いちねんせい じゅうに!
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『元気!』
「……」
『お腹痛くない!』
「……」
『だから早く起きて。離して』
「…………」
『遅刻しちゃ、い゛っ……』
「……痛えんじゃねえか」
『仕方ないでしょ継続ダメージなの!!!!!!』
「うるっ……せえ……」
おあ゛!!!と名前がもぞもぞ暴れ出す。天地はうるせえなぁ……と抱き締める力を強くした。眠いんだから静かにしろお前は全く。いや起きろって言ってんのよ、と名前が余計暴れるので天地はめちゃくちゃ名残惜しげに解放した。あぁ湯たんぽが。
比較的元気な名前はしゃこしゃこ歯を磨いている。天地は隣でいつも通りクソみてーな目付きで一緒に磨くのだけど、今日は眠いが過ぎて目付きが人七人くらい殺してるような目付き。
『寿くんこれ』
「ん」
『歯磨き粉ギュッてして』
「帰り買うぞ」
『うん』
「……いや出ねえわ」
『寿くんでも出ないなら無理ね』
「捨てんのか」
『は?ハサミで切るのよ』
キレんなや。そういう家庭の知恵を知らない天地はちょきんとハサミで歯磨き粉を切って天地の歯ブラシに付ける名前をジト目で眺めている。
「今日迎え」
『どうせ破るなら約束しないでね』
「根に持つなお前」
『今日のご飯何がいい?』
「洋」
『鮭のテリーヌ夏野菜を添えて?』
「作れんのか」
『絶対に嫌』
「なら言うな」
つか嫌って事は作れはするのか、と天地がちらりと見遣れば名前は察したのか真顔でぶんぶん首を振った。作れても絶対嫌であるの顔。
「苗字~、今日はお迎え来るんか?」
『来るとは言ってた!』
「でも昨日来なかったんだろ」
『来なかった。家庭内別居しかけた』
「ンッフフ。向かい座っていーい?」
『良いよ!じゃがりこ食べる?』
「貰う~」
クラスメイトの針田くんが前の席に座る。ニコニコ笑って俺もね~ベビースターあるんだァ~と出す彼が、天地の言うような危険そうな人には見えない。天地や、この間会った善明や迫田達の方が余程怖い顔をしているのに。
『ねえ』
「ん?」
『なんで針田くんはそんなに優しいの?』
最初から、針田は名前や周りの人間に対してとても優しかった。態度というか、目の奥にちょっと寂しい色を浮かべてそれでもずっと優しい。かと言って一番仲のいい人間が居るようにも思えなかった。クラスの中心に居るのに、肝心な事になるとはぐらかして遠ざけるような。
「あー……優しく見える?」
『うん。迫ちゃんと喧嘩したようには見えないくらい』
「えっ。聞いたん。天地?」
『うん』
「そっかぁ……。あのな、俺別に優しかないよ。中学ン時は暴れてたしさ」
『優しいよぉ、今日、寿くん迎え来てくれないなら送ってくれようとしてるんでしょ』
「普通解ってても言う?」
『頬っぺに青タン作った時くらいからそうだもんね。だから、優しいんだなぁって』
「やめろって、そんなんじゃねーよ」
『針田くんがそう思ってても、私は優しいと思うよ。心配かけてごめんね』
針田はぴたりと動きを止めてジ、と名前を見遣る。天地のような温い目では無い、かと言って人を害そうとするような濁った目でも無い。どちらかと言えば、名前には全くもって“縁のない色”だった。
「あんまりおっきな怪我とかすんなよ~?」
『うん、しない』
「よし。携帯鳴った?」
『迎え来たって』
「下まで一緒にいこ~ぜ」
『いーいよ』
針田と一緒に玄関まで降りた名前に天地は眉間をしわくちゃにしていた。なんでお前が一緒にいるんだよ。針田は名前にちょっと待ってて~と緩く言って天地に近付く。一言、耳元で呟くと針田は元気に名前にじゃあな!と笑って去っていった。
『針田くん、どうかしたの?』
