いちねんせい はち!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
薄暗くなった頃に二人はお祭り会場に着いた。あの後散々似合ってるのかどうなのか聞かれた天地は心做しかゲッソリしてるけど名前はルンルンである。人混みと喧騒は好きじゃないけどお祭り独特の雰囲気と匂いが好きなのである。
『あのね!!!!!』
「おー」
『クレープ!!!!』
「先に飯になるやつだ」
『じゃあチョコバナナ』
「焼きそばか広島焼きか選べ」
『金魚すくい!!!!!!』
「クソ女」
ちなみに手はしっかり繋いでいる。初めっから絶対迷子になると解ってりゃそうもなる。実際さっきからあっち!あっち!とどっか行こうとするからいつもより大変である。浴衣だからかいつものように跳ねていないのが唯一の救い。
「あ、苗字ちゃんじゃん!」
『こんばんは!』
「友ピと浴衣デート?」
「似合ってんね」
『デート!!』
「違ぇ」
「友ピ今日は喧嘩ダメだからね」
『喧嘩するの?』
「……」
「黙っちゃった」
『浴衣で喧嘩なんて出来ないだろうけどね』
殺気に似たものを視界の右端で感じたので天地はそっぽを向いた。売られたらすると思う。
クラスメイト達と離れて箸巻きを買って座って食べて、さぁ行きましょうと歩き出した二人なのだけど、パッと天地と目が合ったのは村田将五と奈良明である。村田将五と奈良明である。あ!と声を上げかけた二人は天地の隣でモゴモゴクレープを頬張ってる女が見えた。
「……」
「「……」」
あっち行けシッシ。とんでもねえ面倒臭い顔で天地が手をヒラヒラしてきたからムカッと来たのだけど、手を繋いでる女がふらっとスーパーボールすくいの方に天地を引っ張って行ったので落ち着く。アイツあの子には弱いみたいなんだよな。ホントにな。
「ダメだ」
『欲しい』
「あってどうすんだお前」
『遊ぶ』
「却下」
『あ゛~……』
「あとなんか食うのか」
『フレンチドッグ!』
「なにて?」
は?知らないの?みたいな面をされるのてアメリカンドッグと違うのかと言えばなんだそれはみたいな面をされた。アメリカンドッグの屋台に連れていくとこれ!と言うけど怪訝な顔をする。
『おじさん砂糖かかってないの?』
「は?」
「あ~、お嬢ちゃん北海道の人かい?」
『うん』
「こっちはね~ケチャップとマスタードなんだよ」
『は?』
「ドスをきかすな」
聞くに名前の地元ではアメリカンドッグじゃねえフレンチドッグという、衣に砂糖が満遍なくまぶしてある食い物なのだと。
「ちなみに魚肉じゃなくて豚肉のソーセージだよ」
『は????』
「食ってみるか」
『勇気いるから後で来るねおじさん』
「おーいつでも来な!」
梅干しを食ったような面をした名前の手を引く。砂糖のは美味いのか。ソウルフード。そうか。今度作ってあげるね。おー。名前に胃袋を鷲掴みされてる天地に選択肢は無かった。
『寿くん』
「あ」
『ちょっと寄っていい?』
「どれ」
『射的』
「ん」
どれどれ射的かと生ぬるい目でコルクを銃口に詰める女を見る。腕捲りまでしているけれど、このぶきっちょが上手く景品に当てれなくてくちゃくちゃの顔で落ちなかったの゛……なんて泣く姿が目に見えるようである。
タァン!と一撃。大きめのぬいぐるみの耳を掠めた。惜しい!と店主が笑うと肝心の名前は無言である。どうしたのかと見遣ればとんでもねえ真顔であった。
『案外軽いな』
「?」
『行ける』
名前はトントンとコルクを詰めてまた構える。打ち出された玉は今度は耳より下、頭の隅を撃ち抜いた。驚くことに、名前はその間にも既にコルクを詰めていた。ぐらりと揺れるぬいぐるみにすかさずもう一発。そうしてもう一発、そしてラストの玉がほぼ同じ場所を叩くとぬいぐるみは力なく棚から落ちたのだった。
『んふふ……熊さん……』
「お前にあんな特技があったとはな」
『地元の射的は出禁だから新鮮だった!』
「んでよ」
『あい』
「なんでお前の熊をよ」
『大次郎』
