その十三
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その日十三は何時もの飄々とした態度を珍しく崩し、帰り道の足取りは軽かった。何故なら今日は彼の誕生日であり、毎年必ず何かあると解っているのだから。
毎年バレないようにバレないようにと計画する弟達や馬鹿共の事を考えては何も知らないふりで帰り、ことごとく罠を突破する。悔しがる彼等を見るのが楽しいのだ。それを想像して笑みを浮かべる彼ははたから見たらただの怖い人であった。
「あ、兄ちゃん兄ちゃん!今日は牛肉特売だよ!!」
「ん?牛肉か…」
アイツ等どうせろくでもない事しか考えてねーだろうし、変なものしか作ってねぇだろうな。…
「おばちゃん牛じゃなくて合い挽きくれ」
「また餃子かい?」
自宅付近、そろそろ何かあるかもしれない。去年は確か好誠が「ちょ、ちょっと!ちょっと行きましょう!ちょっとどっか行きましょう!」とか言ってきてたか。蹴り倒したが。
「あ、十三さん」
ほら来た拓海だ。毎年毎年芸がねぇなコイツ等。一昨年も拓海だっただろうに。その前は巻きこまれた天地だったか。無論デスソースの餌食だったが。
「おう、どうした」
「これから下宿の奴等とカラオケ行くんすよ。十三さんはこれから帰りですか?」
「あぁ、早く終わってな」
「お疲れ様です。じゃ、行きます」
え、行くのかよ。なんかねーのか絶対一緒に行きませんか?的な事だと思ったぞ俺は。
「そうか、じゃあな」
まぁいいか、帰ろう。
家に着くと電気が付いていない。現在16時半、夏だから明るいがこの時間帯は必ず名前が『暗い。私の自慢の1.7が悪くなる』とかなんとか言うから付けてる筈だ。電気代の無駄だから消してくれてて助かる。
扉を開ける。
即座に閉める。
理由は簡単だ、俺の大嫌いなアレの臭いがする。アレだ。清涼感のある匂いとか言われて人参とも匂いが似てるとか言われてるがちっとも似ていない上にクソ不味いアレだ。
ふざけんなこんな臭い家に帰れるか。隣の名前の家に避難する。
『やはり行ったな!』
「今だやれ、将五と鮫」
十三が名前の家に避難し、茶の間まで行くと冬から夏までオールシーズンで出しっぱなしのコタツ(名前いわくダイニングテーブルだから夏でも関係ないんだとか。意味が解らない。)の上になにやら箱が置いてあった。なんだアイツ等今回こっちでやるのか、珍しいこともあるもんだ。
「誕生日おめでとう兄貴」
「おめでとう十三くん」
「鮫きめぇ」
「あぁ!!?」
「んで、この箱は?」
「名前達がケーキ作ったんだよ。食えよ」
阿呆め将五。お前がそう言うって事は何か仕込んでいるって事だ。鮫のニヤニヤした顔なんて見れたもんじゃねー。だが、待てよ。さっき家から臭ってたのは確実にセロリだ。まさかこの箱…多分ケーキだろう。ケーキにセロリを仕込むなんて事ねぇだろうな。そんな事してみろ絶対殺す。絶対バレないように殺す。
「なに疑ってんだよ兄貴」
「可愛いお前の妹が作ったんだぞ」
「…いや、鮫のニヤニヤ顔がキモくてな」
「おうコラ」
…今の所、箱周辺からはセロリの臭いも何もしない。仕方ない、覚悟決めるか。一口食ってなんか仕込んでたら真顔で美味いと一言だ、これに限る。
そう、箱を開けた。
「…」
「…」
「…」
「は、Happy Birthday!」
「死ね」
「いってぇっ!!」
箱から出てきたのはケーキでもセロリでもなんでもなく、拓海だった。コイツテーブルから頭出してやがった…!!?
