そのにじゅういち
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「名前」
『はいよ』
「大東ってのが寅拐ったらしいけど」
『ほぉん、良いじゃん隆。やるねえ』
「タケちゃんコイツの教育とかってどうなってる?」
「俺ちんに言うなや十三ちゃに言って。名前っちなに楽しそうな顔してんの?寅ちゃ嫌いだっけ?」
『いや?どうせ隆の事だ、花潰すだけの人質だよ。どこぞの馬鹿みてーに人質にしてからぶん殴ったりとかはしねーさ』
「あ~なるほどね?は?キレそう」
「は?名前っちとは俺ちんのが付き合いが長いが???ブチギレそう」
『キレないキレない。私の恩人だぞ礼を尽くせ』
「はぁ~い……」
「チッ……」
『舌を打たない』
大東隆ってのはそういう男だ。策略家で汚ねえ真似はするけれど、必要以上の事はしない。また、ホントにクソッタレな事は出来ない性格で……本当に馬鹿な男だなと名前は苦く笑った。そういう所が気に入ってるのだけど。
『アイツが寿に付いてくれて良かったよ、アイツなら寿を裏切らないもん。目的の為なら汚ねえ事も出来るし考えるけど、本当のクズにゃなれない男なんだよ、隆はね』
「ね゛~!!!良いの!!?俺焼きもち妬くよ!?良いの!?妬いちゃって良いの!!?」
「俺ちんも妬いてやる。焼き払ってやる」
『お前等まだ話した事無いもんね。楽しみにしときな、多分お前等好きだと思うよ』
「ズルい!!!!」
「えっち!!!!!」
『えっちは草じゃない?』
そんなこんなで名前は情報を頼りに隆が待つ場所へ向かう。ねえホントに行くのぉ?とタケがちょっと拗ねながら言う。
『想像通りなら隆、多分ぶっ倒れてるからよ』
「なに、花?」
『いや、寿』
「ほぉん」
その通りであった。大東隆は後から現れた天地に殴り飛ばされて当たり所が悪かったのか伸びていた。コイツどうすんだよ、仲間なんだろと叫ばれた天地は凍てつくような目で花を見下ろして去っていく。仕方ねえ奴だと名前が笑うと花達も気付いたようで、よ!と手を挙げる。
『めんご!コイツ貰うね』
「知り合いか?」
『私の大親友だとも』
「は?キレそう」
「妬くぞ」
『妬くな。良いよね、花』
「うん、見てやってくれ」
『花ちゃん』
「ん?」
『ちょっと』
山田とタケに隆、頼むねと言って預ける。やだぁ~とか口では言うけれど、二人共名前があそこまで言う男に興味津々であった。花がちょっと困った顔をして武藤達にごめんちょっと話してくるな、と離れる。
『二人で話すの久しぶりね』
「そうだな!ちょこちょこ会ってはいるけど。あ!あと名前に踏み潰されたな!」
『も゛~ごめんってば!』
「はは、もう気にしてないよ。天地の話だろ」
『……。花ちゃん』
「ん?」
何かを言おうとした名前の口からは空気しか吐き出されなかった。こんな事言っちゃいけない、こんなのただ問題を人に押し付けるだけだと解っている。でも言わなきゃダメなんだろうなという事は理解している。花はなんとなく何が言いたいか解ったけれど、じっと静かに名前の言葉を待った。
『ひ、寿、私の大事な幼馴染なんだ』
「うん」
『花ちゃん』
「うん」
『寿を、……頼むね』
「おう!任せとけ!!」
返事は解っていた。花なら、こう言ってくれると思っていた。寿があぁなったのは私のせいでもあるんだよな、と思いながら。向き合ってるつもりだった。つもり、だけだった。名前は天地の心の支えにはなっていたけれど、本当の意味で向き合ってはやれなかった。
『ンはは、花ちゃんなら寿をどうにか出来るってずっと前から思ってたんだけどさ』
「うん」
『少し、妬けるよ。私寿にゃ大事にされてる自覚はあるしさ!寿の心の支えになってる自覚もあるよ。でもさ、それだけなんだよね。私、なんとか寿の手を引いて歩いてたけど、いつの間にか一緒に沈んでやる事も出来ねー、掬いあげてやる事も出来ねー、中途半端なクソ野郎に成り下がってやがった』