「……いや」
そう答えた天地の目は、どうにもならない程にギラついていた。
『元気!』
「……」
『お腹痛くない!』
「……」
『だから早く起きて。離して』
「…………」
『遅刻しちゃ、い゛っ……』
「……痛えんじゃねえか」
『仕方ないでしょ継続ダメージなの!!!!!!』
「うるっ……せえ……」
おあ゛!!!と名前がもぞもぞ暴れ出す。天地はうるせえなぁ……と抱き締める力を強くした。眠いんだから静かにしろお前は全く。いや起きろって言ってんのよ、と名前が余計暴れるので天地はめちゃくちゃ名残惜しげに解放した。あぁ湯たんぽが。
比較的元気な名前はしゃこしゃこ歯を磨いている。天地は隣でいつも通りクソみてーな目付きで一緒に磨くのだけど、今日は眠いが過ぎて目付きが人七人くらい殺してるような目付き。
『寿くんこれ』
「ん」
『歯磨き粉ギュッてして』
「帰り買うぞ」
『うん』
「……いや出ねえわ」
『寿くんでも出ないなら無理ね』
「捨てんのか」
『は?ハサミで切るのよ』
キレんなや。そういう家庭の知恵を知らない天地はちょきんとハサミで歯磨き粉を切って天地の歯ブラシに付ける名前をジト目で眺めている。
「今日迎え」
『どうせ破るなら約束しないでね』
「根に持つなお前」
『今日のご飯何がいい?』
「洋」
『鮭のテリーヌ夏野菜を添えて?』
「作れんのか」
『絶対に嫌』
「なら言うな」
つか嫌って事は作れはするのか、と天地がちらりと見遣れば名前は察したのか真顔でぶんぶん首を振った。作れても絶対嫌であるの顔。
「苗字~、今日はお迎え来るんか?」
『来るとは言ってた!』
「でも昨日来なかったんだろ」
『来なかった。家庭内別居しかけた』
「ンッフフ。向かい座っていーい?」
『良いよ!じゃがりこ食べる?』
「貰う~」
クラスメイトの針田くんが前の席に座る。ニコニコ笑って俺もね~ベビースターあるんだァ~と出す彼が、天地の言うような危険そうな人には見えない。天地や、この間会った善明や迫田達の方が余程怖い顔をしているのに。
『ねえ』
「ん?」
『なんで針田くんはそんなに優しいの?』
最初から、針田は名前や周りの人間に対してとても優しかった。態度というか、目の奥にちょっと寂しい色を浮かべてそれでもずっと優しい。かと言って一番仲のいい人間が居るようにも思えなかった。クラスの中心に居るのに、肝心な事になるとはぐらかして遠ざけるような。
「あー……優しく見える?」
『うん。迫ちゃんと喧嘩したようには見えないくらい』
「えっ。聞いたん。天地?」
『うん』
「そっかぁ……。あのな、俺別に優しかないよ。中学ン時は暴れてたしさ」
『優しいよぉ、今日、寿くん迎え来てくれないなら送ってくれようとしてるんでしょ』
「普通解ってても言う?」
『頬っぺに青タン作った時くらいからそうだもんね。だから、優しいんだなぁって』
「やめろって、そんなんじゃねーよ」
『針田くんがそう思ってても、私は優しいと思うよ。心配かけてごめんね』
針田はぴたりと動きを止めてジ、と名前を見遣る。天地のような温い目では無い、かと言って人を害そうとするような濁った目でも無い。どちらかと言えば、名前には全くもって“縁のない色”だった。
「あんまりおっきな怪我とかすんなよ~?」
『うん、しない』
「よし。携帯鳴った?」
『迎え来たって』
「下まで一緒にいこ~ぜ」
『いーいよ』
針田と一緒に玄関まで降りた名前に天地は眉間をしわくちゃにしていた。なんでお前が一緒にいるんだよ。針田は名前にちょっと待ってて~と緩く言って天地に近付く。一言、耳元で呟くと針田は元気に名前にじゃあな!と笑って去っていった。
『針田くん、どうかしたの?』
「……いや」
そう答えた天地の目は、どうにもならない程にギラついていた。