そのじゅうきゅう
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『と~~りゃんせ~と~りゃんせ~』
「待ってくれ」
『こ~こはど~~この細道じゃ~~』
「名前、マジで悪かった。この通り。怖いから辞めてくれ」
『勘弁ならねえ』
「許せ」
あの後、名前と十希夫は二人して顔を真っ赤にして言葉に詰まっちまった。山田は大爆笑した後で春道にコソコソ「コイツ等まだ付き合ってないんスわ」と伝えた。すると春道はめちゃくちゃ良い笑顔で「そうか!じゃあ付き合ったら言えよな!お祝いしてやっからよ!」と言いのけた。十希夫は顔を覆って崩れ落ち、名前は完全にブチギレて春道の耳を引っ張ってその場を離脱した。
取り残された山田は使い物にならない十希夫を笑いながら腕を引いてタケの家に向かった。そろそろアンタも考えろよな。うるせーほっとけ畜生。
「名前~、機嫌直せよ。な?」
『……。春道兄ちゃん』
「お?」
『お散歩しよ。それでチャラ』
「お、おう。いーけどよ」
春道の単車を村田家に置いて二人は歩き出す。ねえおぶってくれても良いんだよ。ガキだな~お前、なんて言いながら春道は名前をおぶった。春道が在学中はよくこうして名前を背に歩き回って竜也や龍信にキレられていたものである。
『春道兄ちゃん』
「お?」
『三郎くんに聞いたんでしょ』
「……何がだ?」
『んふふ、相変わらず嘘下手くそだね。ま、良いや』
今ね、鈴蘭にめちゃくちゃ強い人とね、めちゃくちゃ良い奴が居るんだよ。そうかよ。強い人はね、どこか春道兄ちゃんに似てるんだ。つまりイケメンって事か?調子乗らないで。
ね、あのお店覚えてる?潰れたんだよあそこ。マジかよ、俺結構行ってたのにな。ポンちゃんのとこでね、幼馴染働いてるんだよ。あ~なんか聞いたわ、女子高生紹介してくれねー奴だろ。まだそんな事してんのあの人。そういえばね、タケちゃんも春道兄ちゃんに会いたいって言ってたよ。ヤローになんざ会うかよ。ウケる、タケちゃんに舐め回されるさ。それは嫌だなぁ。
『それでね、それでね、』
「……名前」
春道の肩が徐々に濡れる。ぼた、ぼたと落ちる雫が大きくなっていって……名前はそのまま春道の肩に顔を埋めた。
『ごめん、ごめん……すぐ、泣き止むから……』
「……」
『も、もう少しだけこのままでいて……』
もう少しだけでいいから、置いていかないで。
春道はそんな言葉を噛み締めて、前を向いた。この女は色んな連中に置いていかれてる。美藤の長男、阪東が憧れてたという武装の秀臣の前の奴。この街の奴は関係があるとは殆ど知らないけれど……県南の、陣内。そしてこの間ゼットンから聞いた名前が兄と慕った武装の頭。
未だに覚えている。ブルがトラックに轢かれた時、大雨の中駆け付けた自分の直後にずぶ濡れでやって来て狂ったように叫ぶ女を。そして陣内が死んだという報せが入った時の女の涙を、忘れられないでいる。テルと従兄弟同士なのを知っているのは戸亜留市では春道と龍信しか居らず、どうして、どうして公平兄ちゃんが、と泣き散らした女の顔を……未だに、覚えている。
今回のその死んだ男は、名前を庇って死んだのだと聞いた。元鈴蘭の男に刺されて。コイツは一体何人の馬鹿野郎達に置いていかれれば良いのか……と、考えて、煙草に火を
「…………」
「……………………」
「………………あの」
「シッ」
「いや、」
「いいか少年……こういう時は黙っ……てスルーするもんだ。な?」
「いや、でも、ソイツ……あの……」
『……春道兄ちゃん』
「、ん?」
『ソイツね……鳳仙の頭……ジョーさんの後輩……』
「え!ほ~~あれだろブルとやった!」
「名前?」
『みつまさ』
「え゛っお前泣いて、」
『あの鈴蘭だった坊屋春道くんだよ、ご挨拶は』
「えマジ?」
「ふはは……俺はそこまで有名か?照れるな~」
「あのヘラヘラしてて凄味もなんもなくて女にモテなさそうな奴ってジョーさんが言ってた坊屋春道?」
「あのクソ野郎何処にいる」
『もうこの街に居ないわよ……』
ばいばい……と名前が光政に手を振った。今日はもう妹モードなので。なんとな~く察した光政はフ、と笑って写メ連写してじゃあなと別れた。いやふざけんなよ。
ちなみにこの写真はジョーに送られ、ジョー経由でかつての四天王(花澤、武田、中島)に送られ花澤は意地っ張りめと笑い、中島はあ!坊屋だ!と笑い、武田はざッッッッッッけんなよド畜生俺の妹だぞとキレ散らかしていた。
