?」
『深山はあれでいて頭に血が上りやすい奴だろ!それに、東陽台の二年連中は戦闘員のが多い。勝手にやり返しに行きかねねえ、私も後から行くからそれまで落ち着かせといてくれ!』
「了解。苗字は?」
決まってんだろう、鳳仙だよ。
当然反対された、そりゃそう。事態がどうなってるか解ってねえのに襲ってきた側の学校に単騎突っ込むなんて正気の沙汰ではない。
でも名前はそれでも押し通した。だって名前にとっては鳳仙は敵ではない。身内に等しいんだから、当然とも言える。
『ドンドンドン!ドンドンドン!ドンドンドンドンドンドンドン!どうもこんにちは!!!!』
「いやあの」
「名前ちょっと今日忙しいから帰ってもろて……」
寄りによって今日遊びに来ちゃったかぁなんて苦笑いしながら通りがかりの奴等が校庭でやんわり帰そうとする。どでけえ声を上げたからわらわらと「なに?」「お!名前だ!」なんて言って出てきた。なるほどね、鳳仙もしかして……、と名前は目を細めた。
『鳳仙諸君!!!!!!常磐連合、苗字名前だ。早急に月本光政を出せ!!!!!』
「えっ」
「嘘だろ名前待ってなに?」
『聞こえねえかよ。……光政を呼べ、今すぐ、ここに!』
一瞬気圧されたけれど、本気な事が解ったのか真面目な顔で「何の用だ」と問われる。そうすると名前はぽりぽり頭を掻いて、ごめんねえと一言置いて言った。
『常磐連合と事構えるにゃ十分の理由だろう』
「えっ」
「なんて?」
『うちのが……東陽台が数人やられてね。一人は鼓膜が破れて』
「あっ」
『鳳仙に文句あんならいつでもこい!でしたっけ?』
「イヤーーーーーーーーーッ!!!!!」
「うっそだろ」
「助けて」
別に名前が怖いとかそういう事でなく、名前と敵対しかねないのが怖いのである。だって身内。月本家の一員みてーな女が常磐連合を創立した時頭である光政は溜め息を吐きながら笑っていたし、認めてもいた。そしてお互いの仲も含めて不可侵みてーな事だってしていたってのに、
「名前こっちだあの誤解だから」
「あの連れてくるよりあの座って話した方があの」
『いや良いよさっさと呼べよ』
「いや是非ともあのゆっくり話してくれあの」
「頼むから」
「飴ちゃんやるから」
『ねえ精一杯カッコつけたのになんでそんな親戚のおじさんみてーな反応する訳????』