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ゆっくりと地面に倒れる直前、ゾロさんが咄嗟に私の身体を受け止めてくれた。
「サクラ!おいしっかりしろ!!」
『ぞ…ろ、さ…』
ゾロさんの呼び掛けに応えようとするが、上手く言葉にならない。ドクドクと血が流れ出る感覚だけがはっきりとしていて…皆の声がなんだか遠くに聞こえる。
「っチョッパー、何とかしてくれ!!」
「ここじゃ無理だ!!船に戻らないと…」
ルフィさんとチョッパー君の言葉に、チラリとメリー号を見遣るが…メリー号へと続く道は海兵達が塞いでいた。
「チッ、急所は外したか…まぁ、その出血量なら長くは無いだろうな。」
「ってめぇ…!!」
「ふん、兵器のクセに逆らうからだ。おまけに軍艦まで沈めやがって…お陰で私の昇進はパァじゃないか。兵器になれない“不良品”はいらないんだよ。」
忌々しそうに私を見る少将から目を逸らし、今にも飛びそうな意識をなんとか持ちこたえさせながら口を開く。
『…ごめ…なさ…めいわく、かけ…』
「迷惑なんかじゃないわよ、馬鹿!!」
ナミさんは怒ったような口調だったけど、瞳には僅かに涙が浮かんでいて…悲しませてごめんなさい、と心の中でもう一度謝る。
『…わ、たし…さ…きまで、い、いなく…なりた…って…思って…』
このままだと私は確実に死ぬ。だからその前に感謝の気持ちを伝えなきゃ。こんな私を仲間にしてくれてありがとう、って。
…そう思ってるのに口からは違う言葉が出ていた。
『…で、も…いまは、ちがう…』
「…違う?」
涙を流しながら聞き返すチョッパー君に返事をする余裕も無い私は、私を抱えてくれているゾロさんの服を力の入らない手でそっと握る。
『…わ、たし…死にたく、な…い…』
「「!!」」
『…まだ、み…な…さん…と…一緒に…いたい…です…』
言いながらボロボロと涙が零れる。
昔はあんなに死にたいって、いなくなりたいって思っていたのに…今は、死ぬのが怖い。
皆の温かさを知ってしまったから。
楽しさを知ってしまったから。
…恋を、知ってしまったから。
涙で滲む視界でゾロさんを見ると、眉間にシワを寄せたまま私を見つめていた。
…最期に、もう一度笑顔が見たかったな…