人間らしく、なんて
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『…っ取り、引き…?』
「あぁ。」
短く返事をした後、男は屈んで私に視線を合わせた。
「…麦わらの船とは反対側の海岸に、海軍の船が3隻停まっている。」
『!!』
「ついでに、先程本部にも連絡したから後5隻は増える。麦わらの一味は潰しておくに越した事は無い悪の芽だからな。」
『悪なんかじゃ…っ!!』
口を開いた直後、髪を掴まれ地面へと押し付けられる。
「…兵器の分際で口答えするな。」
『…っ』
「さて、話を戻そう。このままだと麦わらの一味は確実に全員捕らえられるだろう。」
『…。』
「しかし…私なら奴等を逃がしてやる事が出来る。」
『…え…』
「本部にたった一言、「先程の連絡は間違いだった」と言えばそれで終わりだ。」
そう言うと男は胸から電伝虫を取りだし、私に見せた。
「…お前の態度次第では奴等を見逃してやらない事も無い。」
『…私の、態度次第…?』
「あぁ。…このまま何も抵抗せず、おとなしくついて来い。」
『!!』
「そうするなら、麦わらの一味は見逃してやろう。」
さぁどうする?と笑う男に、私の身体からは血の気が引いていく。
…あんな所に、戻りたくなんか無い…っ
…でも、そうしなきゃ皆さんが…
「…そもそも、お前が麦わらの仲間なんかにならなけりゃあいつらだってこんな危険な目に合う事は無かったんだ。」
『…っ!!』
「っくく…お前はな、存在自体が“迷惑”なんだよ。」
ぎゅっ、と無意識にゾロさんから貰ったペンダントを握り締める。
…私さえ、いなければ…っ
「お前を有効活用出来るのは海軍だけだ。」
『……。』
…瞳を閉じると、皆さんと過ごした日々が鮮やかに蘇ってきた。
逃げ戻ったとしても、麦わら海賊団の人は誰一人として私を厄介者扱いしないだろう。
きっと皆さん私を守ろうと必死に戦ってくれる。
…これは自惚れなんかじゃなくて、一緒に過ごした月日の中で知った皆さんの優しさから来る自信。
でも…そんな優しい皆さんだからこそ、出来れば危険な目には合って欲しくない。
『…私が行けば、絶対に麦わらの皆さんに手を出さないと誓ってくれますか?』
「勿論。約束は守ろう。」
恐怖で震える身体を起こし、立ち上がる。
小さく『わかりました。』と呟けば男は満足そうに笑った。
「よし、約束通り麦わらの一味には手を出さない。
…“私達は”な。」
『え…!?』
突然森から二人の海兵が現れ、私の身体を押さえつける。
そして白衣を来た…研究所の科学者が注射器を構えてゆっくりと私に近付いてきた。
『な、なに…』
「お前が逃げ出したあの日から、ずっと開発していた薬があるんだ……お前をコントロールする為の薬だよ。」
『!?』
「この薬を打てば、お前は私の思うがままに動く。本当の兵器になるのさ。」
『い…いや…』
「っくく…麦わらの一味に手を出すのはお前だ、AB-536!!」
『っいやぁぁぁぁあ!!!!!!』
あぁ、やっぱり私はあの時死んでおくべきだったんだ。
人間らしく、なんて夢のまた夢
(もう、自ら命を絶つ事すら出来ない。)