おむかえ
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慌てて顔を上げると、そこにはずぶ濡れで髪から水を滴らせるゾロさんの姿。
『…ゾロさん…?』
「お前濡れてんじゃねぇか、雨宿りすんならもっとマシな所でしろよ。」
はぁぁ、と深い溜め息をつきながらゾロさんは私に合わせて屈んだ。
『わ、私よりゾロさんの方が濡れてますよ…?』
「あ?……水浴びだ水浴び。」
『…探しに、来てくれたんですか?』
「…悪ぃかよ。」
ふい、と顔を背けたゾロさんの耳はうっすらと赤い。
『わ、悪くなんかありません!その、逆…です。』
「…逆?」
『私、ずっとゾロさんの事考えてて…すごくゾロさんに会いたかったんです。』
「…は?」
『だから、ゾロさんが来てくれてすごく嬉しいです。』
ゾロさんが来てくれた事に、今更ながら安心して涙が滲んできた。
「な、にも泣かなくても良いだろ。」
『す、すみませ…あれ、ゾロさん熱が出たんじゃ…顔、赤いですよ?』
「…お前本当タチ悪いよな。」
『え?』
再びはぁ、と深い溜め息をついたゾロさん。
…と、気が付いたら雷は止んでいて。
雨はまだ少し降っているが、雲の隙間からこぼれた夕暮れの太陽の光りが街を赤く染めていた。
「…ほら、帰るぞ。」
『はい。…ゾロさん、船はあっちですよ。』
「なっ!?」
『??』
船とは反対方向に歩きだそうとするゾロさんの手を掴んで歩き出すと、ゾロさんは焦ったような声を出して…あ、
『…手、離した方がいいですか?でもゾロさん迷子になっちゃいそうで…』
「…俺はガキか。」
拗ねたように呟くゾロさんが可愛くて、思わず小さく笑う。
…そういえば…
『ゾロさんは、何で私がいる場所がわかったんですか?』
「何でって…勘。」
尋ねた私に何故か耳を赤くして素っ気なく返しながらも、繋いだ手はそのままにしてくれているゾロさんになんだか胸の奥がぎゅうってなって、ドキドキして、でも温かくなった。
おむかえ
(…「お前の声が聞こえた気がした」なんて言えるかよ。)