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薬を打たれた直後、意識が遠退いた。
次に気が付いた時には…全く身体の自由が利かなかった。
言葉も話せなくて、でも意識ははっきりしていて…だけどどんなに頭の中で自分に命令しても指一本動かなくて。
…何て言うか、“AB-536”と言う檻に閉じ込められているような感覚。
「行け!AB-536!!」
男の言葉に従いたくなんか無いのに、身体は勝手に動いて風や海を操りルフィさん達を攻撃する。
何度も何度も頭の中で『嫌だ』『止めて』と叫んでも“AB-536”は止まってくれなかった。
皆を傷付けるくらいならいっその事……そう思っても、指一本動かないこの身体ではどうする事も出来なくて。
『(あぁ、やっぱり私は存在しちゃいけなかったんだ。)』
『(仲間にならないで、あの時無理にでも命を絶っておくべきだった。)』
『(…もう、いなくなりたい。)』
…半ば諦めたように意識が沈んで闇に飲み込まれそうになった、その時。
「サクラは兵器なんかじゃねぇ!!」
『(…ルフィ、さん…?)』
力強い声が聞こえ、沈んでいた意識が浮上する。
“AB-536”を通して見た彼は、“AB-536”じゃなくて“私”を見つめて口を開いた。
何やら男が焦ったように“AB-536”へと命令していたけど、“私”の耳に届いたのはルフィさんの言葉だけ。
「サクラが俺達を守りたいって思ってくれたように、俺達だってお前を守りてぇんだ!!」
…その優しい言葉に、じんわりと心が温かくなっていく。
「薬なんかに…そんな男なんかに負けんな!!」
…少しずつ、指先から熱が通う感覚。
「俺達は、サクラを信じてる!!だからお前も俺達を信じろ!!俺達は絶対お前を見捨てねぇ!!」
…自分ですら“私”を信じられなかったのに、ルフィさん達は信じてくれるの?
こんな私の側に…いてくれるの??
「何があっても、お前は俺達の大切な仲間だ!!!!!」
…ルフィさんの叫びに、“私”の目から涙が一粒零れた。