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ずぞぞ……と素麺を啜る音。素麺を啜る時大抵無言になるけどぶっちゃけ天地は元々無口であるし、名前は五月蝿いので静かになる分は構わないどころかいつもこれならな……とさえ思っていた。


『あ゛……』
「ん」
『わさび……』
「入れすぎたな」
『あ゛……』
「泣くな」


テメーで入れたくせにぺそ……と泣き出すもんだから馬鹿だなコイツと天地がティッシュを渡す。名前は唸りながら涙をコシコシ拭いてしかめっ面。


『かやい゛……』
「なんで入れた？」
『わさびすき……』
「なら泣くな」
『は？無茶言わないでくれる？』
「生意気だなお前」


べ！と舌を出してからまた素麺を啜り出すのでクソ女めと思いながら大量の素麺を消費していく。馬鹿みたいにあった素麺も味変のおかげでもうすぐ無くなりそうである。


『ねえ゛トランプは！？』
「しねーよ」
『じゃあトランプタワー作るから3メートルくらい離れてくれる？』
「団扇あるか？」
『も゛！！！！！！！』


必死にトランプタワーなんて組み立ててたら倒したくなるのが世の常なので。
一人で拗ねてトランプを順番通りに並べている名前の横に胡座をかく。なに、とぶすくれた声を出すので鼻で笑って膝を叩くとジト……と目を細めてきた。


「ンだよ」
『あっついから抱っこ禁止』
「は？」
『乗らない』


ふん、とまたトランプを並べだした名前に天地はおい……と裾を引く。嫌ですの顔をするので仕方なくトランプを並べるのを手伝うとお？と名前の顔が少し機嫌よさげなものに変わる。並べ終わるとありがと！とニコニコ笑うので無言で胴と膝裏に手を差し入れて膝の上に乗せた。


『ねえ』
「ん」
『寂しんぼなの？』
「ぐ」