おかえり
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私が叫んだ瞬間、ルフィさん達に襲い掛かっていた水柱はピタリと動きを止めた。
「な、なんだと…そんな、まさか…!?」
少し驚きながらも少将は忌々しそうに舌打ちし、私に近付き怒鳴る。
「おいAB-536!!私に逆らうな、早く麦わら達を仕留めろ!!」
『う…っ』
男の言葉には絶対服従になるように薬を投与されたので、私の身体はまた勝手に動こうとして…それを抑えようとすると、激しい頭痛に襲われた。
…っでも、ここで負けるワケにはいかない…!!頑張って“サクラ”!!
「「っサクラ!!」」
「動くな!!動いたらコレを今すぐ破壊する!!」
私を助けようとしてくれたルフィさん達。それを見た男が焦ったように拳銃を私に突きつけた。
「っくそ!!」
「AB-536、破壊されたくなかったら早く私の命令に従え!!」
『う…あ…』
ズキン、ズキンと激しく痛む頭に、“私”の意識が消えそうになる。
…嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ!!
大切な人達を傷付けたくなんか無い!!
どうにかしなきゃ、頑張らなきゃ…!!
…でも…どうしたら良い?どんなに“サクラ”を信じても、どんなに必死に抵抗しても“AB-536”は消えてくれる気配が無い。
…ポロリ、と涙を流したのは“私”か“AB-536”か…
いよいよ意識が霞み、飲み込まれそうになってきて…
「は…ははは!!いいぞ、さっさと兵器に戻れ!!」
男の高笑いと勝手に動きそうになる身体がすごく…怖い。
『(…嫌…っ怖いよ……
……………ゾロさん…っ!!)』
…強く彼を思った、その時だった。
「ぐはっ!?」
『え…?』
男が声を上げて吹き飛び…直後、誰かに抱き抱えられる。
「…大丈夫か?」
…その声を聞いた瞬間、先程までの頭痛が嘘みたいに消えた。
『……ゾロ…さん…?』
私を抱き抱えてくれていたのはゾロさんで。
男は私に拳銃を突き付けていた方の腕から血を流しうずくまっている。
きっと男の一瞬の隙を突いて助け出してくれたのだろう。
ルフィさん達の所に私を連れ戻し、優しく地面に立たせてくれてからゾロさんは、いきなり私のおでこを指で弾いた。
『いっ…!?』
「“怖けりゃ大声で叫べ”って前にも言っただろうが。」
『…え…?』
「ったく…聞こえづれぇんだよ、お前の助けを求める声は。」
『!!!』
…どうしてゾロさんは私の恐怖心に気付いてくれるんだろう。
だって、さっきの思いは一文字たりとも声になんて出せなかったのに。
「レディにデコピンなんてしてんじゃねぇよクソマリモ!!!」
「いちいちうるせぇなお前は!!」
「っあんた達、喧嘩する時と場所くらいわきまえなさいよ!!!」
目の前で起こる、《いつも通り》のやり取りに先程まで張っていた気が緩む。
…それと同時に、涙で滲む視界。
「……泣き虫。」
『す、すみませ…っ』
ガシガシと少し乱暴に頭を撫でてくれるゾロさんに、また涙が溢れる。
…気が付いたら、私の中から“AB-536”は消え去っていた。
おかえり“私”
(ニシシ!お前なら大丈夫だって信じてたぞ!!)