小さな声
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ゾロさんに気を使わせちゃいけないと思って『大丈夫です。』と言った直後。
溜め息をついたゾロさんがベッドに腰掛け、私の頭を引き寄せた。
『ゾ、ゾロ、さん?』
「…んだよ。」
『あの、この状況は一体…??』
ゾロさんの引き締まった身体に密着する形になり、私の心臓はドキドキを通り越してなんだかバクバクしている。
「こうしてりゃ雷の音、小さく聞こえんだろ。」
『…あ…』
私の右耳はゾロさんの胸にくっつき、左耳はゾロさんの大きな手が塞いでくれている。
トクン、トクンと規則正しく聞こえるゾロさんの心臓の音に酷く安心した。
「ったく…変な遠慮してんじゃねぇ。怖けりゃクソコックに抱き着かれた時くらい大きな声で叫べ。」
『…え?』
「あんなか細い声じゃ聞き取り辛ぇよ。」
『!!』
…簡単に掻き消されてしまう、小さな“私”の声に気付く人なんて…気にかけてくれる人なんて、いないと思っていたのに…。
『…ゾロさんは、気付いてくれたんですね…。』
「あ?」
『…気に、かけてくれたんですね…っ。』
「!?お、おい!!なんで泣くんだよ!?」
『ふぇ?』
指摘されてから気付く…私、泣いてる…。
いまだに“泣く”事に慣れていない私は、頬を伝い手に落ちる涙をボーッと見つめていた。
「…雷、泣く程怖いのか?」
近くにあったタオルで少し乱暴に私の目元を擦るゾロさんの優しさが嬉しくて、また私の瞳からは涙が溢れる。
「泣くなって。」
『ち、違…』
「?」
『これ…多分、嬉し涙です…』
「…は?」
『…ゾロ、さんの、優しさが、嬉しくて…』
「なんだそれ。…っくく、本当のお前は意外と泣き虫なんだな?」
そう言って小さく笑いながら頭を撫でてくれるゾロさんの手が温かくて、さっきまで寝ていたくせに私の瞼はまた下りてくる。
『…ぞろ、さん…』
「眠ぃなら寝ろよ。…しばらくこうしといてやるから。」
ぎゅっ、とまた私に雷の音が聞こえないようにしてくれたゾロさん。
…ゾロさんの側はなんだか安心するなぁ…。
小さな声
(…スー…)
(寝たか…ふわぁ、俺まで眠たくなってきやがった…)
おまけ
「サクラー、服買ってき……あらら。」
「フフ、二人ともよく眠ってるわね。」
「サクラはともかく、ゾロはいつも人の気配に敏感なのに…珍しい。」
「それだけ精霊使いさんの側が安心するんじゃない?寄り添って寝るなんて、まるで恋人同士みたいね。」
「全く…船番の意味が無いじゃない!…ま、サクラの幸せそうな寝顔に免じて許してあげるけど!」
あとがき
ロビンの夢主の呼び方は「精霊使いさん」。