そのにじゅう
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『そこをお退き』
「退かねえ」
『退いて』
「ぜっっってぇ退かねえ」
『や゛~!!!退いて清広さん!!!』
「俺ァお前から菓子を貰うまで絶対ぇ退かねえからな!!!!」
『あのね』
「おう」
『好誠さんに余計な事抜かした口はこの口?』
「はにゃへ」
ガヤさん達にクッキー渡してたら颯爽と現れた清ピーに行く手を阻まれています。なんで俺にくれねーんだよという苦情込で。喧しいわ。てか今くれたお菓子完全にお高めじゃねーかふざけんなよ。ギチギチ言いながら両頬を引っ張るとキレながら離せやと言うけど無視である。
『あと難波パパと将太さんまで変な事口走ってたからね』
「あのな」
『はい』
「お前は感覚が麻痺してるかもしれねえが毎日毎日女の家に見舞いに来るのは完全に下心がある」
『下心言うな』
「二人で遊びに行ったりとかしたか」
『……』
「家に呼ばれたりとかしてないか」
『お菓子貰いに家行くけど』
「よ~し殺すか……」
『待って』
確かに今日呼ばれたけどそれがなんで下心に繋がるかが解らない名前は思い切り首を傾げてなんで?と清広に言った。清広はう゛!!!と唸って、どうしよ……なんて言おう……と悩んだのだけど、時間が長すぎて口にクッキーを突っ込まれて逃げられてしまった。クソが……と唸ったけれど、清広は割と育ちがいいので妙にでかいクッキーを食い終えるまでは動けなかったし喋れなかった。
やっと終わって辿り着いた原田家。母ちゃんお邪魔します!あら!十希夫まだ帰ってないから部屋行ってなさい!はーい!最早我が家みてーな面で名前は十希夫の部屋へ。もう暑いから包帯取っていいかな。取ろ。とっきーまだ?と連絡するともう少し待ってろと返事が来た。歩き回って疲れたし寝ようかな、とコロンと十希夫のベッドに横になる。このベッドで寝るのは何回目だろうか、高一の頃とかにも勝手に寝てたけれど、あのなぁと心配そうにやめろと言われるだけだった。
最近……二年になってからは、どうにも名前は無意識に十希夫に甘えちまってるらしい。なにせ十希夫の家は安心出来る。別に他の家が安心出来ねえって事ではないけれど、十希夫の部屋で寝ていると呆れた声を出しながらも名前を優しげな目で見て笑ってくれるから、こうやって無防備になっているのだ。
十希夫の布団で寝ていると煙草の匂いと、普段付けてる香水の匂いとかが混ざっている匂いがする。十希夫に抱き締められているような感じで心地が良かった、名前はその気持ちの名前を知らないけれど、なんだかいつも心がぽかぽかするのである。
さてそんな時に十希夫が何していたのかと言うと先程までめちゃくちゃ黒澤と九里虎にガーガー言われていた。お前ね、機嫌が悪かった勢いで女ァ家に呼ぶのはどうなのよ。名前驚いてたろ。反省してます……。九里虎じゃねーんだから。クロサー余計な事言うんじゃなか。
んでも今日こそは付き合いますよね?なんて圧を込められて正気に戻った十希夫は「勘弁してくれ……」と言いながら家に向かっている。もう家に居るらしいし、早く帰らなければ。
家に着くと名前の靴だけ玄関先にあった。母親は出掛けたらしい。は~~、とドデカい溜息を吐きながら名前、と名を呼んで部屋に入るとまぁ想定通りというかまた勝手に人様のベッドで寝ていやがった。鈴蘭に来た時は巻いていた包帯がテーブルの上に置いてある。
「名前」
『か……』
「爆睡だな」
お返しの予定であるブレスレットを取り出してまた息を吐いた。まぁ、帰りに渡しゃ良いけれど。
ん゛、とか言いながら布団に包まる名前を見る十希夫の目は優しかった。でも、右眼の少し上にある傷を見て、なぞって……少しやりきれない顔をした。女は周りに気にしていない風に言っていたけれど、あれからまた刃物への恐怖が強くなっちまった。相当怖かったろう、目の前にじわじわと迫り来るナイフを抵抗も出来ずに受け入れる事しか出来ないのは。
「名前」
『う゛……』
それでも前を向こうとする女が愛しかった。無茶をして欲しくねえと思いつつ、他の誰とも話して欲しくねえと思いつつ、自由にしている女が一番可愛いのだから十希夫は苦く笑っちまった。
いつだか、付き合ってもねえ女と一緒に寝るかよ、なんて言っていたくせに十希夫はベッドに潜り込んだ。すぴすぴ眠る名前を抱き締めてそのまま目を閉じる。自由にしている女に惚れてるからと言って昼間一度自分を避けるように三年に渡したのは許していないので。一緒に寝るくらい許せよな。