『と~~りゃんせ~と~りゃんせ~』
「待ってくれ」
『こ~こはど~~この細道じゃ~~』
「名前、マジで悪かった。この通り。怖いから辞めてくれ」
『勘弁ならねえ』
「許せ」
あの後、名前と十希夫は二人して顔を真っ赤にして言葉に詰まっちまった。山田は大爆笑した後で春道にコソコソ「コイツ等まだ付き合ってないんスわ」と伝えた。すると春道はめちゃくちゃ良い笑顔で「そうか!じゃあ付き合ったら言えよな!お祝いしてやっからよ!」と言いのけた。十希夫は顔を覆って崩れ落ち、名前は完全にブチギレて春道の耳を引っ張ってその場を離脱した。
取り残された山田は使い物にならない十希夫を笑いながら腕を引いてタケの家に向かった。そろそろアンタも考えろよな。うるせーほっとけ畜生。
「名前~、機嫌直せよ。な?」
『……。春道兄ちゃん』
「お?」
『お散歩しよ。それでチャラ』
「お、おう。いーけどよ」
春道の単車を村田家に置いて二人は歩き出す。ねえおぶってくれても良いんだよ。ガキだな~お前、なんて言いながら春道は名前をおぶった。春道が在学中はよくこうして名前を背に歩き回って竜也や龍信にキレられていたものである。
『春道兄ちゃん』
「お?」
『三郎くんに聞いたんでしょ』
「……何がだ?」
『んふふ、相変わらず嘘下手くそだね。ま、良いや』
今ね、鈴蘭にめちゃくちゃ強い人とね、めちゃくちゃ良い奴が居るんだよ。そうかよ。強い人はね、どこか春道兄ちゃんに似てるんだ。つまりイケメンって事か?調子乗らないで。
ね、あのお店覚えてる?潰れたんだよあそこ。マジかよ、俺結構行ってたのにな。ポンちゃんのとこでね、幼馴染働いてるんだよ。あ~なんか聞いたわ、女子高生紹介してくれねー奴だろ。まだそんな事してんのあの人。そういえばね、タケちゃんも春道兄ちゃんに会いたいって言ってたよ。ヤローになんざ会うかよ。ウケる、タケちゃんに舐め回されるさ。それは嫌だなぁ。
『それでね、それでね、』
「……名前」
春道の肩が徐々に濡れる。ぼた、ぼたと落ちる雫が大きくなっていって……名前はそのまま春道の肩に顔を埋めた。
『ごめん、ごめん……すぐ、泣き止むから……』
「……」
『も、もう少しだけこのままでいて……』
もう少しだけでいいから、置いていかないで。
春道はそんな言葉を噛み締めて、前を向いた。この女は色んな連中に置いていかれてる。美藤の長男、阪東が憧れてたという武装の秀臣の前の奴。この街の奴は関係があるとは殆ど知らないけれど……県南の、陣内。そしてこの間ゼットンから聞いた名前が兄と慕った武装の頭。
未だに覚えている。ブルがトラックに轢かれた時、大雨の中駆け付けた自分の直後にずぶ濡れでやって来て狂ったように叫ぶ女を。そして陣内が死んだという報せが入った時の女の涙を、忘れられないでいる。テルと従兄弟同士なのを知っているのは戸亜留市では春道と龍信しか居らず、どうして、どうして公平兄ちゃんが、と泣き散らした女の顔を……未だに、覚えている。
今回のその死んだ男は、名前を庇って死んだのだと聞いた。元鈴蘭の男に刺されて。コイツは一体何人の馬鹿野郎達に置いていかれれば良いのか……と、考えて、煙草に火を
「…………」
「……………………」
「………………あの」
「シッ」
「いや、」
「いいか少年……こういう時は黙っ……てスルーするもんだ。な?」
「いや、でも、ソイツ……あの……」
『……春道兄ちゃん』
「、ん?」
『ソイツね……鳳仙の頭……ジョーさんの後輩……』
「え!ほ~~あれだろブルとやった!」
「名前?」
『みつまさ』
「え゛っお前泣いて、」
『あの鈴蘭だった坊屋春道くんだよ、ご挨拶は』
「えマジ?」
「ふはは……俺はそこまで有名か?照れるな~」
「あのヘラヘラしてて凄味もなんもなくて女にモテなさそうな奴ってジョーさんが言ってた坊屋春道?」
「あのクソ野郎何処にいる」
『もうこの街に居ないわよ……』
ばいばい……と名前が光政に手を振った。今日はもう妹モードなので。なんとな~く察した光政はフ、と笑って写メ連写してじゃあなと別れた。いやふざけんなよ。
ちなみにこの写真はジョーに送られ、ジョー経由でかつての四天王(花澤、武田、中島)に送られ花澤は意地っ張りめと笑い、中島はあ!坊屋だ!と笑い、武田はざッッッッッッけんなよド畜生俺の妹だぞとキレ散らかしていた。