きっかけは
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『…でーと?でーとって何ですか?』
俺と店員の話を聞いていたらしいサクラが尋ねてくる…研究所に閉じ込められてたらデートの意味も知らなくて当たり前か。
けど俺から意味を説明すんのも何かな…つーか何て説明すりゃ良いんだよ?
「お嬢ちゃんデートも知らないのかい?デートって言うのはね、好きな人と出掛ける事だよ!」
「ばっ…!!」
『…好きな、人?』
相変わらずニヤニヤしている店員と、キョトンとしているサクラに内心頭を抱える。
一刻も早くこの場を立ち去ろうとする俺より早く、サクラが口を開いた。
『…じゃあ、でーとです。』
「…は?」
『?だって私、ゾロさんの事好きですもん。』
「なっ!?」
『だから“でーと”です!』
…………落ち着け、落ち着くんだ俺。
こいつの“好き”は確実に“友達とか家族に対する好き”だ。店員が言ってる意味とは違ぇ。きっとクソコックやルフィ…ナミ達と出掛けても『でーとです。』って言うに決まってんだ。
「若いって良いねぇ」とからかうように言う店員は無視し、とりあえずサクラの腕を引いてその場を離れる。
少し歩いた所にあったベンチに腰掛けた途端、何か知らねぇけどドッと疲れが出て来た。
「…はぁ…」
『!美味しい!くれーぷ美味しいですゾロさん!!』
「…そりゃ良かったな。」
何事も無かったかのように(まぁこいつにとったら何も無かったに近いか)美味い美味いと、幸せそうな顔をしてクレープを口に運ぶサクラに口元が緩む。
その顔見たら、疲れがどこかにいった様な気がした。
「そろそろ戻るか。」
『そうですね。』
気が付いたら辺りは夕暮れで。
サクラがクレープを食い終わったのを見計らって声を掛け立ち上がる。
『今日はありがとうございました。すみません、色々と連れ回してしまい…』
「別に、気にすんな。楽しかったか?」
『はい、とっても!!』
笑顔で即答するサクラの頭を何となく撫でる…ま、こいつが楽しかったなら良いか。
『ゾロさん。』
「なんだ?」
『また私と“でーと”してくれますか?』
「!?…っ構わねぇ、よ。」
『良かったぁ!』
約束ですよ、なんて嬉しそうに笑うサクラの笑顔が何か直視出来なくて視線を逸らした。
こいつが言うデートは一般的な意味とは違うって分かってんのに、やたらと胸は早鳴る。
…やべぇな、こんなん俺の柄じゃねぇのに。
『?ゾロさん、何だかお顔が赤いような…』
「…夕焼けでそう見えるだけだろ。」
ふと、“嬉しそうな笑顔も、焦った顔や照れた顔も、お前がデートしたいって思うのも全部俺だけならいいのに。”なんて事が頭に浮かんだ。
…なんか、熱はねぇけど厄介な病気になったような気はする。
きっかけはきっとその笑顔
(ゾロさん。)
(…あ?)
(船、反対方向ですよ?)
(………。)
あとがき
無意識?に夢主に恋したゾロ。
この二人はくっつくまで長そうだ…(笑)