とにもかくにも
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「!?今の声…チッ!!」
サクラの叫び声がした方へと慌てて向かう。
…もしかして、とは思ってたが…あいつも海軍に見つかっちまってたのか、くそ!!
無人島だからと正直油断していた。こんな事ならあいつの側を離れるんじゃ無かった…!!
「な、んだコレ…!?」
声のした所付近へとたどり着くと、海軍が腰を抜かして逃げて行くのが目に入る…が、そんな事に構ってなんかいられない。
目の前にあるのは、巨大な竜巻。それはかまいたちのように周囲の木や海軍を切りつけており、海からは水柱が何本もこちらへと向かって来ている。オマケに先程までの快晴が嘘のように真上の空にだけ真っ黒い雲が集まっていた。
よくは見えないが、うっすらと竜巻の中心にサクラがいるのが見え…誰が見てもサクラの“力”が暴走しているんだと分かる今の状態に、思わず舌打ちする。
「おい、サクラ!!…っ!」
とにかくサクラに近付こうと手を伸ばすが、かまいたちの風の壁に行く手を阻まれ…指先から滲む血に再度舌打ちした。
俺が焦っても仕方ねぇ。
一度深呼吸をして自身を落ち着かせ、刀を構える。
「三刀流…刀狼流し!!」
かまいたちを刀で受け流し、何とかその中心へと走った。
「サクラ!!」
『やだ…来ないで…嫌だ嫌だ嫌だ…!!!!』
耳を塞ぎ、瞳も閉じて繰り返しそう呟くサクラの身体はガタガタと震え、閉じた瞳からは涙が零れている。
力の制御が出来ていないからか、サクラの身体にもかまいたちで出来たと思われる傷がいくつもあった。
…このままじゃこいつが壊れるのも時間の問題だ。
「…サクラ。」
名を呼びながら手に持ったままだった刀を鞘に納め、ゆっくりと耳を塞ぐサクラの両手を外す。
「サクラ、もう大丈夫だ。」
出来る限り優しく引き寄せ、その震える身体を抱き締める。
そして赤子をあやすかの様にサクラの背中を撫でた。
『ぞ…ろ、さ…?』
「あぁ。」
焦点の定まらないサクラの視線に、彼女の頬に手を添えて自ら覗きこむ様にして半ば無理矢理視線を合わせた。
『ぞ、ろ…さん…』
「悪かったな、一人にして。」
『…っ怖、い…わた、し…も、何が、なんだか…助け……!』
「…俺が守ってやる。」
『…え…?』
「だから落ち着け。」
『……………。』
“俺”を認識し、安心したのかサクラの身体はガクンと力が抜け…気を失ったのだと理解したのと同時に、先程までのかまいたちや黒雲、水柱等は嘘だったかのようにピタリと止んで消えた。
「っよし、今だ!!ロロノアの首もろともAB-536を回収しろ!!!」
僅かに残っていた海兵が武器を構えてこちらへと向かってくる。
そっとその場にサクラを寝かせ、刀を構えた。
「!?ひ、ひぃ…!」
殺気を隠そうともせずに睨み付ければ、俺の近くまで来た海兵の一人が腰を抜かした。
…海軍がいまだにサクラを道具扱いし、しつこく連れ戻そうとするからこんな事になったんだ。
「…てめぇら、無事に帰れると思うなよ?」
「!!」
「“魔獣”の女に手ぇ出した事、後悔させてやる。」
“手加減なんてしてやる気ねぇから諦めろ。”と呟くのと同時に、海兵達に向かって刀を向けた。