もっと笑顔が見たい
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「…どうりで軽いワケだな。」
『え?』
俺が呟いた言葉は聞き取れなかったようで、聞き返してきたサクラ。
わざわざ言い直す程の事でもねぇから「なんでもねぇ」と返しといた。
「…っサクラちゃん!!」
『!?』
ガバッとクソコックがサクラの両手を掴む。無表情ではあったが、軽く身体が跳ね…驚かせてどうすんだ。
「俺、これから毎日美味しいご飯作るから!!たくさん食べてくれ!!」
『え?え??は、はい…。』
「よし!!そうと決まれば俺は早速…おいクソマリモ!!くれぐれも丁寧にサクラちゃんを運べよ!!」
「うるせぇ、さっさと行きやがれ。」
クソコックが船内へと駆け込むのを横目に、俺もゆっくりとチョッパーが待つ部屋へと足を進める。
『…ごめんなさい。』
「あ?」
『その、迷惑かけて…』
そう言って申し訳なさそうに俯くこいつに、小さく溜め息をついた。
「…別に迷惑だなんて思ってねぇよ。お前くらい、軽すぎて鍛練にもなりやしねぇ。」
『す、すみません?』
「一々謝んな。」
『ご、ごめんなさい…。』
「…はぁ…。」
『あ!すみません…っあぁまた!!』
謝らないように心掛ければ掛ける程謝罪の渦にはまるサクラに再び小さく溜め息をついた所で、チョッパーの待つ部屋へとついた。
「…連れてきたぞ。」
「おう!じゃあそこのベッドに降ろしてやってくれ!」
チョッパーの言葉に従い、ゆっくりとサクラをベッドへと降ろす。
『あ、あの…』
「謝るなよ。」
『…えーっと…』
「…ったく…」
『きゃ、』
謝罪以外の言葉を探すこいつの頭を乱暴に撫で回す。
少し無表情なサクラの顔が驚いたような表情になっていて、何故だか小さく笑いが込み上げた。
「…こういう時は礼を言っときゃ良いんだよ。」
『お礼を……ありがとう、ございました…。』
「あぁ、それでいい。やれば出来るじゃねぇか。」
そう言って頭を撫でてやると、サクラは少し困ったような顔をした後…小さく笑った。
『…えへへ。』
「!」
『…こんな風に頭撫でてもらえたり、褒められたりするなんて初めてです。だから嬉しくて…。』
…さっきこいつの話を聞いた時、幸せとは呼べない人生を歩んできた事を知った。
だからか、表情や表現も乏しい。
…けど、少し不器用なその笑顔は悪くねぇと思った。
もっと笑顔が見たい。
(…なんて、柄じゃねぇな…。)
(…………鍛練してくるか。)