幼馴染っていう関係が心地良過ぎた。あれだけ自分を大事にしてくれる幼馴染連中に嫌われたくないという気持ちがあり過ぎて、いつの間にか名前は宙ぶらりんのまま少し前まで無為に過ごしてしまった。しかも、ずっとそのままで居るのならまだしもこうして舞台に上がらざるを得なくなっちまったから余計に酷い。常磐の頭に、と言った時名前はキレていたので気にしなかったけれど、天地のあの……見放されたような顔を、忘れられずにいる。
いつだか将五の居ない村田家で十三と三人でご飯を食べた時、酔ってフラフラになってバイバイと手を振った名前に、同じくフラフラした天地が帰り際、「お前もなんだろ」と呟いたのが、未だに頭にこびり付いて離れないでいる。それでも天地はそんな酷く中途半端な事をした、もう見放しても良いような名前が自殺しようとした時は引き止めて、名前が怪我をすれば心配してしまう心も持ち合わせているのだ、だから余計に罪悪感が胸を締め付けている。
「名前」
『、あいよ』
「天狗の森」
『……うん。解った』
「絶対に見に来いよ。名前は、見てやらなきゃ駄目だと思う」
『そうだね。……そうだね』
「天地とはいい加減決着付けなきゃいけねー。それからの事は、お前が決めるんだ。もうどうするべきか解ってるんだろ」
『……。え、なに?花ちゃんにそういう風に言われると割と真面目に心に来るんだけど。光政に殴られる時よりキツいんだけどなに?』
「は?光政名前の事殴るのか?許せん俺が殴っとく」
『花ちゃんたまに私の事子供だと思ってない?』
「ハハ……」
『ちょっと』
「ハハ……」
『ま、良いけどさ』
戻ろっか、と言えばそうだなと花が立ち上がって手を差し伸べてくれる。名前はほんの少しだけ固まって、呆れたようにその手を取った。
『花がそんなんだから寿が余計に燃え上がった説あるわ』
「えっマジ?」
『反抗期に花と会ってたら多分私も寿と同じくなってたかも。眩しすぎんだよ、お前』
「ん~、よく解んねーけど。つまり天地とも名前みたく仲良くなれるかもって事か……?」
『そ~いう所好きよ~花。……この件が終わったら色々話してやるよ、寿の酔っ払った時の癖とか、小学校の時“名前ちゃんと手って繋がなきゃやだ!!!”って泣いた話とか』
「凄く今聞きたい」
『ふはは……』
「名前」
『はいよ』
「大東ってのが寅拐ったらしいけど」
『ほぉん、良いじゃん隆。やるねえ』
「タケちゃんコイツの教育とかってどうなってる?」
「俺ちんに言うなや十三ちゃに言って。名前っちなに楽しそうな顔してんの?寅ちゃ嫌いだっけ?」
『いや?どうせ隆の事だ、花潰すだけの人質だよ。どこぞの馬鹿みてーに人質にしてからぶん殴ったりとかはしねーさ』
「あ~なるほどね?は?キレそう」
「は?名前っちとは俺ちんのが付き合いが長いが???ブチギレそう」
『キレないキレない。私の恩人だぞ礼を尽くせ』
「はぁ~い……」
「チッ……」
『舌を打たない』
大東隆ってのはそういう男だ。策略家で汚ねえ真似はするけれど、必要以上の事はしない。また、ホントにクソッタレな事は出来ない性格で……本当に馬鹿な男だなと名前は苦く笑った。そういう所が気に入ってるのだけど。
『アイツが寿に付いてくれて良かったよ、アイツなら寿を裏切らないもん。目的の為なら汚ねえ事も出来るし考えるけど、本当のクズにゃなれない男なんだよ、隆はね』
「ね゛~!!!良いの!!?俺焼きもち妬くよ!?良いの!?妬いちゃって良いの!!?」
「俺ちんも妬いてやる。焼き払ってやる」
『お前等まだ話した事無いもんね。楽しみにしときな、多分お前等好きだと思うよ』
「ズルい!!!!」
「えっち!!!!!」
『えっちは草じゃない?』
そんなこんなで名前は情報を頼りに隆が待つ場所へ向かう。ねえホントに行くのぉ?とタケがちょっと拗ねながら言う。
『想像通りなら隆、多分ぶっ倒れてるからよ』
「なに、花?」
『いや、寿』
「ほぉん」
その通りであった。大東隆は後から現れた天地に殴り飛ばされて当たり所が悪かったのか伸びていた。コイツどうすんだよ、仲間なんだろと叫ばれた天地は凍てつくような目で花を見下ろして去っていく。仕方ねえ奴だと名前が笑うと花達も気付いたようで、よ!と手を挙げる。
『めんご!コイツ貰うね』
「知り合いか?」
