優しさに戸惑う
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船の人達のペースに飲まれそうになってしまったが、私は早くここからいなくならなくてはいけない。
『…私、もう行きます…』
「!?だから駄目だって!!傷口開くだろ!!」
『っでも、』
「そうだぞ、チョッパーは医者だから言う事聞かないとダメだ!!」
全く私の話を聞いてくれない人達に焦燥感が募る。
…こんな事している時間は無いのに…!!
「ほら、とりあえず部屋に…」
『…っ助けて欲しくなかった!!!』
「「!?」」
大声で叫ぶと、私の周りにいた人達が一緒で黙った。
『…貴方達は、海賊ですよね?』
「お、おう…。」
麦わら帽子を被った彼が頷く。
『…私は海軍の研究所から逃げてきた人間です。海軍は私を追って…きっとすぐこの船に追いつきます。』
そこまで言って、自分の首に嵌められている赤い首輪を指差した。
『…これには発信機が埋め込まれています。だから海軍には私の居場所がすぐにわかって…』
「え、えぇぇ!?おい、まずいんじゃないかルフィ!!!」
「なら、それ取れば良いんじゃねぇの?」
慌てだした長い鼻をした男の人に構う事なく麦わらの彼が言った言葉に、私は小さく首を横に振った。
『…無理に外せば………爆発するんです。』
「「爆発!?」」
…研究所の人間が十数年前に私につけた首輪には発信機と爆破装置がつけられていた。
それをつけさせる事で、私が“誰か”を頼って逃亡するのを防ぐ為。
誰かを頼れば、必ずその人にも危害が加わる。…そう脅す為に…。
『…だから、私はもう行きます。…ここにいたら貴方達に危険が及ぶから。』
俯いてその場から離れようとしたら、先程黒いスーツの彼と喧嘩をしていた腰に刀をさした男の人がたった一言呟いた。
「…死ぬ気か。」
『!!』
「そんな首輪をつけたまま逃げるにも限界があるなんて事、お前が一番良くわかってんだろ。」
『そ、れは…』
「加えてさっきの“助けて欲しくなかった”て発言。…お前、死ぬ気だろ。」
図星を刺されて思わず立ち止まる。
「だ、駄目だ!!死ぬなんて絶対駄目だ!!」
「そうよ、他に方法があるはずよ!?」
「レディの首になんてもん嵌めやがったんだ、海軍の奴ら…!!」
会ったばかりの、名も名乗っていない私の事を全力で心配してくれる彼等になんだか胸が暖かくなった。
こんなに人に心配してもらえたのなんて…研究所に連れて行かれて以来なかったから…。
…だからこそ、私はここにいちゃいけない。
優しさに戸惑う
(…優しくされるなんて、慣れていないから。)