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『あの、ゾロさん…?』
クイッ、と俺の服の裾を引っ張り見上げてくるサクラに軽く目眩がした。
「…っお前、それわざとか?」
『え?』
「んなワケねぇか…」
はぁ、と溜め息をつく。
多分…つーか確実にこいつの上目使いは無意識だ。(身長差的に仕方ない部分もあるが。)
『…私、何かお気に障るような事、してしまいましたか…?』
無言の俺を怒ってると思ったのか、不安そうな声色で尋ねてきたサクラ。
表情にも僅かにだが不安が浮かんでいる。
「…いや、なんでもねぇよ。悪ぃな、不安にさせて。」
気が付けば俺の口からは謝罪の言葉が出ていた。
よくわかんねぇけど、サクラの悲しそうな雰囲気をなんとかしてやりたくて…まぁ原因は俺なんだが。
『…ゾロさんは、』
「ん?」
『なんで、私の気持ちをわかって下さるんですか?』
今度は本当に不思議で仕方ないと言った雰囲気でサクラが口を開いた。
…前にルフィ達にも言ったが、んなモン「なんとなく」としか言えねぇよ。
「…なんとなく、な。雰囲気でわかる。」
『雰囲気…?』
「あぁ。」
俺の答えに『雰囲気かぁ』と何故か少し嬉しそうに笑ったサクラにつられて俺の口元にも笑みが浮かぶ。
…やっぱ、こいつは笑顔の方がいい。
『私も、ゾロさんの事雰囲気でわかるようになれるでしょうか?』
「は?」
『私、ゾロさんの気持ち沢山わかりたいです。』
「…俺の事なんてわかった所で面白くもなんともねぇだろ。」
『そんな事無いですよ。』
即座に否定の言葉を上げたサクラに少し驚いてその顔を見つめる。
するとサクラは真顔でとんでもない言葉を口にした。
『私、ゾロさんの事大好きです。だから、わかるようになりたいです。』
…ガキみてぇに素直に思った事を口にするこいつの「大好き」っつーのは仲間としてであって……
…そう、必死に自分に言い聞かせるが何故か勝手に顔に熱が集中する。
これはあれだ。「大好き」なんて言われた事ねぇからで、別に他意は無くて…
…あー…心臓が、自分のモンじゃねぇみてぇにうるせぇ…。
頼むからその無意識発言どうにかしてくれ
(?ゾロさん、またお顔が赤く…)
(…お前のせいだ、バカ。)