「大次郎を俺が持ってんだ」
『持ってねって言ったら受け取ってくれたもん』
そんなん呆然としてたからだわと眉間に皺を寄せた。いつもほけほけしてる女のあんな姿見たら呆然ともするだろが。
『あのね!!!!!』
「おー」
『クレープ!!!!』
「先に飯になるやつだ」
『じゃあチョコバナナ』
「焼きそばか広島焼きか選べ」
『金魚すくい!!!!!!』
「クソ女」
ちなみに手はしっかり繋いでいる。初めっから絶対迷子になると解ってりゃそうもなる。実際さっきからあっち!あっち!とどっか行こうとするからいつもより大変である。浴衣だからかいつものように跳ねていないのが唯一の救い。
「あ、苗字ちゃんじゃん!」
『こんばんは!』
「友ピと浴衣デート?」
「似合ってんね」
『デート!!』
「違ぇ」
「友ピ今日は喧嘩ダメだからね」
『喧嘩するの?』
「……」
「黙っちゃった」
『浴衣で喧嘩なんて出来ないだろうけどね』
殺気に似たものを視界の右端で感じたので天地はそっぽを向いた。売られたらすると思う。
クラスメイト達と離れて箸巻きを買って座って食べて、さぁ行きましょうと歩き出した二人なのだけど、パッと天地と目が合ったのは村田将五と奈良明である。村田将五と奈良明である。あ!と声を上げかけた二人は天地の隣でモゴモゴクレープを頬張ってる女が見えた。
「……」
「「……」」
あっち行けシッシ。とんでもねえ面倒臭い顔で天地が手をヒラヒラしてきたからムカッと来たのだけど、手を繋いでる女がふらっとスーパーボールすくいの方に天地を引っ張って行ったので落ち着く。アイツあの子には弱いみたいなんだよな。ホントにな。
「ダメだ」
『欲しい』
「あってどうすんだお前」
『遊ぶ』
「却下」
『あ゛~……』
「あとなんか食うのか」
『フレンチドッグ!』
「なにて?」
は?知らないの?みたいな面をされるのてアメリカンドッグと違うのかと言えばなんだそれはみたいな面をされた。アメリカンドッグの屋台に連れていくとこれ!と言うけど怪訝な顔をする。
『おじさん砂糖かかってないの?』
「は?」
「あ~、お嬢ちゃん北海道の人かい?」
『うん』
「こっちはね~ケチャップとマスタードなんだよ」
『は?』
「ドスをきかすな」
聞くに名前の地元ではアメリカンドッグじゃねえフレンチドッグという、衣に砂糖が満遍なくまぶしてある食い物なのだと。
「ちなみに魚肉じゃなくて豚肉のソーセージだよ」
『は????』
「食ってみるか」
『勇気いるから後で来るねおじさん』
「おーいつでも来な!」
梅干しを食ったような面をした名前の手を引く。砂糖のは美味いのか。ソウルフード。そうか。今度作ってあげるね。おー。名前に胃袋を鷲掴みされてる天地に選択肢は無かった。
『寿くん』
「あ」
『ちょっと寄っていい?』
「どれ」
『射的』
「ん」
どれどれ射的かと生ぬるい目でコルクを銃口に詰める女を見る。腕捲りまでしているけれど、このぶきっちょが上手く景品に当てれなくてくちゃくちゃの顔で落ちなかったの゛……なんて泣く姿が目に見えるようである。
タァン!と一撃。大きめのぬいぐるみの耳を掠めた。惜しい!と店主が笑うと肝心の名前は無言である。どうしたのかと見遣ればとんでもねえ真顔であった。
『案外軽いな』
「?」
『行ける』
名前はトントンとコルクを詰めてまた構える。打ち出された玉は今度は耳より下、頭の隅を撃ち抜いた。驚くことに、名前はその間にも既にコルクを詰めていた。ぐらりと揺れるぬいぐるみにすかさずもう一発。そうしてもう一発、そしてラストの玉がほぼ同じ場所を叩くとぬいぐるみは力なく棚から落ちたのだった。
『んふふ……熊さん……』
「お前にあんな特技があったとはな」
『地元の射的は出禁だから新鮮だった!』
「んでよ」
『あい』
「なんでお前の熊をよ」
『大次郎』
「大次郎を俺が持ってんだ」
『持ってねって言ったら受け取ってくれたもん』
そんなん呆然としてたからだわと眉間に皺を寄せた。いつもほけほけしてる女のあんな姿見たら呆然ともするだろが。