『そこをお退き』
「退かねえ」
『退いて』
「ぜっっってぇ退かねえ」
『や゛~!!!退いて清広さん!!!』
「俺ァお前から菓子を貰うまで絶対ぇ退かねえからな!!!!」
『あのね』
「おう」
『好誠さんに余計な事抜かした口はこの口?』
「はにゃへ」
ガヤさん達にクッキー渡してたら颯爽と現れた清ピーに行く手を阻まれています。なんで俺にくれねーんだよという苦情込で。喧しいわ。てか今くれたお菓子完全にお高めじゃねーかふざけんなよ。ギチギチ言いながら両頬を引っ張るとキレながら離せやと言うけど無視である。
『あと難波パパと将太さんまで変な事口走ってたからね』
「あのな」
『はい』
「お前は感覚が麻痺してるかもしれねえが毎日毎日女の家に見舞いに来るのは完全に下心がある」
『下心言うな』
「二人で遊びに行ったりとかしたか」
『……』
「家に呼ばれたりとかしてないか」
『お菓子貰いに家行くけど』
「よ~し殺すか……」
『待って』
確かに今日呼ばれたけどそれがなんで下心に繋がるかが解らない名前は思い切り首を傾げてなんで?と清広に言った。清広はう゛!!!と唸って、どうしよ……なんて言おう……と悩んだのだけど、時間が長すぎて口にクッキーを突っ込まれて逃げられてしまった。クソが……と唸ったけれど、清広は割と育ちがいいので妙にでかいクッキーを食い終えるまでは動けなかったし喋れなかった。
やっと終わって辿り着いた原田家。母ちゃんお邪魔します!あら!十希夫まだ帰ってないから部屋行ってなさい!はーい!最早我が家みてーな面で名前は十希夫の部屋へ。もう暑いから包帯取っていいかな。取ろ。とっきーまだ?と連絡するともう少し待ってろと返事が来た。歩き回って疲れたし寝ようかな、とコロンと十希夫のベッドに横になる。このベッドで寝るのは何回目だろうか、高一の頃とかにも勝手に寝てたけれど、あのなぁと心配そうにやめろと言われるだけだった。
最近……二年になってからは、どうにも名前は無意識に十希夫に甘えちまってるらしい。なにせ十希夫の家は安心出来る。別に他の家が安心出来ねえって事ではないけれど、十希夫の部屋で寝ていると呆れた声を出しながらも名前を優しげな目で見て笑ってくれるから、こうやって無防備になっているのだ。
十希夫の布団で寝ていると煙草の匂いと、普段付けてる香水の匂いとかが混ざっている匂いがする。十希夫に抱き締められているような感じで心地が良かった、名前はその気持ちの名前を知らないけれど、なんだかいつも心がぽかぽかするのである。
さてそんな時に十希夫が何していたのかと言うと先程までめちゃくちゃ黒澤と九里虎にガーガー言われていた。お前ね、機嫌が悪かった勢いで女ァ家に呼ぶのはどうなのよ。名前驚いてたろ。反省してます……。九里虎じゃねーんだから。クロサー余計な事言うんじゃなか。
んでも今日こそは付き合いますよね?なんて圧を込められて正気に戻った十希夫は「勘弁してくれ……」と言いながら家に向かっている。もう家に居るらしいし、早く帰らなければ。
家に着くと名前の靴だけ玄関先にあった。母親は出掛けたらしい。は~~、とドデカい溜息を吐きながら名前、と名を呼んで部屋に入るとまぁ想定通りというかまた勝手に人様のベッドで寝ていやがった。鈴蘭に来た時は巻いていた包帯がテーブルの上に置いてある。
「名前」
『か……』
「爆睡だな」
お返しの予定であるブレスレットを取り出してまた息を吐いた。まぁ、帰りに渡しゃ良いけれど。
ん゛、とか言いながら布団に包まる名前を見る十希夫の目は優しかった。でも、右眼の少し上にある傷を見て、なぞって……少しやりきれない顔をした。女は周りに気にしていない風に言っていたけれど、あれからまた刃物への恐怖が強くなっちまった。相当怖かったろう、目の前にじわじわと迫り来るナイフを抵抗も出来ずに受け入れる事しか出来ないのは。
「名前」
『う゛……』
それでも前を向こうとする女が愛しかった。無茶をして欲しくねえと思いつつ、他の誰とも話して欲しくねえと思いつつ、自由にしている女が一番可愛いのだから十希夫は苦く笑っちまった。
いつだか、付き合ってもねえ女と一緒に寝るかよ、なんて言っていたくせに十希夫はベッドに潜り込んだ。すぴすぴ眠る名前を抱き締めてそのまま目を閉じる。自由にしている女に惚れてるからと言って昼間一度自分を避けるように三年に渡したのは許していないので。一緒に寝るくらい許せよな。