『私の大親友だとも』
「は?キレそう」
「妬くぞ」
『妬くな。良いよね、花』
「うん、見てやってくれ」
『花ちゃん』
「ん?」
『ちょっと』
山田とタケに隆、頼むねと言って預ける。やだぁ~とか口では言うけれど、二人共名前があそこまで言う男に興味津々であった。花がちょっと困った顔をして武藤達にごめんちょっと話してくるな、と離れる。
『二人で話すの久しぶりね』
「そうだな!ちょこちょこ会ってはいるけど。あ!あと名前に踏み潰されたな!」
『も゛~ごめんってば!』
「はは、もう気にしてないよ。天地の話だろ」
『……。花ちゃん』
「ん?」
何かを言おうとした名前の口からは空気しか吐き出されなかった。こんな事言っちゃいけない、こんなのただ問題を人に押し付けるだけだと解っている。でも言わなきゃダメなんだろうなという事は理解している。花はなんとなく何が言いたいか解ったけれど、じっと静かに名前の言葉を待った。
『ひ、寿、私の大事な幼馴染なんだ』
「うん」
『花ちゃん』
「うん」
『寿を、……頼むね』
「おう!任せとけ!!」
返事は解っていた。花なら、こう言ってくれると思っていた。寿があぁなったのは私のせいでもあるんだよな、と思いながら。向き合ってるつもりだった。つもり、だけだった。名前は天地の心の支えにはなっていたけれど、本当の意味で向き合ってはやれなかった。
『ンはは、花ちゃんなら寿をどうにか出来るってずっと前から思ってたんだけどさ』
「うん」
『少し、妬けるよ。私寿にゃ大事にされてる自覚はあるしさ!寿の心の支えになってる自覚もあるよ。でもさ、それだけなんだよね。私、なんとか寿の手を引いて歩いてたけど、いつの間にか一緒に沈んでやる事も出来ねー、掬いあげてやる事も出来ねー、中途半端なクソ野郎に成り下がってやがった』
幼馴染っていう関係が心地良過ぎた。あれだけ自分を大事にしてくれる幼馴染連中に嫌われたくないという気持ちがあり過ぎて、いつの間にか名前は宙ぶらりんのまま少し前まで無為に過ごしてしまった。しかも、ずっとそのままで居るのならまだしもこうして舞台に上がらざるを得なくなっちまったから余計に酷い。常磐の頭に、と言った時名前はキレていたので気にしなかったけれど、天地のあの……見放されたような顔を、忘れられずにいる。
いつだか将五の居ない村田家で十三と三人でご飯を食べた時、酔ってフラフラになってバイバイと手を振った名前に、同じくフラフラした天地が帰り際、「お前もなんだろ」と呟いたのが、未だに頭にこびり付いて離れないでいる。それでも天地はそんな酷く中途半端な事をした、もう見放しても良いような名前が自殺しようとした時は引き止めて、名前が怪我をすれば心配してしまう心も持ち合わせているのだ、だから余計に罪悪感が胸を締め付けている。
「名前」
『、あいよ』
「天狗の森」
『……うん。解った』
「絶対に見に来いよ。名前は、見てやらなきゃ駄目だと思う」
『そうだね。……そうだね』
「天地とはいい加減決着付けなきゃいけねー。それからの事は、お前が決めるんだ。もうどうするべきか解ってるんだろ」
『……。え、なに?花ちゃんにそういう風に言われると割と真面目に心に来るんだけど。光政に殴られる時よりキツいんだけどなに?』
「は?光政名前の事殴るのか?許せん俺が殴っとく」
『花ちゃんたまに私の事子供だと思ってない?』
「ハハ……」
『ちょっと』
「ハハ……」
『ま、良いけどさ』
戻ろっか、と言えばそうだなと花が立ち上がって手を差し伸べてくれる。名前はほんの少しだけ固まって、呆れたようにその手を取った。
『花がそんなんだから寿が余計に燃え上がった説あるわ』
「えっマジ?」
『反抗期に花と会ってたら多分私も寿と同じくなってたかも。眩しすぎんだよ、お前』
「ん~、よく解んねーけど。つまり天地とも名前みたく仲良くなれるかもって事か……?」
『そ~いう所好きよ~花。……この件が終わったら色々話してやるよ、寿の酔っ払った時の癖とか、小学校の時“名前ちゃんと手って繋がなきゃやだ!!!”って泣いた話とか』
「凄く今聞きたい」
『ふはは……』