『はっはっはーー!!引っかかったな阿呆め!!』
「誕生日おめでとう十三くん!!ぶはっ!!」
「拓海ー生きてるかー?」
「無理かも」
「おう、コイツ首しかねぇから晒してくるわ」
「待って!待って十三さん待って!!」
『知ってた?うちのダイニングテーブルどっかの誰かが暴れた時に穴空いてたんだよ!!』
「誰だろうな」
『お前だバァカ!!誕生日おめでとう!』
くらえ!!と私とゲンちゃんでセロリの香り袋を投げつける。即座に叩き落として立ち上がったので避難体制。
「ありがとうな、今回は例に見ないいい誕生日だ」
「手と首鳴らしながら言う台詞じゃねえよな…」
『はい十三、セロリケーキだよ』
「食うわけねーだろ死ね」
『龍信さんの提案だよ?』
「…は?」
『龍信さんが十三兄の好き嫌い無くそう!って送ってくれたんだよ?わざわざ、忙しい中、十三の為に』
「うっ…!!!」
「流石のお前でも龍信の提案なら怒れねーだろ!!」
さぁどうぞ!!と拓海が脱出し た後のテーブルに改めてケーキを置いた。そして負けた、と仕方なく黙々とケーキを食べる十三を見て私と将五、拓海、ゲンちゃんでハイタッチしたのである。
毎年バレないようにバレないようにと計画する弟達や馬鹿共の事を考えては何も知らないふりで帰り、ことごとく罠を突破する。悔しがる彼等を見るのが楽しいのだ。それを想像して笑みを浮かべる彼ははたから見たらただの怖い人であった。
「あ、兄ちゃん兄ちゃん!今日は牛肉特売だよ!!」
「ん?牛肉か…」
アイツ等どうせろくでもない事しか考えてねーだろうし、変なものしか作ってねぇだろうな。…
「おばちゃん牛じゃなくて合い挽きくれ」
「また餃子かい?」
自宅付近、そろそろ何かあるかもしれない。去年は確か好誠が「ちょ、ちょっと!ちょっと行きましょう!ちょっとどっか行きましょう!」とか言ってきてたか。蹴り倒したが。
「あ、十三さん」
ほら来た拓海だ。毎年毎年芸がねぇなコイツ等。一昨年も拓海だっただろうに。その前は巻きこまれた天地だったか。無論デスソースの餌食だったが。
「おう、どうした」
「これから下宿の奴等とカラオケ行くんすよ。十三さんはこれから帰りですか?」
「あぁ、早く終わってな」
「お疲れ様です。じゃ、行きます」
え、行くのかよ。なんかねーのか絶対一緒に行きませんか?的な事だと思ったぞ俺は。
「そうか、じゃあな」
まぁいいか、帰ろう。
家に着くと電気が付いていない。現在16時半、夏だから明るいがこの時間帯は必ず名前が『暗い。私の自慢の1.7が悪くなる』とかなんとか言うから付けてる筈だ。電気代の無駄だから消してくれてて助かる。
扉を開ける。
即座に閉める。
理由は簡単だ、俺の大嫌いなアレの臭いがする。アレだ。清涼感のある匂いとか言われて人参とも匂いが似てるとか言われてるがちっとも似ていない上にクソ不味いアレだ。
ふざけんなこんな臭い家に帰れるか。隣の名前の家に避難する。
『やはり行ったな!』
「今だやれ、将五と鮫」
十三が名前の家に避難し、茶の間まで行くと冬から夏までオールシーズンで出しっぱなしのコタツ(名前いわくダイニングテーブルだから夏でも関係ないんだとか。意味が解らない。)の上になにやら箱が置いてあった。なんだアイツ等今回こっちでやるのか、珍しいこともあるもんだ。
「誕生日おめでとう兄貴」
「おめでとう十三くん」
「鮫きめぇ」
「あぁ!!?」
「んで、この箱は?」
「名前達がケーキ作ったんだよ。食えよ」
阿呆め将五。お前がそう言うって事は何か仕込んでいるって事だ。鮫のニヤニヤした顔なんて見れたもんじゃねー。だが、待てよ。さっき家から臭ってたのは確実にセロリだ。まさかこの箱…多分ケーキだろう。ケーキにセロリを仕込むなんて事ねぇだろうな。そんな事してみろ絶対殺す。絶対バレないように殺す。
「なに疑ってんだよ兄貴」
「可愛いお前の妹が作ったんだぞ」
「…いや、鮫のニヤニヤ顔がキモくてな」
「おうコラ」
…今の所、箱周辺からはセロリの臭いも何もしない。仕方ない、覚悟決めるか。一口食ってなんか仕込んでたら真顔で美味いと一言だ、これに限る。
そう、箱を開けた。
「…」
「…」
「…」
「は、Happy Birthday!」
「死ね」
「いってぇっ!!」
箱から出てきたのはケーキでもセロリでもなんでもなく、拓海だった。コイツテーブルから頭出してやがった…!!?
『はっはっはーー!!引っかかったな阿呆め!!』
「誕生日おめでとう十三くん!!ぶはっ!!」
「拓海ー生きてるかー?」
「無理かも」
「おう、コイツ首しかねぇから晒してくるわ」
「待って!待って十三さん待って!!」
『知ってた?うちのダイニングテーブルどっかの誰かが暴れた時に穴空いてたんだよ!!』
「誰だろうな」
『お前だバァカ!!誕生日おめでとう!』
くらえ!!と私とゲンちゃんでセロリの香り袋を投げつける。即座に叩き落として立ち上がったので避難体制。
「ありがとうな、今回は例に見ないいい誕生日だ」
「手と首鳴らしながら言う台詞じゃねえよな…」
『はい十三、セロリケーキだよ』
「食うわけねーだろ死ね」
『龍信さんの提案だよ?』
「…は?」
『龍信さんが十三兄の好き嫌い無くそう!って送ってくれたんだよ?わざわざ、忙しい中、十三の為に』
「うっ…!!!」
「流石のお前でも龍信の提案なら怒れねーだろ!!」
さぁどうぞ!!と拓海が脱出し た後のテーブルに改めてケーキを置いた。そして負けた、と仕方なく黙々とケーキを食べる十三を見て私と将五、拓海、ゲンちゃんでハイタッチしたのである。